第五幕 直前ふりかえり

これまでのあらすじ&キーワード


※本編の内容の振り返り & 整理です。





◇ 第一幕 カミツキ姫の御仕事おしごと ◇


・地蔵の町編

 暗部の組織『平賀』当主の三男坊として生まれた平賀真信は実家を抜け出し、九州の田舎町で一人暮らしを始める。立ち寄った同級生宅で殺戮現場を目撃してしまった真信は、菅野すがの源蔵げんぞうと取引を交わし、樺冴かご深月みつきの世話係となる。樺冴かご家は強力な狗神いぬがみを用いて、国に敵意を示す呪術者を狩る存在だった。

 樺冴かごの人間が憑き物筋として町の人間から疎まれていることを知った真信は、因習を疑おうともしない彼らに反感を覚える。一方の深月は、樺冴家を敵視する老婆に対し警告を行い、老婆を害することなく事態を穏便に済ませるのだった。


・誘拐事件編

 深月の世話をこなすうちに信条の変化を感じる真信。呪術組織『十戒衆じっかいしゅう』の下っ端たちに連れ去られそうになったところを、事態を予期していた深月に助けられる。世話係としての真信は彼ら組織を釣る餌であった。

 身代わり人形を追って敵組織に乗り込む二人だったが、敵の幹部たちは平賀の手足である『門下』たちによってすでに殺されていた。

 狗神を乱用し意識を朦朧もうろうとさせる深月。そんな彼女の様子を真信は不審に思いながらも、「信じていいの?」という問いに「いーよ、信じて」と答えてくれた彼女へ強い感情を覚えるのだった。


・噴き出す闇編

 寝込んでしまった深月を心配した真信は樺冴かご家の事情へ踏み込むことに。真信は自分を監視していた『平賀』での元付き人、静音から樺冴かご家の異様さを伝えられる。

 深月の後見人、菅野すがの源蔵げんぞうに連絡を取った真信は、貸し切られた病室で樺冴かご家創設の経緯いきさつを語られる。樺冴家は百年以上前に三人の重要人物によって生まれたこと。樺冴かご家の狗神いぬがみは強力だが、宿主の精神を喰らい続け廃人にしてしまうこと。そして廃人となった深月の母親は緊急時の母体として生かされ続けていること。深月はその運命にたった一人で決着を付けようとしていた。

 深月を自身と重ねた真信は彼女を説得し共に逃げようとするも、意見が衝突し喧嘩別れしてしまう。その心の隙をつかれ両者はそれぞれ捕られの身となってしまった。


・交差する世界編

『信じること』を知った真信は元部下達の説得に成功し、彼らを連れ『十戒衆』に囚われた深月の救出へ向かう。無事に深月を取り戻した真信は、この救出劇が十戒衆を一網打尽にするために源蔵が仕組んだことであり、自分が深月と出会ったことも父の筋書き通りであることを伝えられる。真信は父への反抗を決め、部下と共に深月の屋敷に住むことに。そして改めて深月の味方でいることを誓うのだった。


〇第一幕 キーワード〇

・三種の神器:皇位の証。譲位の際に用いられる神代の呪具。深月の先祖が逃亡の際に人質代わりに二つ持ち出し、現在は樺冴屋敷のどこかに隠されているという。多くの者は樺冴家にあるモノは真物と同等の呪詛を秘めるレプリカだと思っているが、実は樺冴家のものこそ真作だと第四幕で明かされた。

菅野すがの源蔵げんぞう:親友が狗神化する直前に残した呪いにより、この狗神が存在する限り死ねない身体になっている。どんな傷を負ってもすぐに再生する。

・樺冴家:源蔵とその妻、そして彼らの親友とのすれ違いによって悲劇は引き起こされた。膨大な呪詛を孕む狗神は代々直系女人に受け継がれ管理されている。

・狗神:樺冴家の狗神は通常の犬神と大きく異なる。強大な力を有する反面、使用するたびに使役者の精神を喰らい削り取っていく諸刃の剣。歴代の使役者と深月の尽力により、その呪詛総量は誕生時の約半分にまで減っている。



