最終話
ぼくは全て考えるのをやめた。幸せだった。
「ありがとうございます、桃太郎様。」
そんな言葉がぼくの中に溢れかえる。
人生は妥協の繰り返しだって分かってる。
ぼくはそれからもおばあさんとおじいさんと楽しく過ごした。
幸せだった。偽りの人生でも幸せだった。
でも、眠れない夜があった。頭から離れない海の景色。海水面が鮮やかに赤と緑と青で埋め尽くされる。
「生きる意味を探していた。でも、どこにもなかった。だから、おばあさんとおじいさんの"嘘"を隠して生きる。そんな物語もあっていいと思う。」
綺麗事だけで生きてはいけない。
身体は無傷の英雄が、こんな傷を負っていたなんて。
おばあさん、おじいさん、ありがとう。
ぼくの歪んだ人生は現代に受け継がれる御伽話となった。だから。全て忘れよう。あの景色も。ぼくの存在も。頭から生えた角が疼く。
これがぼくにとっての綺麗事。
ハッピーエンドでめでたし、めでたし。
リアル桃太郎〜鬼ヶ島の戦い編〜 ヤグーツク・ゴセ @yagu3114
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