信治のオーバーラップ
補足(2021年8月15日、タイトルを間違っていましたので変更しました)
ナターリアのシュートはゴール前まで飛んで行き、ころころと転がる。
ゴブリンのボランチは得点を阻止しようとボールに向かって走りこんでいる。
しかしゴブリンのボランチたちをシュタールが追い抜いていく。
追い抜いたのだからオフサイドの反則は犯していない。
ゴブリンの審判もオフサイドの反則は取らなかった。
シュタールはゴブリンのボランチとの競争に勝ち、ボールを得た。
そのままシュートを行う。ゴブリンのボランチはダメもとでシュタールの足に向かってスライディングタックルを仕掛けた。
シュタールは素早くドリブルをして、ゴブリンのスライディングタックルをかわす。ゴブリンのボランチたちはお互いに衝突する。丁寧にお互いスパイクの裏を見せたスライディングタックルだったのでレガースで守ら得ていないくるぶしにスパイクが当たる。
「ぎゃー」
「痛いぎゃ、審判キュアカードを」
ゴブリンたちが騒いでいる間にシュタールはシュートを決める。
審判は興奮した様に話した。
「今の一点は無効ぎゃ。先にキュアカードが出ていたぎゃ、残り時間も少ないし、プレー再開ぎゃ」
「みんなすまん。せっかくの一点だったのに、何度でも走るからボールを回してくれ」
そう言ってシュタールは自分のポジションに付いた。
信治は静かに闘争心を燃やしていた。自分の前には頼もしい見方がいる。
今までの様にゴブリンの右サイドハーフと戦わなければいけない。
シュタールが長い距離を走ってボランチを消耗させてくれたのだ。円やナターリアのおかげだ。クロスを入れさせない。そう信治は決意している。
「落ち着いて戦おう。からならず競り合って勝つ事。セカンドボールを拾ってクリアを必ずしよう。残り10分だ。反撃のチャンスは何度でもあるはずだ。必ず勝つぞ」
アレックスの怒号が響く。
みんなの思いを無駄にしない。
「ピー」
ゴブリンの主審の笛が鳴る。
キュアカードを出したためにゴブリン側のボールで試合が再開される。しかしゴブリンたちはピッチのそと治療を外に出て治療は受けていない。そしてピッチ内での治療行為も受けていない
ゴブリンのボランチの一人がボールを蹴った。
それは大きくそれて右タッチラインを割った。
ゴブリンのボランチの足の痛みと長い距離を走った疲労は大きい。
繰り返された全力疾走でもう走れないし、満足にパスもできない。
長い距離を走るのはゴブリン本来の戦い方では無かったのだ。
「もういいぎゃ!ボランチの二人はゴール前を固めるぎゃ。サイドハーフの二人は人間のボランチをマンマークするぎゃ。サイドバックの二人はサイドハーフにつくぎゃ。ロングボールを蹴らせないようにするぎゃ。早く人間スローイングをするぎゃ!」
そう言われて信治はボールを取りに行く。
シュタールにはゴブリンの右サイドバックがマークについている、しかし信治はゴブリンのボランチはゴール前にいるので、自分と王子が完全にフリーになっている事に気づいた。
ゴブリンたちはそれぞれにマークする選手が決まっている。
信治は素直に王子へスローインをして、タッチライン沿いを走っていった。
ゴブリンの右サイドハーフはボールを持ってドリブルを始めた王子を追いかけるか信治を追いかけるか迷い、少し出遅れる。王子のドリブルは遅いが技術的には優れていた。
ゴブリンの右サイドハーフは王子に体を寄せようとする。
その瞬間だった。
丁寧で信治にタッチライン場を駆け抜けろと言う意思を持ったパスが出された。
ぴたりと足元に収まる。
シュタールと王子の思いを受け取って信治はタッチライン場を走り抜けるのだった。
オフサイドの反則を取れない。
後はゴブリンのボランチ二人をどうかわすかだった。
脚の止まったボランチは怖くない。
そう思いながら横目で王子が頑張って走っているのに気づく信治だった。
続く
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