第13話 犯人捜し
「どうもありがとう、でもよく見つけたね」
「宝石は最初わからなかった・・・です。皮の所が見えて、ちょっと大きなゴミで雛がくわえたら危ないかなと思って」
「そうか・・・優しいんだね、どうもありがとう。あれは外国からの贈り物でね、普段はしなかったから、気が付いたら無くなっていたんだよ」
三毛様は最初に息子と話をした。そして子供が少々手持ち無沙汰になるだろう事を見越して、こう言った。
「別の建物に子猫たちがいっぱいいるんだ。普段は君くらいの年の人間と接する機会が無くてね、すまないけれど、一緒に遊んでくれるかな? 」
「はい! わかりました!! 」
息子はそれは楽しそうに子猫の所へと向かった。
「あのネックレスは、私が三毛様のお屋敷に来る直前に無くなったという物ですね」
「そうなんだ、犯人の目星も付いていてね、だが別件で刑務所に入っているから、まあ、すべてを白状して貰うには丁度良いだろう」
「猫人を減らされたのですか、三毛様」
「いや、今日は休暇を出した、全員に。子供に悪い人間を見せたくないからね。それでも庭師は直前まで仕事をしてくれたよ。彼は本当に良い人間になった、それは植物のおかげかもしれない。だが、君が会いたくない人間もここにいるんだよ。
心を入れ替えるとは簡単に言うが・・・難しい事だよ」
過去の話になったので、私は「息子のところに行きます」とその場を後にした。
「あれ? 」
そう大きな建物では無いと思っていたが、生来方向音痴の私は迷ってしまい、外に出ることも出来ず、建物の中をさまよっていた。
「小さいと思っていたけれど、奥に続いているみたいだな」
誰も人間はいないのだし、猫屋敷を探検してみたいという冒険心で、私は暗い、コンクリートの細い廊下を奥に進んだ。
すると、声が聞こえた。半開きになったドアから、さっきの黒猫の声と、もう一人は人間の声に思えた、しかもどこかで聞いたことのある男性の声である。
猫のための絨毯が敷かれた廊下で私は立ち止まり、息を潜めた。
「問題はこれからだよ、三毛様がお亡くなりになったら、あいつらは暴動でも起こしかねんよ。悪いことではすぐに連帯する、烏合の衆だ、全く・・・ここは君達人間のゴミ捨て場じゃ無いんだぞ」
「申し訳ありません、現在白ガラス様とお話しさせて貰っているところです。白ガラス様のところの方が都市部ですから、何かあったら警官もすぐ来れますし」
「まあ、その点鳥は良いよね、飛んで逃げることが出来るから」
「それより子猫ちゃん達は全員大丈夫ですか? 」
「ああ、高性能センサーのおかげでね。引っかかった人間は、面白いほどに嘘をつく。すごいな、あそこまで自分を正当化出来る者も珍しい。だが不思議だ、何故わかったんだ。子猫の世話人は信用できる者ばかりだし、そこから情報は漏れはいないようだ。どうしてかな、本当に悪人というヤツは、知恵が回る。雄の三毛猫が生まれたことを、どこで知ったんだ? 」
「それは悪いけれど、見ればわかるでしょ? 」
「ほとんど接触させていないのにか? どうしてそんなとこだけ敏感なんだ? 」
「だが、基本的に頭が悪い。雄の三毛猫が高額で売れることは知っていても、ここから盗み出せば、すぐに足が付くとは考えないんですから」
「それは同感だ、君は頭が回るが、悪人では無い、貴重だよ。それは血なのか? 今来ている君の従兄弟同様に」
「ケンさん・・・・」
私は体から血の気が引いた。
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