第22話 心は氷のごとく、体は熱く
「おう、信治戻ってきたか。ゴブリンのファウルで熱くなりすぎるなよ。心は氷の様に冷静に,プレーはファウルを犯さない様に体を熱くするんだ。それに安心しろ。あんなファウルをしたゴブリンは許せない」
アレックスは信治に声をかける。ピッチの上の指揮官としての理性でもあり、同時にアレックス個人の気持ちでもあった。
「ありがとうございますあ。えぇ。どこまでも冷静にプレーしますよ。ロングボール一発で蹴散らしますよ」
「そうだ。それでいい」
アレックスはサムズアップをする。
アレックスを離していると後ろ手に腕を組んでナターリアが信治の元に来た。
後ろ手に腕を組んでいるために、胸が強調されて、童貞の信治には辛かった。
冷静になれ、自分。今は試合中だ。
「ねぇねぇ、頭辛くない?」
「治療してもらったから大丈夫だよ」
無愛想なかなと思っていても、美少女に体制の無い信治は会話するので精いっぱいである。
「それならよかったよ。たぶんナターリアはプレスを受けないから、ボールを回して欲しいの。アレックスや円だけじゃ無くて、私も怒っているの。信治に酷い事したのも許せないし、楽しいサッカーの時間をつぶされたのも悔しいし、大好きなサッカーをファウルで貶められたのが許せないの。だから私のサッカーでサッカーをして反撃するよ。だから、約束ね。無理しないでね。スミスとジョーンズも怒っているの。信治が無理をしてクリアしなくてもセンターバックの二人を信じてあげて欲しいの」
ここまで人に心配された事の無い信治は素直にうれしいと感じていた。
「あぁ、ありがとう。無理やファウルを受ける事はしないよ。約束する。でもサイドバックもディフェンスだから、競り合いくらいさせてもらうよ。センターバックは最後の砦だからね。そこに負担はかけれられないから。気遣てくれありがとう」
右手の小指をナターリアが信治に差し出す。
「約束だよ」
「あぁ。約束だ」
そう言って信治はナターリアの小指に自分の小指を絡めた
数秒間そうしているとナターリアは小指を外した。
「そろそろポジションつくね」
そう言ってナターリアは歩いて行った。
ゴブリンボールで試合は再開される。
ファウルを受けない様にしないとな。
僕には僕を信じてくれる仲間がいる。
それだけで戦える気がした信治だった。
続く
誤字を見つけましたので 2021年7月27日19時51分に修正しました。
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