第7話 戦争開始前の打ち合わせ

信治達はフィールドに入っていた。

そこで長身の体格の良い壮年の男性が信治に話しかける。

「俺の名前はアレックス。ディフェンシブハーフだ。ポジションはどこに入れる?打合せする時間も無いのはすまないと思う。ディフェンスに欠員が出て困っているんだ。どうか我々を助けて欲しい」

「信治です。アレックスさん。左サイドハーフができます」

「助かった。そうなると雪が左サイドバックか?雪頼めるか?」

「もちろんです。経験があります。最低限のポジション変更で済みそうですね」

雪は微笑んでいる。

「雪、信治君。パス回しとかでフェンスのカバーの事とかあるが、いきなりの試合で打ち合わせて時間は無い。複雑な事は考えずに自分を信じるプレーをしてみてくれ。周りは合わせる。王子来てくれ」

そう言ってあまり身長の高くない太った人物を読んだ。

「王子、召喚された信治君だ。信治君これがうちのセカンドトップをしたり、トップ下をする王子だ。困った事があったら王子にパスを出すと良い。王子の高い戦術眼とラストパスは芸術的だ」

「当たり前の事をいわないでほしんだぉ。合わせやるから感謝しろよ」

それだけ信治に言うと王子は去っていった」

「自警団はパス回しから得点をするパターンが多い。なんせ円、雪、王子、環と日本人が多いからね。俺とチームを組むナターリアも南米系でパスワークが得意だ。プレーに困ったラパスして欲しい。それとゴブリンたちはクロスを重要視して、特にゴブリンたちにとっての右サイドプレイヤーにエースを置くから、マッチングすると思って気を付けて欲しい。ゴブリンの左サイドはミドルキックを得意とするゴブリンスナイパーと呼ばれる職種がある。とにかく縦への早いサッカーをするからエースとの戦いは負けないで欲しい。新人に無理を言って申し訳ない。そろそろ試合だ」

アレックスはそう言い自分のポジション、ディフェンシブハーフの位置についた。

雪が信治に話しかける

「気にしないでください。私も含めてこのチームの全員が召喚者です。いろいろな思いを抱えてサッカーを続けているから気持ちは伝わりますよ。辛さもサッカーの楽しさもしっています。私もお手伝いしますね」

アレックスもポジションに付くと大声で言った。

「今日もいつも通りサッカーを楽しもう。戦争であり、サッカーの神に対する祈りと奉納の試合でもある、悔いのない様に走り切ろう」

「初めてコンビを組みますけど、守備は任せてください」

「ありがとう。思い一切りつっかけてみるよ。こちらこそよろしくね」

「はい」

そう言って雪さんは拳を前に出す。

俺もグータッチで返した

そしてポジションに付く。

ゴブリンの審判が時計を見る。

信治は時計はあるんだなと変な事を思う。

「ゴブリン側のボールで始める」

そしてゴブリン尾審判は手を挙げて、さけんだ。

「let’s pray」

この試合は戦争でもあり、神にささげる真摯な祈りでもあるのだ

キックオフとは言わないのだ。

信治は身の引きつる思いをした。

でも高揚感が止まらない。

サッカーの時間が始まったのだ。 

                                    続く

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