第35話 訓練始まります
ミーティングが行われた翌日、信治達は
全員で雪が真似をしている、今度戦うチームにいるUJIZANEが行う必殺スキルUJIZANEを見ていた。
「一種のリフティングとターンの組み合わせなんだね」
「えぇ、ボールをディフェンダーを背負ってリフティングしている所から開始されますので、ボールは取りにくいですし、ボールを離したターン中はボールを持っていない判定でファウルを取られます。落下地点を予想して選手を配置すると、どうしても相手のサイドバックとトップ下の選手を自由にします。右サイドのプレーを中心のプレーを行えば、ローン愚ボールでUJIZANEへのパスが通るかもしれません。どうしても戦う時はこちらも右サイドにスライドして戦いますからね」
雪が一通り説明する。
信治は手を挙げた。
「これは提案なんだけど、雪さんがUJIZANEとマッチアップして落下点辺りに僕が行くよ。それでボールを奪ったら、即座に右サイド、円さんに駆け上がってもらって、ロングフィードを送るよ。相手チームから見て右サイドバックが上がってくるなら相手チームも右にスライドしているはずだからスペースはあると思う。円さんはシュートのみ狙ってもらう。相手の左ボランチか左サイドバックしか反応できないと思うからね。これを繰り返して相手にプレッシャーをかけてミスを誘う。シュタールと王子にはボールを追わずに、相手のディフェンス陣に圧力をかけもらって、こちらの右サイド攻撃を悟らせない。悟って対応したら中央突破してもらう。こういう戦術はどうかな?」
「過去に似た戦術を考えた事はありますけど、信治さんの案が一番有望そうですね」
雪さんは嬉しそうに言った。
「あぁ。このプランで練習してみよう。左サイド攻撃はどうするんだ?信治」
「それは、円さんにマークが着いてから行おう。雪さんが上がった時、一緒に走り出して、僕がオーバーラップするよ。それを見て円さんと王子は反応して欲しい。無茶だけどね。でも無茶を頼むのは環さんになると思う。UJIZANEに対応するために左サイドにディフェンスはスライドするから右サイドにスペースができるし、敵の左ウィングと左サイドバックを両方見てもらわないといけない。円さんの運動量も増えるから後半守備に回れないと思う」
「責任重大ね。でも任せておいて。地方騎士団に走り負けたりしないし、当たり負けもしないわ。サッカーの女神さまにフィジカルのチートもらっているからね。それに円のお守りもサポートも長い間してきたことだからね。走るわよ」
「なんだかお姉ちゃん、私がダメな子みたいじゃない。酷いよ」
そう言って円は環の方を見ようとする。
「ん?アレックスさん、誰かこっち見ているよ」
円さんは小首をかしげた後、人のいる方に指を指すと、アレックスはその方向を見る。目深にフードを被った男はどこに逃げ去っていく。
「地方騎士団の斥候だろう。まずは徹底的にUJIZANE対策の練習を行おう」
これから一か月信治達の戦闘訓練が始まるのだった。
続く
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