◇ 第二幕 カミツキ姫の因果律いんがりつ  ◇

・変貌と停滞編

 真信は町の防衛システムを構築し、深月を守る地盤を固めていた。裏社会でのカミツキ姫の認知も変化があり、真信は『暴れ回っていたカミツキ姫を飼いならした平賀出身者』と認識され始めているらしい。

 町では小さな異常と共に神隠しが発生。深月たちは偶然に『異界』へ落ちてしまった児童を救出する。神隠し発生の原因は町の結界が揺らいだことにあった。狗神の呪詛は強力すぎて、存在するだけで世界の基盤を揺るがしてしまうという。


・続・変貌と停滞編

真信は自分たちを狙っていた暗殺者の少女、木蓮もくれん奈緒なおを学内協力者として雇うことに。気のいい後輩である奈緒はすぐ深月たちに馴染んでいく。

 一方、深月達の平穏を保つ責任を一人で背負う真信はプレッシャーに耐えていた。路地裏で嘔吐した真信は謎の人物に水を貰うが、異界との『狭間』に消えたその人物のことを、真信はすぐ忘れてしまうのだった。


・もう一人の自分編

 町への侵入者から怪しい研究所を特定した真信たち。少人数での制圧を計画するも、深月は真信の同行を拒否し奈緒と二人で別行動することに。

深月から信用されている奈緒だったが、しかし彼女はイナーシャと呼ばれる反呪術者組織の構成員、氷向ひむかい綾華りょうかに雇われカミツキ姫陣営に潜り込んだ諜報員でもあった。

 深月と共に研究所に向かった奈緒は、呪術と樺冴かご家の異常さの一端を垣間見ることに。仕事が片付き帰ろうとした奈緒は真信に命を救われ、淡い気持ちの高まりを覚える。

 そんな中、奈緒の経歴に不審な点が浮上する。書類上は存在しないはずの“姉”の存在。本当の彼女は『拷問姫:木蓮奈緒』なのか、それとも『平賀に恨みを持つ木蓮一家の生き残り』なのか。

 奈緒は自身がイナーシャに雇われていることを明かし、樺冴家メンバーと共に氷向ひむかい綾華りょうか率いるイナーシャの面々を返り討ちに。その日、樺冴の屋敷に泊まった奈緒は自身の家族への懺悔をこぼす。奈緒の正体は平賀に家族を殺され一人生き残った少女。彼女は家族を殺した張本人と思しき『平賀の次期当主』への復讐のために、平賀を出奔した真信たちに近づいたのだった。


・命の対価編

奈緒は両親を殺した張本人が真信であると確信し、深月たちを山奥の別荘に招待する。そこでは奈緒の命の恩人、千々石ちぢわ八潮やしおが待っていた。千々石ちぢわは十戒衆亡き後の組織を再編成し、『石敢當いしがんどう』という新組織を立ち上げていた。深月と石敢當は日本呪術界のゆるやかな衰退を目指し同盟を結ぶ。

 奈緒は真信と静音を捕らえ自身の正体を明かす。「命に値するのは、命だけですから」と語り真信へ拳銃を向ける奈緒。しかし直前で静音の銃弾に倒れる。同時刻、別荘でイナーシャの綾華りょうかが暴れ始める。意識を失った奈緒をマッドと静音に預けた真信は、綾華りょうかとの戦闘へ。真信は綾華の左腕を切り落とし決着をつけ、崩壊する別荘からの脱出に全員成功する。

