滞在6日目 〜前編(1)〜
眠りについた花梨と紫苑は夢を見ていた。
互いにまだ知らないことではあるが、同じ夢である。
2人の夢の中には赤い瞳に白い髪をした少女、、、そう、みどりが現れた。
視点はちょうど空から見下ろしているような感覚だ。
みどりは暗い地下牢のようなところにじっと座っている。
涙ぐんでいるようにも見えるし、何かを決意したようにも見えた。
そう感じた頃、数人の島民がやってきてみどりを地下牢から出す。
一行は外に出るとそこは自分達の泊まっているホテルだと知ることができる。
それからみどりは外に用意された神輿に座り、島民がそれを担いだ。
見上げた空は満天の星が輝いている事から夜遅い時間だと思えた。
視線を戻すと、みどりを乗せた神輿の周りには見送るように島民達が集まっている。
どこに行くのかと眺めていると神輿はつぅーつぅ一洞へと運ばれていった。
洞に着くとそのまま奥へと入って行く。
どんどん奥へと入り、黒い鳥居をくぐり、その先にある祭壇と思われる場所で止まった。
祭壇の前に神輿を下ろすと島民達はみどりに向かって手を合わせ元来た道を帰って行く。
一人残されたみどり。
ふと、顔を上げ夢を見ているはずの紫苑と花梨の方を見るとゆっくりと口を動かした。
『た す け て』
6日目の朝、時刻は5:30である。
今日も1番に目を覚ましたのは彼は誰であった。
おそらく日頃の習慣なのであろう。
身体を起こし、カーテンを開けて窓の外を見ると、いい天気で晴れ晴れとしてる。
「うん、いい朝だ」
彼は誰は日課となっている壁ドンをすると身支度を済ませ、コーヒーを入れ始めた。
ちょっと時間を置いた後に小さくこんこんと音が返ってくる。
その音の大きさから、まだ葉山君は寝ぼけているのかもと彼は誰は思い、クスリと笑みを浮かべた。
ちょうど熱々のコーヒーを入れ終えたところである。
もちろん、2人分だ。
彼は誰はコーヒーを持って部屋を出るとこんこんと葉山の部屋をノックする。
少しして、ガチャリと控えめな音を立てて扉が開いた。
扉の先にはまだ眠たげな顔で、身支度すら終わっていない葉山が立っていた。
「気付けをお持ちしたよ」
「あぁ、、、ありがとう」
爽やかな笑みでそう言ってコーヒーを見せる彼は誰に目をこすりながらまだ眠たげな笑顔で返事を返す。
そして彼は誰を招く様に扉を開けた。
彼は誰は笑顔で中に入ると、葉山はチラリと廊下を確認して部屋を閉めた。
一方その頃、時刻は6:00を指している。
「っ!!!!」
花梨は何かに驚いたようにばっと飛び起きた。
隣ではピピピと目覚ましが鳴っている。
おそらく、紫苑が部屋を出る前に気を利かせて置いていってくれていたのだろう。
きちんと充電もされているようだ。
花梨は夢の内容を鮮明に覚えていた。
あの夢は何を意味するのだろうかと思いを巡らせる。
心臓がバクバクと音を立て、何か嫌な予感を感じた。
寝たのに寝ていない様な疲労感も感じる。
「はー。はー。」
花梨はゆっくりと、自分を落ち着かせるように呼吸をする。
「。。。。うーん。。。」
再度、夢を思い返してみる。
が、寝起きの頭ではこれと言った案は出てくるはずもない。
「お風呂入りましょ。考えるのはそこからね。」
そう言って花梨はのろのろと朝風呂の支度を始めた。
花梨と同じく時刻は6時を指す頃、紫苑は何かに驚いた様にパッと飛び起きた。
外ではスズメの鳴き声が聞こえ、携帯を見ると6:00を示している。
紫苑もまた、夢の内容を鮮明に覚えていた。
あの夢は何を意味するのだろうかと紫苑は考える。
心臓がバクバクと音を立て、何か嫌な予感を感じる。
寝たのに寝ていない様な疲労感も感じた。
先ほどの夢はなんだったのか。
