第十一幕


 第十一幕



 敵国であるオーノスタ大公国との戦線をドードリエ河まで押し戻したとは言え、それだけでもって戦争が終結する訳ではない。いやむしろ、これでようやく振り出しに戻ったのだから、ここからがこの戦争の本番とも言える。そして間の悪い事に、ここから先は渡河を念頭に行動しなければならないこの段になって、ロンヌ帝国の国土は短い夏の前の雨期を迎えてしまった。

「雨、止まないな」

 塹壕に掘られた横穴の中から外の様子をうかがいつつ、俺の従弟であるノッシュが気が滅入りそうな表情と口調でもってそう言ったので、同じ横穴をねぐらとする俺もまた彼に同意する。

「ああ、そうだな。こうも雨が降り続けるようだと、遠からず、俺らも塹壕足になっちまう」

 以前の戦闘で戦利品として手に入れたカシン拳銃をボロ布でもって磨きながら、俺は舌打ち交じりにそう言った。うっかり気を抜くと、彫金エングレーブが施された鋼鉄製のフレームはいとも簡単に錆び付いてしまうので、こうして定期的な手入れを怠る訳には行かない。前世に於ける兵器市場とは違って、プラスチックが開発されていないこの世界では、未だ未だポリマーフレームなどと言う便利な物は普及していないのである。ちなみに『塹壕足』と言うのはじめじめと湿って不潔な環境に長時間晒された四肢に見られる浸水足の一種であり、雨期の塹壕に閉じ込められた俺ら兵卒達は、永らくこの塹壕足の症状に悩まされていた。

「そうだよな、インジー?」

「はい? 何ですか?」

 俺が問い掛ければ、同じ横穴内に設置された四つのベッドの内の一つに腰掛けていたインジーが、こちらに視線を向ける。

「このままだと、塹壕足になっちまうって話だよ。お前も塹壕足になってないか? 大丈夫か?」

「全然大丈夫じゃないですよ。こうも毎日雨続きで、足が水浸しになりっ放しだから、酷い水虫に悩まされてるんですから」

「なんだ、女のお前でも水虫になるのか! そんな水虫の女なんて、嫁の貰い手が無いかもな!」

 インジーの返答を耳にしたノッシュがそう言って彼女を冷やかし、さも愉快そうにげらげらと笑った。そして俺とインジーの二人もまた彼に釣られて笑ってしまえば、狭い横穴内にその声がこだまし、じめじめとした雨期の空気に淀んだ俺らの気も少しは紛れると言うものである。

「それにしても、本当に止まないな、雨」

「ああ、そうだな」

 一通り談笑し終えた俺とノッシュは、まるで壊れたレコードプレーヤーか馬鹿の一つ覚えのオウムの様に、全く同じ会話を何度も何度も繰り返し続けた。この数週間、我らがロンヌ帝国とオーノスタ大公国との戦線は見事なまでに膠着し、ドードリエ河を挟んで睨み合ったままどちらも進軍する事敵わず、文字通りの意味でもって泥沼化してしまっているのでだから遣る方無い。

「雨、止まないな」

「ああ、そうだな」

 俺とノッシュが飽きる事無く全く同じ会話を繰り返し続けていると、そんな俺らの耳に、聞き慣れた少尉の声が届く。

「第一中隊所属の兵卒は集合せよ! 繰り返す! 第一中隊所属の兵卒は、直ちに集合せよ!」

 大隊長付きの副官である少尉がそう言って声を張り上げながら塹壕内を巡回すれば、彼が言うところの『第一中隊所属の兵卒』である俺やノッシュ、それにインジーの三人は重い腰を上げた。横穴の内部にまで侵入した大量の雨水によって俺らの足は泥に沈み、カーキ色の戦闘服は湿気でもって身体にひたひたと張り付くため、満足に歩く事すら儘ならない。

「こんな時間に集合だなんて、一体何の用件だ?」

「未だ飯上げの時間じゃないし、たまには参謀本部が、美味しいおやつでも用意してくれてんじゃねえの?」

 そう言って軽口を叩くノッシュやインジーと共に横穴から退出し、しとしととそぼ降る雨に打たれながら集合場所へと馳せ参じると、そこには中隊長である中尉と他の兵卒達が集結していた。我らが第一中隊の隊長は、もじゃもじゃの顎髭を生やした大柄な偉丈夫である。

「よし、全員揃ったな? それでは貴様ら、喜べ! 参謀本部から貴様らに、一週間の休暇が与えられる事となった!」

 突然そう言った中隊長の言葉に、俺ら兵卒達は一瞬その意味が理解出来ず、ぽかんと呆けてしまった。そして一拍の間を置いた後に、年甲斐もない歓喜の声が、わあっと塹壕内に鳴り響く。

