風を甚（いた）み雨を數多（さまね）み今もかも花散りつらむ見も飽かなくに

◇短歌

　俚諺（りげん）に曰く、春に三日の霽（はれ）無しと。

　眞（まこと）や、昨日も降り、今日も終日降る。

　今季花を見べきは此（この）週末にこそあらめと思ひしかども、意の如くならず。　

　上帝、日曜に降らしめ吾人をして鬱屈せしめしに止（とゞ）まらず、剩（あまり）さへ、唯（たゞ）にても厭はしかるべき月曜をも寒雨に閉ざして苛（さいな）む。其性（そのしやう）、焉（いづく）んぞ淸淨（しやうじやう）たりと言ふべけむや。

　于武陵（うぶりよう）の絕（ぜつ）、轉（てん）に曰く、則（すなは）ち「花發多風雨（はなひらけばふうゝおほし）」と。

　彼（か）の韻文（ゐんぶん）の書かれしより、優に千年を超ゆ。

　天上の覇主（はしゆ）、何爲（なにすれぞ）千歲（せんざい）を澁面（じふめん）に貫きて樂しまざる。

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