リアル桃太郎

 ずっとなりたかった僕になれたかな。犬を後にして足取りを重くして歩く。

 その時だった。大きくて徐な一歩を踏み出した時見えた。猿が木に張り付けにされて死んでいた。錆びて茶色腐った釘が肢体に刺さっている。                  「こんなこと、していいわけないだろ。」


 バサバサと近くで聞こえる。色味の濃いキジが飛ぼうとしてる。でも、飛べない。翼をもぎ取られ、聞こえるのは身についた羽の音だけ。


吐き気がする。世界はこんなにも残酷で酷いんだな。僕がこんな世界を救いだなんて、独りよがりだ。こんなことをするのは人のやることじゃない。怒りが巡る。この憎悪だけで呪い殺したくなる。前へ進む。

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