白い花の香り

目覚めた時、残り香があった。

さっきまで見ていた夢と同じ。


早朝、雨上がりの庭。

濡れた石畳。

その上を漂う白い花の甘い香り。


思いこみだって構わない。

約束の場所から誰かがきて、

そっと抱きしめてくれたのだと思った。


この世界に一人じゃない。

喜びは優しい雨みたいに私を包み込み、

深く沁み入った。

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