「中隊長殿、それは本当でありますか?」

「ああ、本当だ。参謀本部は嘘を吐かない。明後日から一週間ずつ、各中隊に順番に休暇が与えられる事が決定されたのだ」

 中隊長がそう言えば、俺ら兵卒達は益々をもって色めき立った。

「それでは中隊長殿、自分達は故郷に帰れるのでありますね?」

 しかしながら、この兵卒の疑問に対する中隊長の返答は、必ずしも彼らの意に沿うものではない。

「いや、残念ながら、今回の休暇に限っては帰郷は許可出来ない。貴様らの故郷であるスライツヴァ州ミルネラ群は戦線から遠く離れており、非常時に於ける警急呼集に応じられないため、帰郷の代わりに貴様らにはサーサライラに宿を用意する事が決定された。サーサライラは我が帝国指折りの保養地であると同時に景勝地でもあるから、きっと楽しい休暇になるぞ? ん?」

 この中隊長の言葉に、居並ぶ兵卒達の半分あまりは諸手を上げて喜んだが、残り半分はがっくりと肩を落として落胆の色を隠せなかった。前世に於けるそれとは違って、この世界での用兵論では同郷の徴募兵達を同じ部隊に纏めて配属しているため、いざ遠方から召集された兵卒達からなる部隊が休暇となると警急呼集に応じられるまで時間が掛かってしまうのである。だから今回、俺らの中隊の休暇はスライツヴァ州ミルネラ群への帰郷が許されず、風光明媚かつ山紫水明な保養地として知られるサーサライラでの静養と相成ったのだ。

「それでは総員、明後日の起床時間までに荷物を纏め、いつでも出発出来る態勢を整えておくこと! 当日の朝食後に、蒸気機関車でもってサーサライラへと向かう! 以上、解散!」

 中隊長がそう言って解散を命じれば、俺ら第一中隊に所属する兵卒達は各自の持ち場へと取って返す。

「おい、聞いたかアルル! 一週間の休暇だってよ!」

 塹壕内に掘られた横穴へと帰還する道中、ノッシュがそう言いながら俺の脇腹を肘で小突いた。

「そうだなノッシュ、こんな渡河作戦前の大事な時期に休暇をくれるだなんて、参謀本部もどう言う風の吹き回しだ? まさか渡河作戦で休暇と引き換えに、俺らに死んで来いとか言う訳じゃあるまいな?」

 俺が底意地が悪そうにほくそ笑みながらそう言うと、背後を歩くインジーが愚痴を漏らす。

「だけど、せっかくの休暇なのに帰郷は許可出来ないだなんて、参謀本部も意外とケチなんですね! 久し振りに故郷の家族に会えると思ったのに、ぬか喜びに終わったじゃありませんか!」

「なんだインジー、お前、そんなに家族に会いたかったのか?」

「当然です! 春に兵務課に志願してからこっち、もうずっと父さんと母さんの顔を見てないんですからね! このままだと未だ幼い甥っ子と姪っ子も、あたしの顔を忘れてしまうじゃありませんか!」

 インジーはそう言って、びっしりとそばかすが浮いた頬をぷうと膨らませながら愚痴を漏らし、参謀本部の決定が得心出来ない胸の内を露にした。未だ未だその口調は砕け切っていないものの、我らが大体に配属された直後の肩肘張っていた頃に比べれば、彼女もまた随分と気安くなったものである。

「しかし、噂に名高い保養地のサーサライラか。街の名前だけは何度か聞いた事があるが、きっと綺麗な所なんだろうなあ」

「どうですかねえ? いくら保養地とは言っても、やっぱり雨期だと雨が降ってばっかりなんじゃないですか?」

「いや、その点は大丈夫だろう。サーサライラは周囲を山脈に囲まれた盆地だから、雨雲はその盆地内に進入出来ず、雨期でも滅多に雨が降らないと聞いた事がある。それに雨が降っていて景色が楽しめなくても、あの辺りは火山の影響で温泉が湧くから、それだけでも充分楽しめる筈だ」

「温泉か……これで飯が美味ければ、言う事無しだな!」

 俺とノッシュ、それにインジーの三人はそう言って談笑し合いながら、やがて塹壕内に掘られた横穴へと帰還した。そして横穴の床を埋め尽くす泥に足を浸けたまま、自分達が歩哨の任に就くまでの残り時間を指折り数えつつ、再びいつになったら雨が止むものかと気を揉み続ける。


   ●


 中隊長が休暇の件を下達してから二日後、およそ百五十人余りからなる我らが第一中隊所属の兵卒達の姿は、かつて国境であったドードリエ河沿いの街とサーサライラとを繋ぐ蒸気機関車の上に在った。

「発進!」

 濃紺色の制服に身を包んだ駅員が警笛を鳴らしながらそう言えば、俺らを乗せた蒸気機関車は煙突から真っ黒な煙をもうもうと噴き出しつつも、見送る人も疎らな駅のプラットホームを後にする。

