せん

てん

第1話

  

  

 みんな、普通の顔をしている。高校生の頃の私は、とにかく全てが嫌だった。綺麗事を並べる先生、親、部活で活躍している妹や従兄弟。「うちらイツメン」とか言ってる顔馴染みのクラスメイト。全てが嫌いで、大人なんて汚いとすら思っていた。そんなことを家でぼやくと、「社会に出ればわかる」の一言で終わらされた。社会に出て、慣れれば諦めがつくと大人の考えを押し付けられたような感覚だった。とにかく私は、綺麗事を言っているやつほど汚いと思ってて何も無かったように笑ってるやつには苛立ちがあった。なんで、普通の顔してるの?無理に笑うなよ、うざかったらうざいって言えよ。苦しかったら、苦しいって言えよ。なんで自分の感情に素直なだけなのに苦しまなきゃいけないの?みんな苦しくないの?ずっと不思議だった。

 だから、私は壁を作った。きっと、はたから見たら「え?壁なんかなくない?」って周りの人は思うかもしれないけどこれ以上は入ってこないでというオーラは常に出していた。もちろん、私自身も相手に踏み込みすぎることは無い。知られたくないこと、人はそれぞれその人だけの地獄のようなものを持っていると気づくのはまだ先の事だったけど。

私はちょっとこの人違うなとか、考えが合わないな、これ以入ってこないで欲しいなと思ったらその時点でバツっと関係を切った。私は、それでいいとすら思っていた。ストレスは自分から捨て、関わらないようにする。もしかしたら、その人たちが自分に新しい考えを教えてくれるかもしれないけれどそんなことすら考えたくもなかった。とにかく干渉しないでほしい。自分を知られて否定されてくない。否定されるくらいなら隠していた方がいい。ただ、怖かった。昔から私の心の支えは女性アイドルだった。

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せん てん @ten1241

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