第18話 戦闘開始! 32対3

やっぱり撃たれたよ。空間削ってて正解だった。

「棗!大丈夫か?」

「大丈夫。それよりトーチカに入ってて」

そう言って長門を中に誘導する。

「さて、出てこないんかい?」

茂みに中からこちらに照準を向ける兵士30人と二人が出てくる。

「はじめて会うのに物騒でごめんね?ライオンちゃん」

「別に初めましてじゃないしうちはライオンじゃない。それよりそっちはうちの隊員だと

思うんだけど」

「私は第三の春じゃないですよ。第二所属の由良です」

春が負けるなんていつぶりだろうなぁ。

「いつぶりでしょうね」

春の鬼力も使えるんだ。

「それより伯爵たちの目的は未来見てわかってるんでしょう?

なら早くその通りにしてほしいなぁなんて」

「断ったら?」

久美がにっこりと笑って片手をあげると真横の土が銃声と共にえぐれる。

「うちの隊長のスナイプ力はなめないでほしいな」

あいつスナイパー練習したんだろうなぁ

「その様子じゃ逃げる気はないみたいだね」

「殺っていいかな?伯爵様」

「いいよ。、、って行動が早いなぁ」

春がこちらへ走って向かってくる。右ストレートから勢いに乗って左足の回し蹴り。

しゃがんで回避してからの足払いは後ろへ飛んで避けられる。

お互いに未来を視るから決着がつかないんだよなぁ、、、

「伯爵様は茂みの中へ。そこに突っ立ってたら危ないですよ」

「言われなくてもわかってるよマイハニー」

兵隊と久美が茂みの中へ戻っていく。

「よそ見厳禁ですよ」

春の拳が素早く飛んでくる。全部受け流しながら後ずさる。

「パンチのスピードが遅いね」

腕をつかみまわし投げ。これも受け身を取られる。

「考えて行動する限り傷つけられませんって」

「ふ~ん」

掴んでた腕を離さずにホルスターから銃を抜き、額につける。

「マテバ 2006M。マグナム弾だから頭蓋骨は貫通できるはずだよ。

これでも傷つけられないって?」

「そんなの片手で撃ったら肩脱臼しますよ?いいんですか?」

「肩の脱臼ぐらい頑張れば治るよ。さぁ、どうする?」

突然茂みの中から銃声がする。銃弾はマテバを持つ手のひらを貫通しマテバが地面に落ちる。

「っ、、、逃がさなきゃよかったな」

そのすきに春は距離を取り離れている。

「その手じゃもう銃は撃てませんね」

「かもね。そろそろ出てきてくれないとまずいかもね」

「そうですね」

棗の隣に陸奥が表れる。春は陸奥に斬られたのか両太ももに切り傷が入って

倒れこんでいる。

「ど、どこから、、、」

「ずっと隣に居ましたよ?気づかなかっただけです」

春が立とうとするが傷が深いのか倒れてしまう。

「チェックメイトだね」

陸奥が首筋に刀をあてる。

「A隊は援護射撃!B、Cは由良を安全な所に!」

その声とともに美久が茂みから出てくる。横からは銃の一斉射撃。

棗と陸奥は後ろに走って回避するが弾幕は追いかけてくる。

「長門!!どこにいる!」

「トーチカの入り口に居る!使うのか?」

「陸奥が死ぬぞ!!」

そう言って棗は釘箱を地面に投げ捨てる。中にあった釘たちは地面にばらまける。

「棗と陸奥への飛来物を排除しろ!」

拡声器からの大きな長門の声で釘たちが動き出す。

釘は弾丸に自らぶつかっていき弾いては他の銃丸へぶつかりに行く。

そのおかげで銃撃されているのにもかかわらず弾が全然飛んでこない。

「さすが兄!!誰よりも強いですわ!!」

「銃弾だけだと思ってはダメだよ子猫ちゃん」

美久が陸奥を蹴り上げる。陸奥は高く飛び鈍い音で地面にぶつかる。

「陸奥!大丈夫?」

「何とか大丈夫ですけどあばらがやられました、、、」

「これで時を止めるやつはいない。さぁ、ライオンちゃんはどうす、、、は?」

美久の頬を何かが掠める。当たったところからは血が滲み出ている。

「いったい誰が、、、」

不味い!陸奥がやられたってことは、、

そこには手いっぱいに刺突銃剣を持った長門が立っていた。

「お前、、、陸奥を傷つけたな?、、、俺の象徴を、、、」

「落ち着け長門!こんな傷すぐ「うるせぇ!!」っ!」

「蝶のように舞い蜂のように刺せ!」

そう言い銃剣を放つ。空を切る音と共に美久の周りを飛び回る。

「兄、、、やめ、、、、」

「辛いだろ、、苦しいよな、、、」

一瞬で陸奥のところへ移動し頭を撫でる。その間にも美久は銃剣により切り傷が

増えていく。

「おい大丈夫か!」

「不味いね、、、、避けるとかそういう話じゃない、、」

このままじゃ美久が死ぬ、、、。そうだ!

「美久、倒れろ!」

「倒れる?何を言って」

「いいから早く!」

棗に急かされ美久は地面に倒れる。

銃剣たちは刺殺するために美久の上に並んでいる。

「そのまま顔上げずに倒れててよ!太太刀 触眼!」

横の空間に手を伸ばし触眼を取り出し振りかぶる。

銃剣と棗との空間が切りとられ美久に刺さるはずだった銃剣は

地面に深く深く突き刺さる。

「た、助かった?」

「命はなんとか、、ありがとうライオンちゃん」

「なんで生きてるんだよ、、?虫けらが」

「兄、、、もう痛くないから、大丈夫だからやめて、、、、」

「そうか、そうか。僕は棗の治療をするから離脱するよ」

「ついでに美久も頼めるか?」

「、、、、、はぁ、仕方ないなぁ。来い」

「、、、」

無言のままトーチカの中に入って行く。

「ABC隊斉射!!」

トーチカに入った瞬間こちらに銃弾の山が飛んでくる。

「結局後退しなけりゃ避けれないんだ、、」

そう言って棗はトーチカを離れ建物方面へと進んでいった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る