 ギリギリで命を繋ぎ止めた奈緒は復讐の終わりを宣言。代わりに真信の今後を見守る『裁定者』を名乗るのだった。


 一方、こちらも命からがら逃走した氷向ひむかい綾華りょうかは謎の少女と遭遇する。少女は平賀の牢獄から逃げ出して来た「平賀真信の妹の永吏子えりこ」と名乗った。


〇第二幕 キーワード

・異界:現世と表裏一体で存在する、現世とは隔たれた空間。普段は隔絶されているが、特殊な地理条件などがそろうと交わりやすくなることがある。昔は神隠しでここに落ちる者が多数いた。基本的に常人は異界で長時間生きていられない。時折どこかで異様な死体が発見されるのは、異界から流れてきたものの可能性がある。

狭間はざま:異界と現世の間の空間。異界ほど隔絶された場所ではないが、常人が長時間居ると精神に不調をきたす。千々石ちぢわ八潮やしおはここを経由することで樺冴の町へ侵入した。

・木蓮奈緒:この名を持つ人間は二人いる。一人は暗殺者である拷問姫。もう一人は十戒衆の秘書をしていた木蓮浩二の娘。真信の前に現れた少女の正体は後者であるが、彼女は平賀に近づくために前者の経歴を借用していた。

・イナーシャ:もとは呪術や宗教の被害者が集まってできた互助組織。現在は呪術の撲滅を目指した過激な行動が目立つ。



◇ カミツキ姫の御伽噺おとぎばなし(短編集) ◇


・出向者の策略論

 源蔵げんぞうの指示で兵器開発組織『アカデミスタ』に潜入した真信の部下は、刈浜かりはまというカバーを被って活動していた。刈浜はアカデミスタの重要人物に近づき、情報ルートも確保するなど有能な働きを見せる。しかし刈浜のカバーは我が強すぎて、彼の精神に影響を与え始めているようだ。ある時期を境に刈浜からの定期連絡は途絶えている。



◇ 第三幕 カミツキ姫の東天紅とうてんこう  ◇


・排斥の聚落編

 国内が帝の生前退位宣言に揺れるなか、深月たちは町から遠く離れた田舎町にいた。深月は帝からの奉直命令を受け、真信・静音・千沙と共に、アカデミスタから実験場として狙われているらしき緒呉おくれ地区を調査することに。一行は小里おざと家に滞在し情報収集を始めるが、閉鎖的な空気とよそ者を嫌う風土のせいで調査は難航していた。

 緒呉唯一の神社には何も祀られておらず、地区全体からは異様な気配がしている。明らかに異常な土地だが原因が見えず深月は手詰まりを感じていた。

 真信は小里家の双子と遭遇。浄目じょうがんを持つ二人には顕現させていない狗神の姿が見えていた。真信は小里家の兄姉弟きょうだいを見ていて、処刑された自分の妹のことを思い出す。


・解けゆくモノ編

 里帰りしていた嘘嫌いのイナーシャの構成員、伊佐いさ尚成たかなりから、緒呉が祀っている存在が『鬼』であると教えられる真信。緒呉の問題を解決するため尚成たかなりから協力を持ちかけられるが怪しかったので断った。

 調査が進み緒呉について情報が集まりだす。緒呉がかつて鬼をかくまう里であり、小里家はその鬼の後裔だと。また、小里家に婿入りした男が住人達に妙な薬を配っていると知る。

 樺冴の町に残った奈緒は源蔵に呼び出された。帝の退位が呪術社会にとって予想以上に影響があると告げられる。同時刻、『只野』と名乗る少女が町に現れ奈緒と出会う。人間を玩具のように認識し眼球に執着する只野を、奈緒は助言を与えてなんとか無傷で送り返した。


・目覚めの朝命編

 緒呉にばらまかれた薬は緒呉の人間の筋力などを飛躍的に向上させる効能を持っている。ついに祭りが始まり真信たちは警戒を強めるが、先手を打たれ住民の大半が鬼と化し、混乱を引き起こした。住人たちすら勘違いしていたが、鬼の後裔は実は住民たちであり、小里家はかつて鬼達に蹂躙された人間の末裔である。