「いよいよ休暇だな、アルル!」

 雨期特有のしとしととそぼ降る雨に濡れた蒸気機関車の車内で、窓の外を流れる景色を嬉しそうに眺めながら、俺の向かいの席に腰掛けたノッシュが興奮を隠せない表情と口調でもってそう言った。

「おいおいノッシュ、少しは落ち着けよ。今からそんな調子だと、サーサライラに着く前にへばっちまうぞ?」

「だって、仕方が無いじゃないか! 汽車に乗るのも久し振りだし、塹壕の外に出るのも数か月ぶりだしよ!」

 そう言って浮き足立つノッシュの姿に、彼の隣に座るインジーもまた呆れ果てる。

「汽車に乗っただけでそんなに興奮するだなんて、ノッシュもアルルも、一体二人はどんな田舎の出身なんですか?」

「あ? 何だって? おいインジー、お前、俺とアルルの故郷であるラハルアハル村を馬鹿にする気か? ……まあ確かに山と川以外に何も無い寒村だし、お前の出身地であるミルネラの街と比べたらどうしようもないほどのド田舎だが、それでも自然が豊かないい村なんだぞ? ミルネラみたいな、薄汚い都会とは違ってな!」

「ええ、ええ、そうでしょう、そうでしょうとも。何も自慢出来る物が無い田舎出身の人は、皆口を揃えてそう言うんです」

 そう言って睨み合うインジーとノッシュの二人は、しかし次の瞬間、全く同じタイミングでもって声を揃えて笑い出した。どちらもラハルアハル村の田舎ぶりやミルネラの街の薄汚さを嘲笑しているようでいて、その実互いの故郷を尊重し合っており、気が知れた戦友同士ならではの憎まれ口の応酬なのである。

「さて、そろそろ飯にするか!」

 すると一頻ひとしきり笑い終えたノッシュがそう言って、客車の中央を走る通路の脇に寄せてあった背嚢の中から、ちょうど弁当箱くらいの大きさの新聞紙の包みを取り出した。

「おい待てよノッシュ、いくらなんでも未だ昼飯には早くないか?」

「いいじゃないか、俺はもう腹が減ったんだ! それに早く食っちまわないと、ヒダパンが湿気を吸って不味くなっちまうだろ?」

 未だに腕白少年だった頃の面影を残すノッシュは反論の余地も与えずそう言うと、新聞紙の包みの中からヒライ鶏のハムとサラツ菜をヒダパンで挟んだ携帯食、つまり前世で言うところのサンドイッチを取り出すなりそれに齧り付く。

「……仕方が無い、俺らも飯にするか」

「ええ、そうしましょう」

 さも美味そうにサンドイッチを頬張るノッシュに付き合うような格好でもって、呆れ顔の俺とインジーの二人もまたそう言うと、各自の背嚢の中から新聞紙の包みを取り出した。そしてその包みの中身であるサンドイッチに齧り付く間も、俺ら兵卒達を乗せた蒸気機関車は、サーサライラを目指して走り続ける。


   ●


 やがて辿り着いたサーサライラの街は噂に違わぬ景勝地であり、泥と埃にまみれたドードリエ河沿いの戦場とはまさに文字通りの意味でもっての雲泥の差、つまり贔屓目に言っても天国そのものであった。

「くはぁ!」

 まず何と言っても、源泉掛け流しの湯船に浸かるなり思わず歓喜の溜息が漏れ出てしまうほど、この街の温泉施設は素晴らしい。その素晴らしさは前世の日本国に於ける湯河原や伊豆や下呂と言った、天下にその名が知れた温泉街もかくやと言うほどである。

「ああ、気持ちいいな」

「そうだな、本当に気持ちいいな」

 ちょうど小中学校の25mプールくらいの広さの、大小様々な岩石に囲まれた温泉の湯船に肩まで浸かりながら、俺とノッシュは腹の奥底から絞り出すような蕩けた声でもってそう言った。

「本当に、これは気持ちいいですねえ」

 すると俺らと一緒に湯船に浸かっていたインジーもまたそう言って、ややぬるめのお湯の柔らかな感触にその身を委ねながら同意し、もうもうと立ち上る湯気の向こうで歓喜の溜息を漏らす。ちなみにこの世界の温泉は水着の着用が義務付けられた男女混浴なので、うら若き乙女であるインジーが俺らと同じ湯船に浸かっていたとしても、何の不思議も無い。

「ところでインジー、こうして見ると、やっぱりお前も女だったんだな! 塹壕ではいつも泥だらけだし、髪も短く刈って化粧っ気も無いから、てっきり男の成り損ないかと思ってたぜ!」

