ゴブリンとの戦い、無双の開始
第6話 どきどき魅惑のサイドバックガチャ
魔法陣を囲むように四人の少女が立っている。
「雪、魔法円と時期に間違いは無いわよね」
少女の中でも長身の女性が話し始めた。
「時期も魔法円の書式も間違いないですよ」
長髪の少女が答える。こちらも女性としては長身と言える。
「円、任せたわよ。村の魅惑のサイドバックガチャに使えるボールストーンはこれで最後だからね。星5レアキャラお願いよ。円の幸運を信じさせて」
ミディアムボブの少女が答える。
「うん。環お姉ちゃん。サッカーの女神さまの加護を祈ってみる。
環と呼ばれたポニーテールの女性に向かって円と呼ばれた少女が屈託のない笑顔で答えた。
「円さんの幸運を信じてます」
「雪ちゃん頑張るね」
「いよいよですね。SSRが欲しい所です」
「雪ちゃん。お姉ちゃん。緊張するね。ガチャの魔法を使うね」
円は地面に描かれた魔法陣にストーンボールトと呼ばれるサッカーボールぐらいの石を置いた。そしてサッカーの女神さまに祈り始める。
「われらが召喚に答え、勇者を導きだしたまえ。サッカーの女神さんお願いします」
召喚の為に描かれたいた魔法陣が光り、魔法陣の中から白い箱が現れる。
「もしかして、昇格演出あり?。箱の現れ方から時間かかっているわ」
「欲を書いてはいけません。今必要なのは左サイドバックか左サイドハーフですからね」
光は収まり、白い箱が消えていく。
そこには、一人の男性が立っている。
身長は175cmくらいだろうか?
それは肉体を再構成された信治だった。
一人の男性の影を映し出す。
「雪、成功?フィールドプレイヤー?」
「やったね。雪ちゃん。環お姉ちゃん」
「召喚できたみたいですね。良かったです」
召喚された信治ははまだ時代を呑み込めていないみたいだった。
「魅惑のサイドバックガチャから出て来たからサイドバックだよね」
円がどこか縋る様な声で話している。。
そんな彼女の声を聴きながら彼はゆっくりと信治は目を開ける。
辺りを見回す様に首を回して周囲を確認している。
彼の視点では少女が四人いた。
「ここは?」
「サッカーの女神様が作り上げた異世界サッカーの世界です」
信治は話しかけた少女の方をみていた。
本当に召喚されたのだと思った。
信治は体中にエネルギーが満ち溢れているのを感じていた。
「君たちは?」
「村の自警団、分かりやすく言えばサッカーチームの一員です」
「召喚されたのは本当みたいだね」
「あのよろしければお名前を聞かせてくれませんか?」
「すまない。俺の名は信治、偽名臭いけどそう呼んでくれたら助かる」
「信治さんですね。私は雪といいます。ミディアムボブの女の子が円さんで、長髪のポニーテールしているのが環さんです。信治さんさっそくですが、助けてくださいませんか?ゴブリンが冬を越すための食料を要求してきて、サッカーコートに乗り込んできています」
信治は感心して言う。
「本当に争いごととか戦争をサッカーで解決するのだね」
「えぇ、最初は驚きますよね。それでもよろしければ、状況を呑み込めていないのを承知でお願いします。力を貸してくださいませんか?」
信治は少し感動していた。見ず知らずの人だけど、ここまで頼られた事が無かったからだ。それに今は力が満ち溢れている。なんでもできそうな気分だった。
だから高揚した気分の信治は即座に返答する。
「良いよ。困っているのなら力をかそう」
「ありがとうございます。勇者様は中盤が台形な4-4-2システムだとどこのポジションがいいですか?ディフェンスに欠員が出ていて、自警団のメンバーが足りないのです」
信治は今の力の満ち溢れ方だと、どこのポジションでもできそうな気がしていた。
憧れの左サイドハーフとかボランチとか。
信治は左サイドハーフを希望する事にした。
サイドバックの経験があるならできるだろうとの考えだった。
どんどん相手のディフェンスを切り裂いて精度の高いクロスを放り込む。
信治の憧れだった。
「左サイドハーフならできるよ」
「そうですね。今回はフォーバックですから、私が左サイドバックに入りましょう」
「そう言えば雪はサイドバックの経験があるのよね」
「まぁまぁ昔のことです。環さん」
雪は困った様にほほえむ。
それを見た信治はみんないろいろな事情を抱えてこの世界に来ているのかもしれないと思う。いろいろな思いを持ち中柄期待していてくれているこの人たちのために頑張ってみよう。他人の為にサッカーをするなんて初めての気持ちだった。
雪は続ける。
「システムとしては中盤が台形型の4-4-2システムです。ツートップはワントップ気味に足の速いドワーフのシュタールさんとラストパスを出したり、ボールをキープして散らしてくれる王子とあだ名を持つプレイヤーがいます。走りませんし守備は最低限の事しかしませんけど困ったら王子にパスを出してみてください。センターハーフではなく、ボランチとしてアレックスさんとナターリアさんがいます。高い守備力とカバーリング能力を持つアレックスさんとゲームメイクを得意とするナターリアさんの組み合わせです。アレックスさんはキャプテンなので、指示を聞いてくれるとプレーしやすいと思います。ディフェンスは左サイドバックが私、中央をジョーンズさんとスミスさんが固めます。二人とも一対一と空中戦が強いので頼りになります。右サイドバックに環さんが入ります。走力と妹の円さんとのコンビネーションは万全です。守備の時はすごい助けになります。ゴールキーパーのジェシカさんの口癖は安全第一ですが、ビッグセーブをする事とPK阻止率が高いですよ。高度な事を無難にこなすからすごいです。指示を受ける事もあると思いますが従ってくださいね」
「おーい、ゴブリンどもが来たぞ。早く来てくれ」
「合わせる時間は無いですけど大丈夫ですか?」
「任せて。力出し切るよ」
信治はそう言うと立ち上がり、戦場と化すフィールドを見つめ歩き始める。
少女たちが歩いて行く後ろを歩きながら、にやりと口元をゆがめて行った
僕のサッカー人生が止まった時間が再び動き出す。
「さぁ楽しいサッカーの時間の始まりだ」
続く
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