第45話 UJIZANER流サッカー
地方騎士団ボールで試合が始まる。
地方騎士団の
「両ウィングは相手のサイドハーフとマッチアップしろ。WJIZANE、エクス全力で行け。焦るな。負けた訳じゃない」
ピー
審判が試合の再開を告げる笛を吹く。
地方騎士団のワントップはボランチにボールを回す。
しかし、WJIZANEは上がってこない。
雪は攻撃、守備両方に対応できるポジションを取る。
信治もディフェンスラインを意識して、慎重にポジショニングを取る。
こちらのチームはアレックスが地方騎士団のトップ下に、ナターリアが全体を見て、シュタールと王子は敵のディフェンスラインに張り付いている。相手にコンパクトな陣形を与えないためだ。しかし、相手のダブルボランチには圧力がかからない。
そんな中、相手のボランチからWJIZANEにボールが渡る。
UJIZANEは悠然とドリブルを開始し、その後ろをエクスがついてくる。
雪がUJIZANEとマッチアップするために近づいていく。
「エクス走るのじゃ。しかけぞるよ」
「まかせてや」
そう言うと雪にUJIZANEはドリブルで近づき、左サイドラインをエクスが走る。
そのタイミングを見て、UJIZANEは体を左に振る。左から抜くと雪は予想し、重心を左足に乗せる。
「裏108式、天蹴球」
そう言い雪の右側を抜いていく。ボールは雪の頭上を通り、前に進んでいく。
信治は一瞬止まった。何が起きたのか信治は理解することができなかった。
信治は何とか思いだす事ができた。
早い話がUJIZANEはヒールリフトをしたのだった。
見たことも対応したことも無い。そして、ボールに行くべきか、UJIZANEのマークにつくか悩んだその迷いが、信治と雪の行動を遅らせる。
ボールは内側に切れ込んできたUJIZANEでは無く、エクスの前方に落ちる。
「信治、エクスにマッチアップ。雪はUJIZANEへ」
ナターリアから指示が飛ぶ。そしてナターリアも戻ってきている。
我を取り戻した、信治はエクスにマッチアップに行く。
「判断も遅いな、関空快速。あばよ」
そう言って、キックフェイントでクロスを上げるふりをして、中に切れ込んできたUJIZANEにボールを回す。
雪は何とか足を出すが、UJIZANEの方がクロスを上げるのが早かった。
「泰朝殿頼み申した」
「任されよ。大殿殿」
そう言って泰朝と呼ばれたワントップは斜め後方からクロスをヘディングで押し込もうとする。しかし、自警団のセンターバックであるジョージの方が対応が早かった。
何とかヘディングでクリアをする。しかし、そこには圧力をかけれていない、地方騎士団のボランチが上がってきている。
信治もボールに向かって駆け出している。
ミドルシュートを放つ態勢を取る。
間に合え!
信治はスライディングをし、ボールに触れようとする。
何とか間に合った。
しかし、それは悪手でもある。
ボールは地方騎士団のトップ下がいるバイタルエリアにボールが転がることになった。
先にアレックスがボールに触れて、大きくクリアをしてくれた。
「信治、落ち着け!今はプレー中だ」
クリアしたボールを追いかけて、シュタールは走っている。
自分の仕事は点を取ること、走ってチームを助ける事。それが自分に課せられた義務で、チームに対する誓約だと思っているのだ。
だから少しでもチャンスがあれば、走る。
しかし、地方騎士団のゴールキーパーにボールをクリアをされタッチラインを割って試合が止まるのだった。
「雪、信治、落ち込むなよ。今のプレーは初めて見るプレーだし、シンプルに相手の方が上手だった。サッカーは11人全員でするもの。個人のプレーも大切だか見方を信じろ。さあ、二点目を取りに行くぞ!」
「信治さん、どうしましょう。裏108式とか言っていました。たくさんのフェイント技術を持っているのでしょうね」
雪は少し落ち込んでいるようだ。
「基本道理のマッチアップとカバーリングをしましょう。早めに一対一を仕掛けて、プレーの精度を遅らせたり、ミスを誘いましょう。きっと勝てます」
信治は自分に言い聞かせるように言った。
苦しい時間帯もあったり、テクニシャンと戦うのもサッカーなのだから。
続く
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