第3話 特圧隊入隊試験
棗はこちらに向かって突っ込んでくる。
俺は精一杯横に飛び、回避する。
「なにするんだよ!!」
「特圧隊は強くなくてはいけない。それは当たり前でしょ?」
理由になってない理由を聞いてる間に態勢を立て直す。とにかく戦わなくてはいけないらしい。
「そうだ、説明してなかったね。その足、そのままじゃただの骨だよ。」
「!?。じゃあ、どうしろって言うんだよ。」
その質問に答えず棗は戦いを継続する。その際、執拗に足ばかり狙ってくる。
『骨の部分が弱点なのか、、、、なら!』
俺は棗の眼帯部分を殴り飛ばす。案の定棗は後ろへ吹き飛ぶ。
「もう弱点わかった?じゃあ次。」
そう言って棗は眼帯を外す。真っ黒な穴がこちらを見てくる。
「侵食プロコトル1~3までを開放。侵食開始。」
まばゆい光が棗を包み込む。その後、そこにいたのは真っ黒な鬼だった。
眼帯をしていた部分と身体全体が鬼となり棗は顔の半分だけ見えている。
「なんだよ、、、、それ、、、」
「鬼との契約、侵食儀式の結果だよ。特圧隊“鬼”の基本的な戦い方。やってみて?ちなみに侵食率は1ね。」
もはや戦闘と言うより講習である。戦う前に説明しろよ。
「侵食プロコトル1を開放、侵食開始。」
〘なぜする。〙
「え?」
一瞬で情景が変わった。そこは真っ暗な空間だった。底も上もわからない気が狂いそうな空間。そこに、一人の鬼がいた。
〘なぜ蝕まなければいけないのじゃ。と聞いておる。〙
そいつは椅子に座りこちらに問いかける。その姿は日本人形のように小さく、美しい髪と角をもった女の子だった。
〘言語が違うのか?そうではなかろう。早く答えるのじゃ。〙
「あ、ああ。なんでってやってみろと言われたからしか、、、、、」
〘はあ、どうせ棗が言ったのだろう?あやつのことだからお前を仲間にしたかったのじゃろうな〙
「仲間、、、?特圧隊のことか?」
〘聞いておらんのか。あやつはーーーをーーーーにするために仲間をあつめておるんじゃ。〙
ノイズが頭の中に走る。まるでまだ知ってはいけないかのように。
〘まあいい。とにかく、お主を気に入った。名は?〙
「赤城清明。お前は?」
〘うぬは
そう言って優加は自分の胸に手を当てる。自分を主張しているようだ。
「い、、、お~い」
〘ほれ、棗が呼んでおるぞ。行ってこんか!〙
それで、俺と優加の会話は終わってしまった。
「大丈夫だった?ごめんね急に。」
「今までの事全部が急だよ。とにかく、説明してくれ。」
「わかった。」
そう言って棗は語り出した。
話を要約してまとめると、
・俺達、鬼と契約している者は、身体の一部が白骨化するかわり、そこを起点として鬼の
力を得る。
・骨でも、契約していれば、そこには鬼の身体があるから、立てる。
・プロコトルには主に5段階あり、
1、白骨部分の
2、下半身の鬼化
3、上半身の鬼化
4、頭部の鬼化(完全侵食)
5、精神の鬼化(入れ替わり)
だ、そうだ。しかも開放には、鬼との信頼が必要と言うこと。ややこしいな。
しかも、鬼によって持っている能力が変わるらしく。棗は“見えないものを視る”らしい。
それともうひとつ。鬼と契約した、あるいは他生物と契約した者は潜在能力が発現する。
「わかった?」
「まあな。一応は覚えた。」
「なら、今からが試験開始だね。」
そう言って棗は距離を取る。身構えていつでも準備できているらしい。
俺も立ち上がり身構える。
「「侵食プロコトル1を開放、侵食開始」」
二人の骨部分が飲まれてゆく。棗は目が、俺は足がそれぞれ変化する。
「行くよ。死なないでね?」
「こっちの台詞だ。とっととかかってこい。」
棗は微笑み、一歩を踏み出す。そして一瞬にして俺の目に前に現れる。
「なっ!?」
俺はとっさに拳を繰り出す。しかしそれは華麗な背負い投げに変わっていった。
倒れた俺に追撃しに近づく棗を蹴り上げようとするも背負い投げ。
「くそが、、」
「もう終わりにする?」
「ふざけんな、、、まだ終わってねえ」
俺はもう一度立ち上がる。でもこのまま戦えば勝ち目がない。
〘未々じゃな。勝ち目がないわ。〙
優加の声が聞こえる。
「じゃあ、どうすればいいんだよ。」
「だれと話してるの?」
〘うぬの能力をなぜ使わん。棗は鬼の力を使っておるのに。〙
「いや、どうやって使うんだよ。」
「ねえ、」
〘一回全部開放してくれんか?うぬがお主の身体でした方がはやいんじゃ。〙
「大丈夫なのか?」
「、、、、、、。」
〘お主の身体や精神には問題はできん。安心せい。〙
そういわれ、一度棗と距離をとる。棗はなんかむすっとしてる。
「侵食プロコトルオールクリア。侵食開始。」
「なにしてるの!?」
棗が俺の方に近寄る。
「大丈夫?」
「うむ。大丈夫なのじゃ。」
そこにもう俺はいなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます