第5話 棗隊二等兵
『鬼の戦い、、、ねえ。』
俺は暗闇で声を出す。俺は今、優加と入れ替わっているらしい。
『目で追えないと思ったら急に空飛ぶし撃たれるし物騒すぎるだろ』
今までの戦闘を思い出す。今までアニメとかマンガでしか見たことがなかったことが
目の前で起きている事への感想ともうひとつ。
『俺、死んでね?』
明らかに背中に一発、しかも心臓へ一直線。怪我程度ですまない話になってしまった。
「大丈夫かお主。」
〘優加か!お前こそ大丈夫か?俺の身体だけど。〙
「うぬは鬼じゃぞ?あんな鉄の塊では死なん。じゃが、、、」
〘どうした?〙
表情が苦笑いになる。なにがあるんだ?
「入れ替わって死ぬと強制的に精神と肉体が本人に戻るんじゃ。無論死なずにな?つまり
今からはお主が肉体の主導権を握るんじゃ」
〘つまり今から元に戻るんだな?、、、、は?〙
「今棗はうぬを殺す気満々じゃ。しかもあやつは入れ替わることを知らん。
まあ、頑張るのじゃ」
冗談じゃない。勝てるわけもないし説得できるかもわからない。
そんな状態で戻れっていうのか。
「うおっ!!」
いきなり意識が元に戻る。もう地面に落ちた後のようで、感覚もある。
「まだ生きてたの?」
棗がこちらへ拳銃を向ける。本気だ。
「待て!待て!俺だ!」
「?。なんで入れ替わってるの?」
「俺にも詳しくはわからん!とにかくもうあいつじゃない!」
拳銃が下へ向く。わかってくれたようだ。
「なにも見てない?」
急な質問を投げ掛けられる。
『ここで見たなんて言ったら消されるんだろうな、、、』
「なにを見たって?」
「いや、なんでもない」
案外すんなりと納得してくれた。殺されるかとびくびくしてたのがバカらしい。
「、、、うん。迎えに来て。」
棗が誰かと電話している。
「うん。うん。わかった。ありがとうね」
「誰と話してるんだ?」
「ん?部下。」
部下ってことは結構位は上なのか?
「そうだ。試験は合格ね。」
「!?。ってことは、、、、」
「ようこそ特圧隊へ」
「よっしゃあああ!!」
やっと夢が叶った。長年目指していた夢が叶うんだ。しかし棗の顔は嬉しそうじゃない。
「どうかしたのか?」
「いや、なんでも。とにかく迎えが来るから戻るよ」
そう言って棗は太太刀を振りかざす。最初と同じく。切り込みが生まれ穴ができる。
そこをくぐると白い車が止まっていた。運転席には人が乗っている。
「これに乗って行くよ」
「行くってどこにだよ」
「うちらの家。正確に言えば特圧隊第二部隊第三前衛基地」
「そ、そうか」
さすがに支部までは覚えていなかった。
『というか部隊ありすぎじゃね?』
「その子が新人君?」
いきなり運転席から声がする。こちらに振り向く様子はない。
「そうだよ。名前はええっと、、、、」
「赤城晴明です」
「晴明くんね。よろしく」
運転手はこちらに手を振る。
「よ、よろしくお願いします」
「そんなにかしこまらなくてもいいよ?やっと男の子が来たんだから」
「うちの隊、
『運転手は長門っていうのか。』
「とにかく、顔合わせは家でね。今無理だから」
無理?こっちに向けばいいだけなのに。
「長門ここにはいないよ。通信で話してるだけ」
「え?じゃあ運転手は、、、、」
俺は身をのりだし運転手を見る。そこには人形が置いてあった。
「!?人じゃない、、、、」
「さすがに運転席に人がいないと警察に捕まるからね。あ、そうそう
清明くんまだ正式に入ったって訳じゃないからね」
「そうなの?」
「うん。名目では保護した子ってことになってる」
そうだったのか。じゃあまだ入った訳じゃない、、、、。
「そう気を落とさなくてもいいよ。一応は二等兵扱いだから」
「二等兵、、、、一番下」
まあそれは仕方ないか。
「さ!見えたよ!家が!」
長門さんは元気一杯に声を出した。
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