 多数の鬼の出現に真信たちは各自対応を迫られる。ひいらぎは事態を収束させるため元凶たる父親螺剛らごうの元へ。一方の真信のもとには尚成たかなり達が合流。住民の鬼化を解くには緒呉を覆う結界の破壊が必要と分かる。真信は突如現れた兄、実篤さねあつと交渉し、結界の破壊を依頼。双子が揃ったことで浄目による鬼の一時無力化に成功する。

 鬼に覚醒した柊は螺剛らごうを殺害。鬼の本能のままに暴れながら生家を目指す。

 結界の依り代をすべて壊しても結界が消えない。結界の柱が別にあると踏んで、真信達は柊と合流するため小里の家へ。しかし現れた柊は鬼になっていた。双子の浄目でも変貌が解けない状態だったが、狗神と浄眼とのリンクによってなんとか人に戻すことに成功。

 緒呉は国の呪術災害対策部門によって焼き払われた。逃げ出した一行だったが、双子は兄と離れることを決める。双子の行き先は伊佐いさ尚成たかなりがボスを務めるイナーシャのもとだった。そのころ、真信は次兄から妹の生存と脱走を知らされていた。


〇第三幕 キーワード

・奈緒の出した宿題:『真信へ向ける気持ちと他のみんなに向ける気持ちの違いを考える』深月と真信のじれったい距離感に業を煮やした奈緒が深月に与えた出張中の宿題。深月は答えとして真信のことを「特別」と位置づけた。まだ明確な恋心には到達していない様子である。

・狗神の異変:狗神の呪詛の縛りを緩めたことで溢れた強い力。今まで観測されたことのないは、確実に深月へ影響を与え始める。

・生前退位:帝の地位そのものが日本国の呪術基盤を形作っている。しかし皇嗣こうしの呪術素養は低く、現帝が退位すれば呪術社会は混乱に堕ち実社会にも悪影響がでてしまう。ゆえに帝は解決策ができるまで在位を長引かせねばならなかったはずだが……。

・眼球への執着:他人の眼球をえぐって眺めるのが好きな永吏子に奈緒は助言を与える。「瞳って、やっぱり生きてる人間の眼として存在するから輝くんですよ」「一度、取らずにじっくり観察してみてください」永吏子はこの助言に従い、双子の眼を観察することにしたようである。



◇ 第四幕 カミツキ姫の氏素性うじすじょう  ◇


・仄かな予兆編

 緒呉から帰って以来、深月と静音の様子がおかしいと訝しむ真信。双子との再会を望む小里おざとひいらぎを戦力に加えた樺冴屋敷勢は、マッドに届いた招待状から皇嗣がとあるパーティーで重要な話を行う可能性を知る。パーティーに向けそれぞれが準備を進めるなか、静音は真信が周囲へ心を開いていく様子に複雑な思いを抱えていた。

 夏休み最終日、深月たちは協力者である柳楽なぎら紗希さき春高はるたか柘弦つづる両名と合流し、会場のホテルへと向かう。


・変調の萌芽編

真信は会場付近で伊佐いさ尚成たかなりと遭遇し、今件にイナーシャが関わっていること、そして妹がイナーシャに居る事実を知る。

 真信と作戦の最終調整を終えた静音は永吏子の情報を共有。彼の笑みを見た静音は自分の最優先事項が真信の幸福であることを改めて意識した。

 会場に到着した面々。そこには招待された以外にも多数の呪術者が入り込んでいるようだ。ついに現れた皇嗣こうしはしかし、あっさりとした挨拶で引っ込んでしまう。

 パーティーも終盤、ホテルの隠し通路からアカデミスタの手配した人員が多数潜り込んできたことが発覚。退路を確保しに行った静音はそこで氷向ひむかい綾華りょうかと遭遇する。綾華りょうかは奪われた太刀を静音に譲るも、静音は「必ずお返ししますね」と一方的に約束してその場を離れるのだった。