やはり紫苑も寝起きの頭では考えがまとまらないようだ。
せっかくなので朝風呂でも行くかと、支度を始めた。
「やあやあ、おそろいで」
紫苑と花梨がそれぞれ入浴する支度を終えて部屋を出ると、ちょうど彼は誰と葉山が通路に立っていた。
「フォースブッキングとでも言うのかな」
彼は誰の満面の清々しい笑みとは正反対のような笑みを浮かべて紫苑がボソリと呟いた。
夢のせいなのか、どこか疲れたような顔をしている。
「・・・・・・」
「あ、お、おはようございます。。。」
葉山は無言で笑みを浮かべ、花梨は慌てて3人に挨拶をするとぺこりと頭を下げた。
「あれ、二人ともどうしたんだい」
彼は誰2人の顔を見比べてにやにやと笑みを浮かべながら尋ねる。
紫苑と花梨が寝不足のような疲れた顔をしていることと、今まさに2人揃って朝風呂にいうことに何か違う想像をしたらしい。
「みんな随分早起きなのだね」
そこは相変わらず華麗にスルーをして紫苑はニコリと笑った。
「日程も残り少ないからね。楽しまなきゃ損だよ」
葉山の腕に自分の腕を絡めて彼は誰はニコリと笑う。
「明日はみんなの晴れ姿でも見られるのかな」
「僕は特段かわらないよ」
紫苑の言葉に特に何を思うこともなく彼は誰は変わらず笑みを浮かべてそう返した。
「.........師匠、朝食終わりにお部屋に1度伺います。ちょっとお耳に入れたい事が。」
「告白かな」
それまで黙っていた花梨がどこかあせあせと慌てているような、何か困惑しているような様子で話す。
そこに彼は誰はにやにやと笑いながら茶々を入れた。
「嫌な夢でも見たのかな、いいよ」
「大人な対応だねえ。もっと情熱を込めてもいいんじゃないかな」
彼は誰は冷やかしに乗ってくる様子のない紫苑にどこか興醒めだというようなため息を漏らす彼は誰である。
「えぇ、まぁ、そんなところ、です。それではお風呂に行って考えを整理してきますね」
「あぁ、僕も風呂に行きたいと思っていたところだよ。」
彼は誰の言葉は花梨の耳には入らないらしく、花梨は紫苑にそういうと紫苑は笑顔で返す。
そして4人は軽く雑談をしながら一階へと続く階段を降りていく。
一階に着くと花梨と紫苑はフロントへお風呂の鍵を開けてもらいに向かった。
葉山と彼は誰は朝食を食べるために食堂へ向かうようだ。
「彼女さんは情熱的なのがお好きらしいよ」
「・・・2人だけに見せる顔というものは誰にでもあるからね」
別れ際に紫苑は葉山に向かってそう声をかけた。
それに対して葉山はいつもと変わらない笑顔で答える。
「ではまた、朝餉を済ませるよ」
彼は誰は紫苑と花梨にひらひらと手を振りながらそう言いつつもチラリと葉山の様子を伺った。
何を思ってそんな発言をしたのだろうかと思ったのだが、葉山はその場の雰囲気に合わせていつも通り発言しただけの様でいつもと変わらず冷静な様だ。
(うん、流石)
彼は誰はそんな葉山の様子に心の中で満足げに呟いた。
彼は誰と葉山が食堂につくと、今食事を開始したのであろう田中の姿があった。
「あら、、、早いのね」
2人に気付いた田中はにこりとして話しかけてくる。
珍しいこともあるものだと思いつつも、葉山と彼は誰は田中の席へと近寄った。
「やあ、あなたもね」
「時間は貴重だからね」
爽やかな笑顔で挨拶を返す彼は誰とは対照的に葉山はニヤリと笑って言葉を返す。
「砂時計は落ちるのみ、ということね」
葉山の発言に対してだろうか。
田中はふふっと笑いながらそんな返事を返した。
「もう残りも僅かだしね。最後のきらめきさ」
葉山と田中の間にどんなやり取りがあったのだろうか。
そのことを事細かに彼は誰が知ることはないが、大まかな話は聞いている。
