リアル桃太郎

 誰かが望んでいたような御伽話の人生を謳歌していたら生きた心地がしたんだろうか。


 島の周りを鬼の死体が埋め尽くす。それにより不気味さが増した鬼ヶ島。やめろ。これ以上複雑にするな。僕が倒すべきは鬼なんだ。


 この島には生きている鬼はもういなかった。


 生きる意味が無い。鬼の死体で埋め尽かされる鮮やかな海を眺める。「美しい海だ。そして悲しい。」

 島には村人達の財宝があった。でも違う。

違う。違うんだ。違うんだって、気づいてた。

村人達の財宝を船に運び、暗い海を大急ぎで駆け抜ける。違うんだろ。長い悪い夢を見てるみたいだ。違うんだって言ってくれ。村が見える。

違うって言え、

    “おばあさん、おじいさん"

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