・世情転変編

 イナーシャが会場を護っていることで、皇嗣とイナーシャの繋がりが明白となる。現れた皇嗣は呪術者だけを会場に残らせて告げる。

「僕と共に、呪術を滅ぼしてくれる者はいませんか?」

 自身の呪術素養では呪術社会の軸を果たすことができない。呪術の理が崩壊し、抑えられていた呪具や呪物が暴走すれば大災害を引き起こす。皇嗣にはその前にすべての呪物を消し去る計画がある。すなわち、カミツキ姫の使役する狗神との対消滅だった。

 皇嗣は自身の味方を可視化し、そうでない者の排除を狙う。しかしそこへアカデミスタの一団が乱入。敵味方入り混じる乱戦が始まる。

 先んじて会場を離脱していた深月は静音と合流し、隠し通路を使ってホテルの外を目指す。

 会場では紗希さきが巫女の力を解放し場を掌握。皇嗣の退避を急いでいた。

 会場外に出た奈緒は場をマッドに任せ、一人で突っ走って行った柊を追う。待っていたかのように現れた尚成たかなりに裏切りを要求されるも拒絶。尚成は真信を仲間に引き込みたいようである。

 隠し通路でアカデミスタの死体の山に出くわした深月は、待ち伏せしていた永吏子に薬を打たれ自由を奪われてしまう。深月を取り返そうと相対する静音。静音は自身の迷いのせいで作戦が筒抜けだったことにショックを受けるが、真信のために永吏子をここで殺すことを決意する。しかし永吏子に大怪我を負わせるもあと一歩届かず、その命を散らした。

 イナーシャは深月を眠らせ連れ去った。綾華りょうかは静音に渡した太刀が返って来たことで勝手に果たされてしまった約束に対し「どこに返せってのよ、こんな借り」と憎々し気にこぼす。

 同日、樺冴の町では皇嗣の部下が源蔵を迎えに来ていた。源蔵は一つ伝言を残し、抵抗せず連行されて行く。「──神器は狗神の中だ」


〇第四幕 キーワード

・安楽死薬:マッドがかつて完成させた、一切の苦痛なく死ぬことができる即効性の液薬。あまりの効果に平賀当主権限で秘匿され、現物を一つだけ残し研究資料はすべて破棄された。唯一の現物は現在製作者マッドの手によって真信に預けられている。

・神器と皇位:呪術の素養の低い皇嗣は帝位を継いでも神秘の軸となることができない。譲位に必要な三種の神器が揃っていれば無理を通すこともできたが、現在真作のうち二つは盗み出されて行方不明だと皇嗣は語る。その行方が樺冴家の狗神の中だと知る者は現帝と源蔵のみ。現帝はすでに自我を崩壊させたとされる。

・花の色:パーティーに参加した呪術関係者と警備関係者に付けられた白い造花。皇嗣の策に恭順する者は青色、反対する者は赤色、どちらでもない者は黄色に染まる。静音の機転で門下たちはこの花をすぐに捨てた。真信には全員が赤か黄色になったと報告されている。誰が何色に染まったか記憶しているのは指示を受けた竜登りゅうとだけである。

 赤色(反対) → 真信、柳楽なぎら紗希さき、他数名

 青色(恭順) → 竜登りゅうと、他数名

 黄色(中立) → 春高はるたか柘弦つづる 

 白のまま → 千沙ちさ

・永吏子の目的:真の理解者を欲する永吏子は、血を分けた兄との間に子をもうけたいと願っている。倫理観が欠けているわりに他人との約束を重視する傾向もあり、現在も何か約束を果たすために行動している。

・千里眼:永吏子と真信の母は、千里眼かつ順風耳を作ろうとしたときの失敗作という。力の一部を受け継いだ永吏子は、自身とかけ離れた性質の人物・生物の視界を盗み見ることができる。また、自分や自分の兄である真信に近しい思考回路の人間の眼を借りることはできない。




────次幕予告

 第五幕 カミツキ姫の分水嶺ぶんすいれい




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