だからこそ、田中の言葉に笑顔でそう返した。
「そういうことね。・・・知っている様ね。まぁ、床に落として割れてしまうかもしれないから気をつけて?」
彼は誰の様子に田中は気付いたようだった。
彼は誰もまた、関係者なのだと。
それに気づいた上で田中は楽しそうにまたふふっと笑った。
「ふふ、彼のお墨付きさ」
彼は誰はそんな田中に返してそう答えながら葉山の方をチラリとみる。
「彼女の砂時計は割るつもりはないから大丈夫さ」
それだけ告げると葉山は食券を買いに向かう。
それ以上、田中と話をするつもりはないということだろう。
「ではまた」
彼は誰も葉山に習ってそれだけを告げると食券を買いにその場を離れた。
さて、少しだけ時間を戻すとしよう。
6:20をすぎた頃だろうか。
「ん?いや、気のせいか」
風呂を終えた紫苑は雷が聞こえたような気がしたとかしないとか。
それはさておき、紫苑は風呂を終えるとそのまま受付へと向かった。
受付に着くと、中にいる人に電話を借りれるか尋ねる。
すると利用目的などを尋ねられた。
紫苑は特に隠すことなく、旅館にいる同じ旅行者の三原に連絡を取りたいと伝えると快く貸してくれた。
もちろん、親切に旅館の番号も教えてくれる。
差し出されたのは備え付け電話の子機だった。
部屋に持ち帰らずにこの場で使用して欲しいと言われ、紫苑は頷き旅館に電話をかける。
何度目かのコールの後に旅館の人が電話先に出た。
紫苑が三原を呼んでほしいと伝えると「少しお待ちください」と言った後に保留音がなり、その音が止まったかと思うと「もしもし」という三原の声が聞こえてきた。
「あ、もしもし、紫苑です。突然すみません。」
「紫苑さん?あぁ!!先日は薬師丸さんがお世話になりました!」
寝起きなのか、紫苑の名前に一瞬誰だかわからなかったらしい。
が、すぐに浮かんできたのだろう。
声の勢いから紫苑の脳裏には必死に頭を下げる三原の姿が容易に想像できた。
もしかしたら電話先でそんなことをしているのかもしれないと思うと、失礼かもしれないが笑みが溢れる。
「良かったら今日お昼ご飯でも一緒にどうかと思ってかけてみたんですよ」
笑いを堪えたポーカーフェイスで紫苑は単刀直入に誘ってみる。
「ありがとうございます。薬師丸さんと一緒にということになりますが、、、」
先日のかふぇでのことを思い出しているのだろう。
三原の声は少し申し訳なさそうな感じに聞こえた。
「大丈夫ですよー、私も弟子がついてくるかもですが大丈夫そうですか?」
「それはもう!全然大丈夫ですよ」
紫苑の言葉に三原はどこかほっとした様な声でそう答えた。
弟子とは誰のことなのか、わかっているわけではない気もするがおそらく一緒に来ていた女の子、、、花梨のことだと思ったのだろう。
そして2人は12時ごろにかふぇで落ち合うという約束をして電話を切った。
紫苑が電話を終えて部屋に帰ろうとした時、風呂を終えた花梨がやってきた。
「あれ、今日は早いね」
てっきりいつものように1時間くらいはかかるであろうと思っていた紫苑である。
「あ、ししょー!私だって早い時はありますよー」
そう言って花梨は紫苑に駆け寄った。
のだが、、、紫苑の元に着いた時、花梨の手からぱさりとそれは落ちた。
そう、、、先ほどまで花梨が履いていたであろうパンツである。
そのことに気づかず自分は洗濯を頼もうと思って降りてきたなどと話をする花梨であるが、それを見つけてしまった紫苑は一瞬思考が停止したようで花梨の言葉が耳に入ってこない様子である。
思考が戻った紫苑はそのパンツから目を背けると花梨の肩をトントンと叩く。
「なにか落としたみたいだよ」
「? あっ!///」