「はあ? あんた、何言ってんの? あたしはこう見えても、れっきとした淑女なんですからね!」

 ノッシュに揶揄からかわれたインジーがそう言って唇を尖らせれば、やはり腕白少年だった頃の面影を残すノッシュは真っ白な歯を見せながら、げらげらと愉快そうな笑い声を上げた。

「しかしお前、見たところ綺麗な髪をしているのにそんなに短く刈っちまって、少しばかり勿体無くないか? 俺の記憶だと。確か女性兵士は髪を切らなくても軍務に就ける筈だろ?」

 特に他意も無いまま、湯船に浸かりながら俺がそう言うと、どうした訳かにわかにインジーの表情が曇る。

「ええ、まあ、ちょっとだけ勿体無いなとは思ったんですけど……自分の気持ちに踏ん切りをつけるためにも、思い切って伸ばしていた髪をばっさり切り落としてみたんです。おかげで基礎訓練でを上げる事無く、こうして最前線に配備される運びとなりましたから、後悔はしていません」

 気安いながらも勝ち気な性格のインジーはそう言って微笑むが、俺にはその笑顔が作り笑いにしか見えないし、空元気でもって無理にでも自分自身を奮い立たせているとしか思えない。だがしかし、良く言えば純粋で純朴、悪く言えば無粋で無神経なノッシュはそんな彼女の感情の機微に気付く事無く、俺の疑問に重ねるような格好でもってインジーに尋ねる。

「なあインジー、一つ質問だが、お前はどうして陸軍に志願したんだ? 女だったら志願さえしなければ徴兵される事も無いし、わざわざ危険な最前線に配備される事も無かったんだろ?」

 ノッシュがそう言って尋ねれば、鈍感な彼は気付いていないのかもしれないが、やはりインジーの表情はにわかに曇らざるを得ない。

「……インジー、無理して答えなくてもいいんだぞ?」

 どうやらこれが答え辛い質問だったらしく、顔を伏せたままジッと押し黙ってしまったインジーに、俺はもうもうと立ち上る湯気越しにそう言って助け舟を出してやった。しかしながら気丈な彼女は静かに首を横に振り、俺の助け舟を暗に拒否すると、やがてゆっくりと口を開く。

「あたしにはですね、いつも遊んでくれた優しい兄が居るんです。兄だけでなく姉も居て、以前言った幼い甥っ子と姪っ子はその姉の子供なんですけど、まあそれはともかく、兄が一人居るんです」

 水着姿のインジーは少しばかり思い詰めたような表情と口調でもってそう言って、話を切り出した。

「それでですね、その兄と言うのが生まれつき極度に病弱で、正直言っていつ死んでもおかしくないほどの虚弱体質なんです。なにせ生まれた時に、医者から「この子は十歳まで生きられない」と余命宣告された程だったと言えば、その病弱ぶりを理解してもらえますか?」

 どうやらこの病弱で虚弱体質のインジーの兄が、彼女が志願した件と関わっているらしい。

「そんな兄ですから、この春受けた徴兵検査の結果は、当然の様に全項目で不合格でした。すると、前の戦争で歩兵として従軍した父が激怒しましてね? 病弱な兄を名指ししながら「国家の一大事に兵士の一人も送り出せないなんて、サラルスキー家の名折れだ」って言って、怒鳴り散らすんですよ。それで当の兄の方もすっかり気落ちしちゃって、毎日毎日「死にたい」だの「自分は何のために生きているんだろう」だのと言った泣き言を漏らし、益々身体が衰えて行く一方なんです。だからそんな兄の代わりに、サラルスキー家の代表として、あたしが帝国陸軍に志願したと言う訳なんです。父もそれで、納得してくれましたから」

「成程」

 俺はそう言って首を縦に振り、インジーの言葉に得心してみせた。しかしながら、俺はそんな彼女に重ねて問う。

「だがインジー、お前は本当に、それで納得しているのか? 本来であれば徴兵されない筈のお前が兄の代わりに自ら進んで志願するだなんて、そいつは少しばかり、荷が重過ぎやしないか?」

「……正直言って、荷が重いのは事実です。基礎訓練では何度もを上げ掛けましたし、実際に最前線に送られてからも、過酷な塹壕暮らしは気が滅入る事ばかりですからね。だけど、仕方が無いんです。大事な家族であり、大好きな兄と父のためにも、あたしが志願する他に方法は無かったんですから」

 気丈なインジーはそう言いながら微笑むが、やはりその笑顔は作り笑いであり、きっと彼女の本心は別の所にあるに違いない。なにせ本来ならば、十代後半の少女でしかないインジーは髪を伸ばして綺麗なドレスでもって着飾りたい歳頃であろうし、優しい恋人との逢瀬を夢見る歳頃でもある。そんな彼女が怒れる父と病弱な兄との間で板挟みになった結果、自ら進んで帝国陸軍に志願せざるを得なかったとは、これを不幸と言わずして何と言おうか。

