第3話 原因
「私たちは話せるようになったのだから、こんなことを君達が何故するのかわからない」
怒りを隠すように人間は動物たちに話しかけたが、冷静なのは彼らの方だった。
「言葉が通じるのに戦争をしているのは君達だろう? まあ、このことが議題ではない事はわかっているから、論点を元に戻そう。
まずは我々の、特に野生で生きている者の生息域の完全なる確保を要求する。
君達人間が「研究以外では決して入ってはならない、踏み入れるならば我々の許可がいる区域」を作ってもらおう。
我々が君達の家に自由気ままに入ったりはしないだろう? それと全く同じだ。
そして愛玩動物と言われている犬、我々猫に対しては「世話をする人間達」を要求する。俗に言う「捨てられた犬猫」のための建物をしっかりと建てて、そこで食事の用意、掃除が主な仕事だ。そう難しい事ではないだろう。
そう、それに気が付いている人もいるだろうが、我々の中には元々
「虫と会話できる」者がいて、彼らもこのことに賛成している。君達が虫たちの生活圏を犯すから、大集団となり作物を襲うのだ。触覚がふれあう程の密集地帯に追いやられるから、バッタが集団発生が起こることはすでに突き止めているだろう。
我々は君達を何も「殲滅しよう」としているわけではない。共存こそがこれからの未来を開いていくことも知っている。
いずれこの星も無くなってしまうのだから、君達人間はそのために本当の「ノアの箱舟」を作って貰わなければならない。だから生きてほしい、できるだけ健康に。
野生動物の生活圏を犯すから、妙な病気が出てくる、それもわかっているだろうから」
簡単な言葉で、世界中に演説をした第一猫、彼を独裁者と呼ぶか、神に近い変革者と呼ぶか
人間は後者を選んだ。
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