第33話 月明かりにて
「信治さん、月明かりがきれいですね」
信治は浴衣に着替えた円と一緒に月明かりに照らされた道を歩いている。
信治は転生してくる前の服装のままだった。
「そうだね。綺麗だね」
信治の頭の中は円の胸の事で頭がいっぱいだった。
「何かお話をしてください。男性と二人夜道を歩く事なんてした事無いですから、気まずいし私も恥ずかしいんですよぉ」
「ああ。ごめん。この後、食事をして解散するのかな?」
「いいえ。ミーティングがあると思います。この世界では作戦会議と言うんですよ。大げさですよね。それにしてもゴブリンと戦う前に信治さんと練習をしたかったな」
「サイドが違うからできる事少ないと思うけど?」
「それでも良いんです。例えば低い位置にいる信治さんから正確なロングフィードを高い位置にいる私に通れば大きなチャンスになります。でもその後のプレーは悩みます。クロスもドリブル突破も苦手ですから、でもロングフィードでダイナミックな展開を作れた自警団は幅が広がると思います。私もそうですが、ボールを持つ時間が長くてパスに頼りがちですから、早い攻撃は少し苦手な自警団、いえチームなんです」
「自分のチームを自警団と言うのはこの世界に染まってきたのかなぁ?嫌だなぁ」
「ふふ、サッカーチームは本当に軍隊の一部なんだね」
信治は見下ろす感じになって胸に目が行くけど勇気を持って言う事にした。
「あの、その」
「はい、なんでしょう?変な事言いました?」
「浴衣が似合っているよ」
「えっ」
「変な事言ったかな?これでも勇気をだしてみたんだけどきもかったかな?」
「そんな事ありません。そんな事言われたの初めてで、照れるじゃないですか」
「いちゃいちゃ仕上がって!何をしてるのかぉ」
突然、道の横の生えている樹木の陰から人が出て来た。
そこには王子がいる。
「せっかくミーティングが始まるのを伝えに来たのに、何をしてい遅れているかと思ったらいちゃいちゃしあがって。信治はロリコンだぉ!」
「僕がロリコン?ありえない」
「女子高生に手を出せば十分ロリコンだぉ」
「私は大人です。ロリコンなんてひどいです」
「この事は報告するぉ。それとこの地域を管轄する地方軍と一か月後合同訓練をする事になったぉ。だから早く会議室に行くぉ」
「王子も円さん行こうか」
月明かりの元、信治はいろいろ言われているけど死んで異世界に来るのも悪い事じゃないとしみじみ思うのだった。
続く
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