地方騎士団との激闘

第42話 地方騎士団との開戦 試合開始です



試合開始前のピッチに信治はいる。信治はほどよい緊張感と闘志がわき上がっているのを感じている。天気は快晴で芝の具合も良い。今日は自分の勇気が試されると信治は思っている。

練習は十分にした。

後は結果を出すだけだと信治は思う。

「信治さん。気負い過ぎないでくださいね。そろそろ円陣組みますよ」

雪が右手をほほに当てほほえみながら信治に声をかける。

信治は円陣の位置に移動して、円陣に加わろうとしてどこに入ろうか迷う。

女の子と接触するのが苦手な信治だった。

でもセンターバック達と組むべきなのだが、それも少し気が引ける。

サッカー選手の前に1人の男性だった。

だが信治はサッカー選手としてはたわけである。

「ナターリアの隣空いているよ」

ナターリアがしたり明るい笑顔と口調で誘ってくれる、

前夜祭のナターリアさんの姿を思い出し、違う意味で緊張する。

そんな信治を見て玉置は助け船を出す。

「この既婚者の色情狂、信治、雪と私の間を開けるわ。早くきなさい」

「ありがとう、環さん。助かったよ」

円陣が組まれる。

「いろいろあったが、今日は最高のパフォーマンスをしよう。お高く止まった地方騎士団をあっと言わせてやろう」

アレックスが声を掛けた。

「勝つぞ」

信治は前夜祭の花火を見た時の覚悟を思い出す。

必ず勝つ。そんな決意を胸に円陣の声出しに加わった。

「勝つ。おー」

前夜祭の始まりでどちらかから攻めるかはを決めるコイントスは昨日教会で行われており、信治達のチームがピッチを選んだ。

天使の審判がセンターサークルに立つ。

信治はいよいよ試合開始かと思い覚悟を決めて自分のポジションに着く。

その時に環さんと円さんに声をかけられる。

「いよいよね。右サイドの守備は任せて、UJIZANE対策頼んだわよ」

「直ぐにボールを蹴ってね。必ず追いつくから」

「ありがとう。全力を出してボール蹴るよ」

「うん」

「円と信治怪しいの。ポジション的には一緒に連携するのはナターリアなのに」

「まぁまぁ、一緒にプレイする事が少ないから仕方ありませんよ」

「ナターリアさんサポート頼めるかな?」

「お願いすると言うい事は信頼してくれているんだね。ナターリア頑張るね」

「ありがとう。ナターリアさんも気をつけてね」

「信治はドライなの。そこも好きなの」

「ともかくありがとう」

信治はそう言うと自分のポジションについた。そこで敵陣を確認して見る。

ディフェンスラインは4人、ボランチの位置には2人、トップ下に1人、センターフォワードが1人で、左右にウィング1人置いている。4-2-1-3のフォーメーションだと思った。今回はゾーンディフェンス風に守るから、ウィングと相手の右サイドバックを気にしないといけない。その足の早さ、信治はボールの扱いをよく見ようと思う。

ぴー

主審が試合の開始告げる笛を吹いた。

UJIZANEが走り混んでくる。

それに対応するように雪がUJIZANEをマークする。

地方騎士団はゆっくりと後方でボールを回そうとする。

しかし、シュタールのチェイシングと王子のさり気ないパスコースを消す動きでボールが回らない。

しかし、自警団には相手のボランチに圧力をかける余裕は無かった。

ボランチからロングボールがUJIZANEに向かってロングフィードが出る。

すでにUZJIZANEが雪を背負うよう自陣の方を向き、ボールをトラップする動きを見せている。ぴたりとボールはUJIZANEの足下に収まる。

「蹴鞠と現代サッカーが融合した超サッカーを見せるでおじゃる」

UJIZANEはその場でボールを保持している左足でリフティングを始めた。

下手にボールを奪おうとすると、UJIZANEの足を蹴ってファウルを受けかねない

足は出せなかった。

「やぁ、やぁ、やぁ、やぁ」

UJIZANEの体がボールを雪さんの右側を通る様にボールを蹴った。

そのまま右足を軸としてターンを行い、またボールを左足でトラップを行う。

信治がそのままディフェンスに入る。雪は予定通りに地方騎士団の右サイドバック、エクスのマークに着いた。

「お主見かけぬかおじゃな。マロの蹴鞠を見せてあげよう」

UJIZANEはまたUJIZANEを行うために体を反転させる。

しかし、そこに一瞬の隙ができる。

UJIZANEの足の間を縫って、ボールを奪うと、ターンをしているUJIZANEを抜き

ボールを円がいるであろう位置へ蹴った。

円はそのままボールを受けると、そのままドリブルを始めた。

地方騎士団全体が高い位置におり、エクスの抜けた部分をカバーするように地方騎士団から見て右サイドにスライドしている。

円は広大な空間をドリブルし、反応が遅れている地方騎士団からプレッシャーを受けないようにロングシュートを放った。

ボールは枠内をとらえるコースに乗っている。

地方騎士団のゴールキーパーは右手ではじくの精一杯だった。

慌てて戻ってきたセンターバックがボールをクリアする。

地方騎士団の軍師が叫んでいる。

「今のは偶然じゃ無い。UJIZANEは狙われている。ボランチは敵の右サイドハーフに貼り付け。攻撃を受けたら急いで陣形を整えろ」

軍師さんよ、今日の戦いはハードになるぜ。

右サイドだけじゃなくて、左サイドも制圧する。

信治は内心そううそぶくのだった。

                              

                               続く




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る