TS転生したからには、百合ハーレムを作りたい~精神おぢさんの奮闘記~

皮以祝

第1話 運命の選択

「それで……どういたしますか?」

「あと1時間考えさせてください」

「はぁ……まあ、急ぐものでもありませんし、いいですけれど……」


 目の前には女神様。

 その瞳に移るのは魂だけの俺。

 周りは真っ白。


 今は色々あって死んだ俺の転生の準備中。

 希望を聞かれ、迷っている。


「庶民と貴族、どっちがいいと思います?」

「私に聞かれましても……」


 もう美少女に生まれ変わらせてもらうことは決めた。

 しかし、その環境が問題だ。

 美少女ハーレムを目標に考える。


 貴族に生まれると、おそらく、異性、つまり男との政略結婚がある。

 それは無理だ。

 生理的に。

 美少女ボディでも男は受け付けられない。


 メリットは、きっと他の家のお嬢様と簡単に会えること。

 やっぱり、現代で会う機会の無かったお嬢様と関わりたい気持ちはある。

 ただ、そのお嬢様たちにもきっと婚約者が……

 NTRはする気もされる気もないので、婚約者がいたら諦めるしかない。


 一方、庶民。

 そういう柵が無い。

 家の存続のために政略結婚とかはない。

 しかし、当然苦労する。

 これから俺が生まれる予定の世界の庶民は、農民が大多数らしい。

 いくら美少女が確約されているとしても、けがなどもするだろう。

 いや、それはそれでアリか……?


「決まりましたか?」

「もう少し考えさせてください」

「はい……」


 きっと美少女は、日焼けしても美少女だ。

 個人的には色白系が好みだけれど、これから変わる可能性だって十分ある。

 というより、美少女なら大抵受け入れられる気がする。


 しかし、それを保てるか……?

 おそらく、貴族と比べて、髪や肌を綺麗に保つようなものが少ない気がする。

 庶民で、しかも子供三人(女神様に姉と妹を頼みました)となると、家計は大丈夫かという問題。

 高価なものを買っている余裕はないだろうし……


「どう思います?」

「そういわれましても……」

「ですよねぇ……」


 その点、貴族なら問題はない。

 きっと、用意されているだろうし、使い方も教えてくれる、というかやってくれるかもしれない。

 となると、貴族……?

 いや、それを保ったところで、男と結婚させられるなら意味が……


 いったん落ち着こう。

 まず、俺は美少女ハーレムを作りたい。

 これが、一番の目標。

 目標でなく、譲れないことと言えば、『男は無理』だ。

 政略結婚反対。


「すみません、お待たせしてしまって」

「いいえ、大切な決断ですから構いませんよ。決まりましたか?」

「はい、庶民でお願いします」

「では、今までの条件を確認しますね。性別は女。容姿を整え、魔法は普通。庶民で、三人姉妹の次女。他の転生者なしの世界。でよろしかったですか?」

「はい、お願いします」

「畏まりました。では……あなたの人生に幸多からんことを」


 そして、意識が途切れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る