紫苑に言われてようやく気付いた花梨は慌てて隠すように拾った。
「ははは、食べてはいけないよ」
あまりの慌てぶりに食べてしまいそうな勢いに見えた紫苑は動揺を隠すような笑顔で花梨にそう言った。
その瞬間、???「心理学!」と叫んだ彼は誰に「そんなコマンドないで。」としゃべ太郎が返し「うるせーしゃぶ太郎。」なんて返すやり取りがあったとかなかったとか。
まぁ、その話は端に置いておこう。
そんなこんなでゆでだこになった花梨であったが、どうにか洗濯物を預けることができた。
「やあやあ、今日はよく会うね」
そして部屋に入浴セットを片付けに行って食事にするかという時、タバコを吸いにやってきたであろう彼は誰が2人に声をかけた。
「あら、もうお食事はお済みなのですか?」
「美味しそうな茹でダコだ」
そう声をかける花梨の顔はまだ真っ赤である。
先ほどの出来事はかなりの衝撃だったようでまだ後をひいているようだ。
そんな様子の花梨であるから、何か面白そうなことがあったのではと彼は誰がからかいの言葉をかける。
「???」
まだ顔が赤い自覚はあるのであろう。
けれど先ほどの失態を話すわけにはいかない。
そう思った花梨は知らんぷりを決め込んだ。
「はは、食べてはいないよ」
「意外とそうでもないかもね」
紫苑の言葉に彼は誰はにやにやしながら言葉を返す。
「緋色、2人には2人の世界があるんだよ、きっとね」
そんな彼は誰に葉山がそっと声をかけた。
紫苑に対しての助け舟なのか、それとも気まぐれなのか。
それは誰にもわからないことである。
「今日と明日は面白くなる気がするよ、色んな意味でね」
紫苑は2人に向かってそういうとニコリと微笑む。
「旅行もクライマックスさ。花火のような輝きを」
そう言って彼は誰は手をひらひらさせながら喫煙所へと入っていった。
それじゃあと葉山も同じく喫煙所へと入っていく。
紫苑と花梨はなんだかなぁと顔を見合わせて苦笑いを浮かべたが、そのままそれぞれの部屋に荷物を置いて食堂へと向かった。
「いやあ早速面白かったね!」
2人が去った頃合いを見て、彼は誰はケラケラと楽しそうに笑いながら葉山にいった。
「うぶな娘さんをからかうものではないよ」
本心でそう思っているのかいないのか。
葉山はふっと笑ってそう言葉を返す。
食事を終えた紫苑と花梨は受付に寄り、出掛けている間に部屋の掃除をしてもらえるように手配をし、一度それぞれの部屋へと戻る。
少し荷物の整理をしたら部屋に伺うと紫苑に伝えて花梨は部屋に入ると着替えをしたいらしい。
今来ている服より動きやすい服に着替えたいそうだ。
「ちょっと着替えしてきますね」
「じゃあ部屋で待ってるね」
そう言って花梨は部屋へと入っていった。
紫苑はそう言って花梨が部屋に入るのを見送ってから自分の部屋へ帰っていった。
そして紫苑は昨夜録画した、寝ている間の外の動画でも見ようかと思い立ったのだが、、、。
昨夜は撮り忘れていることに気づき、がっかりと肩を落とした。
さて、花梨はと言うと部屋に帰るとスカートはそのままに上を白の服へと着替える。
靴は夏用の、ヒールが低い黒のブーツだ。
バッグに貴重品等を詰めて、荷物を軽く整理すると部屋を後にした。
ーこんこん.....がちゃっー
花梨がドアをノックすると待ち侘びていたと言わんばかりに紫苑がドアを開ける。
「失礼します」
「いらっしゃい、今日も似合っているね」
紫苑の褒め言葉に花梨は頬を赤く染めた。
「ひゃ。あ、ありがとうございまひゅ。///」
照れた様子で花梨は紫苑から視線を逸らす。
紫苑はそんな花梨をニコニコと笑みを浮かべて眺めた。
そして真顔に戻ると口を開く。
「話ってなにかな?」
「え、えっと、それで本題が。。。」