「お前も大変だったんだな。それに、せっかくの休暇の最中だってのに、辛い事を聞いて済まなかった」

 そう言って頭を下げながら謝罪する俺に向けられたインジーの笑顔は、もはや作り笑いではない。

「いえ、いいんです。気にしないでください。なんだか胸の内でぐるぐるしていたものを思い切って吐き出したら、かえってすっきりしましたから。これで心置きなく、全力で休暇を楽しめるってもんですよ!」

「そうか、まあ、お前がそれで納得しているのなら問題無いんだが……くれぐれも、無理するなよ?」

「ええ、無理なんてしません!」

 インジーは笑顔と共にそう言って、ぐっと拳を握り締めながらガッツポーズを決めてみせる。

「よし、それじゃあそろそろ上がるとするか! 風呂に入ったら、今度は腹が空いて来たからな!」

「そうだな、飯にしよう、飯に!」

 気を取り直してそう言った俺ら三人は湯船から退出し、男女別々の脱衣所でもって綺麗に洗濯されたカーキ色の戦闘服に着替えてから、温泉施設が併設されたホテルの食堂に足を向けた。そして食堂の一角のテーブル席に案内されると、給仕を手によって料理が配膳されるのを待つ。

「美味いな」

「ああ、美味い」

 最前線の塹壕に身を隠し、泥と埃にまみれながら毎日毎日ヒダパンとヒダ豆のスープばかりを食べ続けた身からすると、ちゃんと調理されたホテルの食事は思わず語彙を失ってしまうほど美味い。

「本当に、美味しいですねえ」

 テーブルを囲むインジーもまたそう言って、一見すると前世に於けるビーフシチューにも似た濃厚なソースでもって煮込まれた何かの肉を口に運び、感嘆の溜息を漏らす。

「ああ、本当に美味い」

 ホテルの料理長の手に掛かれば、何の変哲も無いヒダパンや何らかの根菜や芋類を煮込んだシチューも、どれもこれも驚くほど美味い。そして楽しい時間と言うのはあっと言う間に過ぎ去ってしまうもので、気付けば俺ら三人は、本日の夕食の献立の全てを胃の腑に納め終えてしまっていた。こんな料理をこれから一週間に渡って食い続けられるとは、まさに休暇様々と言うものである。

「ふう、食った食った」

 美味い料理でもって膨れた腹を撫で擦りながら、俺とノッシュ、それにインジーの三人は食堂を後にした。

「それで、これからどうします? もう寝ちゃいますか?」

 ホテルの廊下を歩きながらインジーがそう言って問い掛ければ、俺が口を開くより早く、ノッシュが答える。

「そうだな、今日は朝から移動しっ放しで疲れたから、さっさと寝ちまう事としよう。なあアルル、お前もそれでいいよな? な?」

 有無を言わせないとでも言うべきか、とにかく反論の余地を与えないような強引な表情と口調でもってそう言ったノッシュを前にして、彼に気圧けおされた俺は「ああ、うん、そうしようか」と言う他無い。

「それじゃあ、お休みなさい」

「ああ、お休み」

 そう言った俺らはホテルの廊下でもって離別し、それぞれの客室の扉の向こうへと姿を消した。ちなみに我が中隊唯一の女性兵士であるインジーはシングルの部屋で、俺とノッシュはツインの部屋に一緒に寝泊まりする事となっている。

「ふう」

 俺は腹の奥底から絞り出すような歓喜の溜息を漏らしつつ、しっかりベッドメイクされたふかふかのベッドの上に、大の字になりながらその身を横たえた。こんなちゃんとしたベッドの上で、砲撃に怯える事無くぐっすり眠れるなんて、実に半年ぶりの事である。

「おいアルル、お前、何やってんだ?」

 するとそんなベッドの上の俺に、ノッシュが呆れ果てながらそう言った。

「何って……もう寝るんだろ?」

「おいおい、まったくアルルは馬鹿だなあ。夜の保養地で若い男が為すべき事くらい、お前だって分かってんだろ?」

 やはり血の繋がった従弟を前にしながらこう言っては何だが、馬鹿に馬鹿呼ばわりされるほどムカつく事は無い。しかしながら今回ばかりは、そう言ってほくそ笑むノッシュの言い分ももっともである。

「つまりお前は、これから俺と一緒に夜の街に繰り出して、大人の遊びに精を出そうって魂胆だな?」

「ご名答! まさにその通りだ!」

「ああ、成程ねえ。それでさっき強引にインジーと別れて、さっさと寝ちまうだなんて大法螺を吹いたって訳か」

 俺がほくそ笑みながらそう言えば、ノッシュもまた無言のままほくそ笑み返す事によって、俺の言葉を暗に肯定してみせた。そこで俺はベッドの上で半身を起こすと一度は脱ぎ捨てた軍靴を穿き直し、外出の準備を始める。

