第36話 少女達の前夜祭 早朝 雪編
信治はいつもより早く目が覚めた。朝食を取りに宿舎を出る。
一ヶ月間の厳しい
道を歩いているとその前夜祭と
そんな中、目深にフードをかぶって温泉の方に歩いて行く女性を見かけた。
あの女性としては高い身長と少し見えた眼鏡は雪さんだなと思う。
「おはようー。雪さん」
「おはようございます。信治さん」
少し眠そうな声で返事が返ってきた。
「こんな朝早くどこに行くのかな?」
「温泉です。温泉は24時間開業していますからね」
「へぇ。でも昨日も練習終わってから入っていたよね」
「お恥ずかしい話、私は癖っ毛で朝にシャンプーをして、髪の毛を整えないととても人前には出れないのです。今日は前夜祭があって朝から働く人が多いのを失念しました。昨日戦術の確認をしていたら寝てしまっていて。いつもより早く起きるつもりがいつもの時間帯に目が覚めました」
「髪の毛が長いのも大変なんだね」
「そうなんですよ。見てください。こんなにも飛び跳ねって、ほぁ」
フードを下ろすと確かに雪さんの髪の毛は飛び跳ねていた。
信治は治すのは大変そうだと思う。
そして手で口を隠し大きくあくびをした所で、雪さんも目が覚めた様だった。
あわててフードをかぶりなおす。
「信治さん見ないでください。忘れてください。いろんな意味で恥ずかしいですから」
「何か、ごめんね」
「謝るのは私の方ですから。それに謝られる方が辛いですから」
そう言って雪はうつむく。
信治は申し訳なくなり約束をするのだった。
「すぐに忘れるよ。さすれるように努力するよ」
「ありがとうございます。そう言えば、強引に話を変えますけど、私達で前夜祭を見て回りませんか?」
「僕と雪さんと?」
「環さんと円さんとナターリアさんにも入ってもらいましょう。いつものメンバーで朝食を取るのでその場で話すと言うのはどうでしょう?」
「良いよ。軽くストレッチとランニングでもしておこうかな?」
「良いですね。お付き合いしたい所ですが、髪の毛の事がありますので、そろそろ温泉いきますね」
「足を止めさせてごめんね。いってらっしゃい」
「はい。行ってきます」
そう言って信治は雪を送り出した。
雪はこの時、行ってらっしゃいと行ってきますと言う言葉を何年ぶりに行ったのだろうかと思っていると同時に信治さんは髪の毛を見ても笑わなかったし、優しい人だなと思っている。
雪はいつもより楽しい朝食になりそうだと思って自然と微笑むのだった。
続く
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