花梨は周りをチラチラと見渡す。
確かにここではなんだということで紫苑は花梨を部屋へと招き入れた。
部屋に入ると花梨は今朝見た夢の話を紫苑に話す。
夢というのは時間が経てば朧げになるものだが今でも鮮明に覚えていた。
「ふむ…同じような夢を見たよ」
「師匠もですか?」
真剣な顔で紫苑がそういうと、花梨は驚いた顔を見せた。
共通夢という、都市伝説じみた話はあるが。
「偶然とは思えないけれど…」
夢が意味することはなんなのだろうか。
紫苑の脳内にはおそらく夢の内容が再生されているのだろう。
「でしたら、1つ気になることがあって.........このホテル付近、地下に、恐らく牢獄?があるはずだと踏んでます」
「正夢だとすると、そうなるね」
花梨の言葉に紫苑は頷きながら答えた。
「私、ちょっと調べてみようと思うのですが」
「警備がいると思うけれど、どうするのかな?」
花梨の言葉に紫苑はそう言いながら問いかける。
昼間はあちらこちらで目がある。
夜は夜で警備がいるため、調べられるところは限られていた。
「可能性はふたつだと思っているよ。従業員用の通路の先か…外か、だね」
紫苑の言葉に花梨は黙り込む。
おそらく、もう一度夢の内容を頭の中で整理しているのだろう。
少しの沈黙のあと、口を開いた。
「ちょっと地下への入口までは覚えてないので、手当り次第隠し通路を探してみようと思うのです」
「12時には村の方へ行く約束をしているから、それまで僕も探してみるよ」
花梨の言葉に同意するように頷いて紫苑はそう伝えた。
「分かりました、なにかあったら報告しますね」
紫苑の言葉に花梨は笑顔でそう答えた。
そして2人はそこで別れると、紫苑はホテルの外へ向かう。
花梨はというと先ずは、階段降りてB1の階段横の空間を調べに向かった。
ホテルの外に出た紫苑はホテルの周りをぐるりと一周回ってみることにした。
ちょうど従業員の出入り口を見つけて辺りを見渡すと、、、紫音さんはあることに気付く。
従業員用の出入り口をよくみると、監視カメラらしきものがあった。
こんなところにも監視カメラが、、、と考えをめぐらせ始めた紫苑は、中で人の話し声が聞こえ始めたことに気づく。
そして、気配が自分の方に近づいてきていることを悟った。
きっと、この監視カメラに自分の姿が写り、それに気づいた従業員がこちらに向かってきているのではないか。
紫苑はそれらに気づくと、何も気づかなかった風を装って反対側に歩いていった。
「こっち、きて」
ホテルの角を曲がり、街の風景が見えるかどうかの場所まで来た時誰かの声が聞こえた。
その声に気付いたと同時に誰かが紫苑の手を握り引っ張る。
見ると、手を握っているのはみどりだった。
そして向かう方向の先にはすみれの姿があった。
「君は…」
紫苑は呟くように言いながら、みどりに手を引かれるままについていく。
「すみれ、彼女は中にいる」
みどりがそう声をかけるとすみれは頷いてホテルの中に入っていく。
みどりはそのまま紫苑の手を引いてホテルの隣にある謎の建物へと向かった。
その頃、花梨はホテルの外へと向かおうと一階に来ていた。
花梨がホテルの外へ向かおうとした時、すみれが花梨に向かって小走りにやってくる。
「何も聞かずについてきてほしいのです」
小声で花梨にそう告げると、花梨の手を取りホテルを出る。
「あら、強引な子」
そう言いながらも花梨は抵抗することなくすみれについていく。
すみれは花梨の手を引いたまま、辺りを警戒しながらもホテルの隣にある建物へと向かっていった。
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