「まあ何だ、そう言う事なら、俺もお前に付き合うのにやぶさかじゃないからな?」

「それなら話が早い。さっそく出掛けようぜ、アルル!」

 そう言ってほくそ笑み合った俺とノッシュの二人は揃って客室から抜け出し、向かいの部屋のインジーに気取られないよう注意しながら廊下を渡ると、やがてロビーを通過してホテルを後にした。そして準備万端とでも言うべきか、どうやら色街の方角を事前に調べておいたらしいノッシュに先導されるような格好でもって、夜のサーサライラへと足を向ける。

「お? いいねえいいねえ、こう言った娼館特有のどこかしら胡散臭い雰囲気、俺は好きだぜ?」

 やがて保養地や観光地に付き物の夜になってから栄えるもう一つの景勝地、つまりサーサライラの色街に足を踏み入れた俺らが適当な娼館の一つへと足を踏み入れると、開口一番ノッシュがそう言った。足を踏み入れた娼館の一階は酒場になっており、その酒場の壁沿いに並ぶ娼婦達の中から気に入った娘を酒を飲みながら選んだら、二階の個室でもって事に及ぶと言うシステムである。

「アルル、お前、どの娘にする?」

「そうだなあ……あの娘かな?」

 多くの酔客達でもってごった返す酒場の一角でノッシュと共にヒダ酒を飲みながらそう言うと、俺は背が高くてグラマラスで、それでいて褐色の肌と長い黒髪が美しい一人の娼婦を指差した。

「あれ? アルル、お前、あんな娘が好みだったっけ? 俺はてっきり、インジーみたいな肌の白い金髪の娘が好みだと思っていたんだが?」

 ホテルに置き去りにして来たインジーに申し訳無いと思っているからこそ正反対の容姿の娘を選んだと言うのに、まったくもってこのノッシュと言う名の従弟は、いつまで経っても気が利かない男である。

「まあ、たまにはな。それでお前は、どの娘にする気だ?」

「俺はあの娘にするよ」

 そう言ったノッシュが指差したのは、どことなくインジーに雰囲気が似た色白で金髪の娼婦であり、やはりこの男の言動からはデリカシーと言うものが感じられない。

「それじゃあさっそく、俺達が彼女達のお眼鏡に適うかどうか、試してみようか」

 そう言った俺はノッシュと共に席を立ち、それぞれがお目当ての娼婦の元へと歩み寄ると、彼女らをベッドに誘う。

「やあ、キミ、可愛いね」

 先程俺が指差した背が高くてグラマラスな娼婦、つまり褐色の肌に長い黒髪が美しい女性にそう言って声を掛けると、彼女はまるで値踏みするかのような視線でもって俺を一瞥した。

「あら、今日のお客さんは兵隊さんなの? お国を守る兵隊さんが、こんな所で遊んでいてもいいものなのかしら?」

「今は休暇中だからね。たまには兵隊にだって、息抜きが必要さ」

 俺が肩を竦めながらそう言えば、その仕草が面白かったのか、黒髪の娼婦はくすくすと可愛らしい笑みを漏らす。

「よく見ればお客さん、なかなかあたし好みのハンサムな兵隊さんじゃないの。どうかしら? 普段は一回8000ニースのところを、特別に7000ニースでお相手してあげようじゃないかしら?」

「ああ、是非ともそれで頼むよ」

 俺はそう言って、一回7000ニースと言う黒髪の娼婦の提案を快諾した。すると彼女は眼をぱちくりさせながら、少しだけ驚く。

「あらお客さん、値段交渉はしないのかしら?」

「いくらここが娼館だからと言っても、女性と金の話をするのは好きじゃないからね。それに、たとえぼったくられていたとしても、キミの様な可愛らしい女性に騙されるなら本望さ」

 やはり肩を竦めながらそう言った俺の言葉に、黒髪の娼婦は愉快そうに声を上げて笑い始めた。そして一頻ひとしきり笑い終えると、腕を組むついでに、彼女の豊満な乳房を俺の腕にそれとなく押し当てる。

「ああ、可笑しい! こんなあたしなんかを可愛らしいだなんて、益々あなたの事が気に入っちゃうじゃないの! それじゃあお客さん、お言葉に甘えて一回7000ニースを頂戴しちゃうから、その分たっぷりサービスしてあげようじゃないかしら? さあ、二階に上がりましょ!」

 交渉と言うほどでもない交渉が成立した俺と黒髪の娼婦はそう言って、階段の方角へと足を向けた。褐色の肌が眩しい彼女のグラマラスな身体からは、何らかの香水の甘く爽やかな香りがぷんと漂う。すると時を同じくしてノッシュもまた交渉が成立したらしく、俺ら二人はそれぞれお目当ての娼婦を連れながら、娼館の二階へと移動した。

