僕と大鹿と、色づく森にて

気がつけば森にいた。

紅葉する木々の中、

僕を見つめる大鹿の角には真っ赤に熟れた秋の実。


おかえり、坊や、好きな花も咲かせようか


甘く香る純白の花びらが揺れた。

足元の湿った苔は春の匂いを閉じ込めたまま。


いつだって望むままだよ

ありえないと決めつけているだけで


心の中にあの日と同じ泉が湧いた。

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