第2話 中おぢ赤ちゃん、爆誕

 おぎゃあおぎゃあ、と色々あって、はい、無事生まれました。

 なるほど、目の前にいるのは母親かと、納得したところ、早速現れた女の子(ぽいもの)。

 この娘が姉……?

 もう人生勝った……?

 ぼやけていて、顔がよくわからない。

 まあ、美少女が確約された俺と血がつながっているのだから、美少女なんだろう。

 いや、美少女でなくても、前世でいなかった姉という存在だけで愛せる気がする。


 もう少し顔をと思ったところで、睡魔が襲ってくる。

 仕方がない、赤ん坊とか滅茶苦茶寝るらしいし、生理現象と諦めるしかない。

 また見る機会はあるはず。

 その時になったら舐めまわすように眺めよう。

 許されるなら舐めよう、そう思いつつ、眠りについた。



aaa



 暇だ。

 とても暇だ。


 生後……多分1か月くらい。

 身体に合わせて、いろいろしようとは思っているものの、基準が全く分からない。

 前世で子供なんていなかったし、親戚に子供が生まれた時も、一度会ってから次に会った時には一人で歩いていて、成長速いな、と思った記憶しかない。


 とりあえず、ベッドの上で転がっているのだけれど、どうしようか?

 思考は前世のまま。

 つまり、妄想は尽きないのだけど、途中で知恵熱が出たり、頭痛がしたりして、両親や姉を困らせてしまった。

 でも、やめるつもりもなかったため、慣れるまで繰り返した。


 そこで、問題。

 どうやら、俺はこの世界の言葉を1から学ばなければならないらしい。

 話している言葉を一切理解できないからだ。


 これは、結構大変なのではないだろうか。

 本来の、赤ん坊なら、まずは母国語となる言語を学ぶはずだ。

 子供の時は、言葉も覚えやすいと聞いたことがある。


 そこで、俺。

 この世界で一切不要な日本語というものを、覚えてしまっている。

 前世の小中高で、多少英語を学んだとはいえ、実用的かと言われればそんなことは無い。

 そんな、10年近く使って他言語を覚えられなかった俺が、数年でこの国の言葉を覚えなくてはならない。

 今から始めて間に合うか、というところだろう。


 仕方がない。

 妄想の時間を減らして、覚えなくては。

 最低でも喋れることを……ん?


 識字率。

 そういえば、日本は識字率が高いと聞いたことがあった。

 しかし、寺子屋だったか、それらができて、学ぶ前は、読み書きのできない人が多かったはずだ。


 ここは?

 どうやって判断するんだ?

 前世の日本の識字率だって、ただそう聞いたことがあるだけで、調べる方法なんてわからない。

 とりあえず、絵本とか、普通の本が普及していれば、読み書きはできる……?

 少なくとも、この家には本があるし、両親は読み書きができて……

 じゃあ、そのうち習うわ。


 考えてた時間が無駄だった。

 妄想に戻ろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る