「それじゃあアルル、後で下の酒場で合流しようぜ。お前が先に終わったら、先に帰らないでちゃんと待ってろよ?」

 そう言ったノッシュと廊下で離別し、娼館の二階に並ぶ個室の一つへと移動すると、俺は黒髪の娼婦をベッドに押し倒すなり唇を重ねて舌を絡める。

「ねえお客さん、あなたのお名前を教えてくれるかしら?」

「ああ、俺はアルルだ。アルルケネス。そう言うキミの名前は?」

「あたしは、スラーラヌイ。親しみを込めてスラーラって呼んでちょうだいね?」

 唇を重ねながらそう言った黒髪のスラーラの言葉に、彼女のそれと絡め合っていた俺の舌の動きが不意に止まった。

「あら? どうしたのかしら、アルル?」

「いや、キミが古い知り合いと同じ名前だったから、ちょっと驚いてね」

「そうなの? それで、その古い知り合いって言うのは、昔の恋人か何かだったりするのかしら? それとも、お母さんやお姉さん? 見知った女性と同じ名前の女は罪悪感が先に立って、どうしても抱く気になれないって言う男も珍しくなくってよ?」

「いや、その点なら大丈夫。問題無い。俺はむしろ、知り合いと同じ名前だと燃える方かな?」

「そうなの? ふふふ、あなたってば、悪い男ね」

 悪戯っぽく微笑みながらそう言った黒髪のスラーラの煽情的な下着の中に、俺はわざとゆっくりとらすように手を差し入れ、簡素な個室の中央に設置されたベッドの上で情事に及ぶ。


   ●


 やがて情事に及び始めてから前世での時間単位にしておよそ一時間後、永い塹壕暮らしで溜まった性欲をすっかり発散し終えた俺は、その性欲を受け止めてくれた黒髪のスラーラと並んでベッドに横になっていた。

「こう言う時にダンディーでハードボイルドな男だったら、煙草を吸うと様になるんだがな」

 俺が娼館の天井に向かって独り言つようにそう言えば、半身を起こしてベッドの縁に腰掛け、髪をかし始めた黒髪のスラーラは「たばこ? 何なのかしら、それ?」と言って首を傾げる。驚くべき事に、この世界の、少なくともロンヌ帝国が属する文化圏に於いては煙草を吸う習慣も概念も存在しないのだ。

「何でもないよ、俺の故郷の習慣の事さ」

「へえ、どんな習慣なのかしら、その『たばこ』って言うのは?」

「そうだな、上手く言葉では説明し辛いが……乾燥させて細かく切り刻んだ葉っぱを焼いて、その煙を細い管でもって吸うんだよ。そうすると、なんだか少しだけ気分が良くなるんだ。まあ、聖堂の司祭が焚く乳香みたいなものかな」

「ふうん、おかしな習慣ね」

 不思議そうにそう言ったスラーラが、螺鈿らでんの様な細工が施された櫛でもっていている長く綺麗な黒髪に、俺はそっと手を伸ばす。

「綺麗な髪だ」

 そう言いながら、俺は猫じゃらしで遊ぶ子猫の様に、彼女の黒髪を指先でもってもてあそんだ。艶と張りがあり、たっぷりの水分と油分を含んだ、キューティクルが整った極上の黒髪である。

「あら? お客さんったら、長い黒髪がお好きなのかしら?」

「ああ、うん、そうだな。好きと言うか何と言うか、とても懐かしい気持ちになるんだよ。さっきも言った俺の故郷には長い黒髪の女性が多かったし、永らく会っていない歳の離れた妹も、腰まで届く黒髪だったからな」

 俺がそう言えば、こちらを振り返った黒髪のスラーラの瞳から溢れ出た一筋の涙が、彼女の頬を伝い落ちた。

「!」

 彼女の頬を伝い落ちる涙に俺が驚いていると、黒髪のスラーラはその涙を指先でもって拭い取りながら釈明する。

「ごめんなさい、ホントに駄目ね、あたしったら。仕事中に泣いちゃうなんて、素人の生娘みたいじゃない。だけどね、どうしても未だに男の人に髪を褒められると、ついつい涙が出ちゃうの」

「それはまた、どうして?」

「あたしにもやっぱり歳の離れた兄と弟が居て、揃ってあたしの黒髪を褒めてくれていたもんだから、どうしてもその二人の事を思い出しちゃうのよね。両親が離婚して会えなくなってからもう十年が経とうって言うのに、思い出す度に泣いちゃうんだから、参っちゃう」

「その兄と弟は、キミがここに居る事を知っているのかい?」

 俺がそう言って問い掛ければ、黒髪のスラーラは首を横に振った。

「ううん、あたしがこのサーサライラ街に居る事も、こんな仕事でもって生計を立てている事も、彼らが知る訳が無いもの。いえ、むしろ知られていない事こそが、唯一の救いと言えるんじゃないかしら? だって知られていなければ、幻滅される事も無いんですからね」

