第46話 信治、戦術を考えて、チームの雰囲気を変えます。

いろいろつっこみたいたい事があったが、UJIZANEはテクニシャンで一流のプレーヤーだ。雪さんにはああ言ったが雪さんでも止められないと信治は考えていた。得点を取った時みたいに攻撃で圧迫できれば良いけど、高い位置に残るUJIZANEとワントップとトップ下と左ウィングは脅威だった。簡単には攻撃参加できない。どうすれば良い?信治は考える。左サイドから全体を見てみる。地方騎士団の左サイドバックは円さんに張り付いている。左ウィングは環さんとマッチアップを試みている。中央部は二人のボランチと二人のサイドバックが完全に守っている。もうスライドはしないようだった。守備の時でもエクスの足の早さを信じているみたいだ。そうなるとプレーする場所がない。となれば最初の計画通りに雪さんと僕でUJIZANEとエクスをおさるしかない。カバーリングはディフェンスの基本だ。そのために走る、チームのために走るのは当たり前の事だ。走る。信治はそう腹をくくる。

いつも冷静な雪さんが困惑している。自分に言い聞かせ、雪さんを落ち着かせるためにもう一度言った。雪さんの正面に向かい、両手を雪さんの方に乗せる。そのまま言葉を放つ。

「雪さん。最初の練習どおり行きましょう。混乱したままだと負ける。勝つために練習してきたんですから、大丈夫ですよ。僕は走ります」

「ひゃい。そうするしか方法はなさそうですね。それで分かりました。あの、その、手///放してくれますか?そんなに見つめられると恥ずかしいです」

自分は何をやっているのだろう。女性の方に手を置いて見つめるなんて。

「ごめんなさい」

「励ましてくれんですよね。うれしいですよ」

「信治はナターリアのものなのに、信治浮気し過ぎなの!」

「ナターリアさんは、前世で結婚されてましたよね。浮気者はナターリアさんですよ」

「昔は昔、いまは今なの。乙女の恋は命がけなの!」

「お前らサッカーに集中してくれ。プレー始まるぞ」

「アレックスさん、すいません」

雪がポジションにつく。

「アレックスさんすいません」

「順平はチームのためにしてくれた事だ。大丈夫だ。ハーレム男w」

諧謔みに言い放たれたアレックスの言葉で自警団は笑いに包まれる。

「落ち着いたら、試合再開だ。勝つぞ」

続けれアレックスの怒声が響いた。

そう勝つために僕たちは戦っている。戦いにつらい時も意味を見出せない時もある。

今は決してそうじゃない

それにヒールリフトもUZJIANEも後方のスペースがなければない技だ。タイトにマークすれば必ずとれる。そして個人の力によるドリブル突破。

必ず成し遂げる。前半の時間も残り少ない。

僕の戦いはこれからだ。

いや、僕たちの戦いはこれからだ。

                                  続く

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