注連繩（しめなは）に插（さ）せる稻穗（いなほ）の埀穗（しだりほ）に友をし率（ゐ）つゝ雀（すゞめ）來啼（きな）くも

◇短歌

　歌會始の儀に、年の始（はじめ）に同じく｢友｣といふことを勅言（おほせごと）に依りて詠めりとあれば、僕（やつこあれ）も茲（こゝ）に詠む。

　今年披講せられたる選歌十首のうち、文語（いにしへのこと）のみにて詠まれたるは一首のみ。他の九首は悉く口語（いまのよのこと）を含めり。そのうち、口語のみは七首、口語と文語の雜じれるは二首。

　披講せられたる選者の歌は、漢語（からのこと）雜じれる文語。

　召人の歌は漢語と和語、口語と文語とを雜ぜたり。

　三笠宮の女王殿下（ひめみこ）の詠ませ賜へるは口語。

　皇嗣妃殿下（ひつぎのみこのみめ）の詠ませ賜へるは漢語雜じり文語と言ふも口語と言ふも可なるべし。

　皇嗣殿下（ひつぎのみこ）の詠ませ賜へるは今年も和語（やまとのこと）のみの文語。

　皇后陛下（きさいのみや）の御歌は漢語雜じれる文語。

　御製（おほみうた）も漢語雜じれる文語にて、「コロナ」なる語も見ゆ。

　いづれも皆、和歌（やまとうた）には非じ。現代短歌（げんだいたんか）なるべし。

　次の年の御題は「和」とか。「和」既に漢語也。

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