斑駒



しかすがに斑駒ふちこまくら壺鐙つほあぶみ障埿あふりけるひぢりこぬも



◇短歌




 此歌このうた、吾が襟懷きんくわいに述べむと欲する所ありて詠めるに非ず。

 たゞ、「しかすがに」なる副詞、馬に係る「斑駒ふちこま」「壺鐙つほあぶみ」「障埿あふり」なる名詞などすゞろに用ゐばやと思へる言葉先に在りて、これをたゞに取竝とりなら取繕とりつくろひて、そこはかとなう歌の如き體裁ていさい捏上こねあげたるのみ。


 諸賢しよけんに問ふ。

 かゝるおほろかなる歌詠みもありうべしや。


 否〻、格別人に問ふまでも無きは、吾人の最もく承知する所。

 かつ〴〵諸兄姉しよけいし御寛宥ごくわんいうこひねがふ。頓首、頓首。

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