第14話 試合開始! 清明編

「裏、裏、、、」

今俺は春さんと別れて裏口を探している。

多分ビルの裏口だから正面の反対側にあるだろう。

それにしても大きいビル。そこら辺の商業ビルより遥かに高い。この中で籠城されたら

攻略はきついだろうな。

「あ、あった」

正面玄関に比べて質素な扉。しかも使われてないからかわからないけど固すぎる。

ドアノブが回らないほどに固まっている。いくら力を入れてもびくともしない。

「蹴るか打つか、、、、、蹴ろう」

鬼力を込めた足で蹴る。優加が中から居なくなってから片足ずつしか発動しなくなってしまったためは侵食中全然体幹が安定しない。鍛えなきゃな。

ドアが蹴った衝撃で吹っ飛んだ瞬間中から冷気が出ていく。

「寒!?」

「ん?ああ、あのどぎの」

そこにはイロンの時の大男がいた。

「ぎだっでごどはだだがうの?」

鼻声で聞こえづらい、、、でも、戦うしかないっぽいし戦うか。

「わかった。来い」

突っ込んでくることを見越して身構える。

「わがっだ」

男が一歩踏み込むと踏み込んだ場所から氷の欠片が飛んできた。

小さくて鋭く、当たればいたいじゃすまないのは確かだ。

「!?。やばっ!」

上へと踏み込んで回避すると床一面が尖った氷の欠片でいっぱいになった。

「ごれでもうおりれない。どうずる?」

男がこちらに向かって指をならすと指先から氷の槍が飛んでくる。

槍は捻れていて先端はとてつもなく鋭い。

「くっそ!」

片足で右へ回避する。天井が低すぎて思ったように移動できない。

「ぞごあぶないよ」

「は?っ!?」

避けた先の上にあった業務用のエアコンから氷塊が落ちてきた。

地面に墜落した衝撃で地面にあった氷の欠片が背中に食い込む。

「ぐうっっっ」

痛みに耐えつつ男へ銃を向け撃つ。

「ぎがないよ?」

男がふっと息を吹くと銃弾は氷で包まれ地面に落ちる。

「!。マジかよ、、」

「ぞろぞろおわりにじようが。」

男がコートを開くと一気に周りが冷え込む。

「おではぎりょぐでぐうぎをごおらぜる。いまおまえがずっでるいぎを

こおらぜでなかからどうじざぜる」

「!?」

鼻声だから完全に聞き取れてはいないけど相当ヤバイことをしようとして来てる。

とにかく息止める。

「いづまでもづのがな?」

最低40秒はもつ。その間に攻撃するチャンスができるかどうか、、、!。そうだ。

俺は全力で足を振り回す。どれか当たれ!

「ぐるじいのがい?ならどっどど!?」

男の胴体を氷塊が襲い後ろへ吹っ飛ぶ。

「はぁはぁ、お前、動いた空気を凍らせるんだろ」

「、、、、」

男がむくりと起き上がる。

「だから息止めたら凍らせられないんだ。だろ?」

「ぞれがわがっだどころでなにががわるんだ?」

「大事なのはな、範囲内の動いたやつ無差別にってところだよっ!」

大きく振りかぶって空を蹴る。俺の鬼力で蹴られた空気は何かにぶつかるまで進む。

男に向かって行った空気は範囲内に入り氷塊へと姿を変え男にぶつかる。

「っっ!!」

「勝ったな」

「あまいな」

「は?」

「おまえばげりだげだろ?おではぜんじんなんだよ」

男がブンブンと無造作に手を動かす。それは氷の斬撃としてこっちへ飛んでくる。

「避ければいいんだよっ!」

右へ左へ飛びながら避けつつ攻撃する。

「ごればどうがな!」

男はコートの中から散弾銃ショットガン取り出し放つ。

弾だけではなく空気も部屋中に散るため、広範囲を氷塊が襲いかかる。

「塊の方が避けやすい!」

避ける感覚が狭まっただけでやることは変わらない。距離を保って男に向かって

蹴りを入れるだけ。

「がはっ!」

氷塊が側頭部にあたり倒れこむ。

「やったか、、?」

近づいて息を吐いても凍らない。気絶しているようだ。

「あ、お~い」

正面玄関方面からは春さんが駆けてくる。

「あ、春さっ!?」

おもいっきり春さんに殴られ壁にぶつかる。

「春さん?何を?」

「今は、、、春さんじゃないんですよ」


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