初富士

と共に三宮みつみやまうで初富士ををろがむ吉事よごと直會なほらひ賜ふ



 ◇短歌




 あらたまあらたしき年。

 元朝ぐわんてう、床をれて、は神棚の埃をはらひ、諸神もろかみに屠蘇を捧ぐ。

 しかのち、猿樂の『小鍛冶』を見つ。

 て、あらたしき年をかひて、日頃の神の加護を謝すべし。されば三つの宮に詣でゝ敬禮きやうらいを奉らむとと共に家を出で、鎭守なる諏訪の大社おほやしろ御前みまへをろがみて大麻の他、諸諸もろ〳〵神札神符しんさつしんぷを賜り、丘に登れば、西の方初富士さやかに白雪はくせつたいして偉大とほしろし。合掌禮拜らいはいのち倉稻魂命うかのみたまのみこと伊勢大御神いせのおほみかみまつれるやしろまうで、其后そのゝちべちなる諏訪の社を拜す。

 神事を濟ませ、家に戾りて直會なほらひを賜ふ。

 すなはち、の調へたる正月の膳に附き、屠蘇の杯を頂き、雜煮の餠飯もちひを喫す。

 斯くしづかなる元日を過ぐすは、吉事よごととなも言ふべき。

 難有ありがたし、難有し。







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