僕と大鹿と、色づく森にて

気がつけば森にいた。

紅葉する木々の中、

僕を見つめる大鹿の角には真っ赤に熟れた秋の実。


おかえり、坊や、好きな花も咲かせようか


甘く香る純白の花びらが揺れた。

足元の湿った苔は春の匂いを閉じ込めたまま。


いつだって望むままだよ

ありえないと決めつけているだけで


心の中にあの日と同じ泉が湧いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る