 そう言った黒髪のスラーラの頬に、更にもう一筋の涙が伝い落ちる。

「ああ、もう、あたしったらホントに駄目じゃないの! しっかりしなさい、スラーラヌイ! せっかくのお客さんの前で身の上話を始めただけでもプロ失格だって言うのに、あまつさえ泣き出すだなんて、娼婦の風上にも置けないじゃないの!」

 自らを戒め、また同時に鼓舞するような表情と口調でもってそう言った黒髪のスラーラは、客である俺に泣き顔を見せないためかぷいとそっぽを向いてしまった。そしてそんな彼女の後ろ姿に、俺は言い知れぬ衝動が胸の奥底からふつふつと湧き上がって来るのを実感せざるを得ない。

「……」

 その衝動とは、即ち敢えて言葉にするならば、眼の前の不幸な女性を今すぐにでも殺してあげなければならないと言う義務感と正義感であった。

「……スラーラ……」

 湧き上がる衝動に駆られた俺の両手が、黒髪のスラーラの細く無防備な首を締め上げんと、ゆっくりと背後から彼女に迫る。

「あら? どうしたのかしら?」

 しかしながら、彼女の首に手を掛けようとしたまさにその瞬間、黒髪のスラーラが不意にこちらを振り向いた。彼女を絞殺すべく差し出された俺の両手が行き場を失い、空しく宙に浮く。そこで俺は「いや、その、キミの綺麗な黒髪にもっと触れていたくてね」などと白々しい嘘を吐き、その場を誤魔化すのだった。

「あら、そうなの? だったらどうぞ、好きにしてちょうだい」

 そう言って微笑むスラーラのお言葉に甘えて、俺は彼女の長く綺麗な黒髪を撫で続けるが、それと同時に眼の前の娼婦を今すぐにでも殺してあげてしまいたい衝動とも戦い続ける。だがしかし、今ここで彼女を殺してしまうのは、あまりにもタイミングが悪いと言う他無い。いくらここが色街の娼館とは言え、さすがに娼婦の一人が客に殺されたとあっては俺に逃げ場は無いし、警察なり憲兵なりに捕まれば投獄は免れ得ないだろう。そうなってしまっては、より多くの不幸な人を殺してあげなければならないと言う俺に課せられた使命もまた、達成されないまま宙に浮いてしまうのだ。そんな生まれ変わった意味が無いような馬鹿げた結末だけは、何としても避けなければならない。

「お客さん、そろそろお開きにした方がいいんじゃないかしら? きっとお連れの兵隊さんも、下の階で待っている頃でしてよ?」

 やがて黒髪のスラーラがそう言って腰を上げたので、彼女の髪を撫でていた俺もまた半身を起こし、そのままベッドの上から板敷きの床へと降り立つ。

「それじゃあお客さん、無粋な事を言うようですけど、代金を支払ってくださる?」

「ああ、うん」

 そう言った俺は財布から10000ニース札を取り出し、それでもって金で買った愛情の勘定を終えると、微笑みながら「また縁があったらあたしを指名してね、兵隊さん」と言った黒髪のスラーラと共に娼館の二階に並ぶ個室を後にした。

「よう、遅かったな」

 娼館の一階の酒場へと足を踏み入れてみれば、先に事を終えていたノッシュがヒダ酒を飲みながら待機していたので、俺は別れの言葉と共に黒髪のスラーラと熱い接吻を交わしてから彼に合流する。

「どうだアルル、楽しかったか?」

 ノッシュと同じテーブル席に腰を下ろせば、開口一番、下卑た笑みと共に彼が俺に尋ねた。

「ああ、まあな。それで、お前の方はどうだったんだ、ノッシュ?」

「そりゃもう、最高だったぜ! あの金髪の娼婦の娘、名前はアジャータって言うんだけど、見掛けによらずテクニシャンでな? 最後の一滴まで俺の精子を吸い取るような勢いでもって吸いついて来るって訳よ!」

 どうやら娼婦とよろしくやったらしいノッシュは興奮気味にそう言うが、見知った男視線の性行為の詳細を力説されるほど不快なものは無い。そこで俺は彼の言葉を聞くともなしに聞き流しながら、煽情的な衣装の酒場のウェイトレスから受け取ったヒダ酒のグラスを傾ける。

「なあ、また明日もここに来ようぜ!」

「馬鹿言え、そんなにほいほい来られるほど、俺もお前も懐が暖かくはないだろう? 違うか?」

 俺はそう言って、どうやらアジャータと言う名の金髪の娼婦をよほど気に入ったらしいノッシュの提案を却下した。そして壁沿いの定位置へと並び直した黒髪のスラーラをちらりと一瞥しながら、彼女を殺してあげられなかった事をいつまでも気に病み続ける。

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