マッド四国 怒りのお遍路ロード 7

9.

2208年4月11日(日) AM11:00


車列は無事TNCの集落入り口に到着した。

他の無法者から身を守るためであろうか、集落全体が壁に囲まれた一種の城塞都市となっている。

扉近くの見張り台の方を見ると自動小銃AK-74Mを抱えた住民が立哨を行っている。

軽くホーンを鳴らし、それから備え付けの拡声器で声をかける。

「本土から来ました支援隊です。開門お願いします。」

見張り台で立哨をしていた住民が下の方に向かってなにか喋っている。

そして数分後扉が開き、一人のいかにも歴戦の猛者な雰囲気の中年女性が中から出てきて、手に持った拡声器を使ってこちらに話しかけてきた。

「徳島ナチュラリストコミュニティーにようこそ、私がここの責任者、徳田貴子だ!話は先方より聞いている。こちらが指定する場所に車両を駐車して、支援活動を開始してくれ。」

指定された場所は、いかにもあまり歓迎していませんよ、でも仕方がないから場所を準備しましたといった雰囲気がひしひしと感じる集落の外れ、三方を金網で囲まれた空き地に案内された。

俺は輸送隊のリーダーとしての仕事をするべくトラックから降り、徳田氏と対峙した。

「これが今回、コミュニティへ配給する物資となります。」

徳田氏は俺が手渡した紙の目録に目を通し、部下を呼び寄せ、降ろした荷物を運ぶように指示をした。

「それでいつも通り今日はベースの設営作業、明朝九時から医療支援、技術支援を受けられる、それでいいんだな?」

「ええ、その通りです。」

「あと、あんたは見たことのない新顔だから一応念のために言っておく。基本的にあんたたちはこの敷地の外には出ないでくれ。我々としては支援はありがたいが、あんた達とうちのコミュニティー住民との必要以上の接触はこちらに悪影響を及ぼしかねない。」

「わかりました。他の人たちにもその旨は周知しておきます。」

「わかってくれたらそれでいい。」

徳田氏はそういって去っていった。

俺達は搭載していたドロイド達にベースの設営指示を行う。よく見るとこのドロイド達はメガロシティでよく使われているドロイドと違い、手足が金属で覆われている。

どうも気になり、俺はインプラントでミカさんにコールを送った。

『ミカさん、ちょっといいですか?』

『何かトラブル?』

『いえ、ちょっと気になったことがあるんですけどこのドロイド達、手足が人工筋肉でなく金属製なんですけど何か理由でもあるんですか?』

『ナチュラリストは生体部品に対して嫌悪感を示す事が多い、彼らにとっては生体部品は生命への冒涜。だから生体部品が見えないように金属製のカバーをつけてある』

『つまりあれは張子の虎ということですか。』

『そういう事』

そんな張り子の皮を被らされたドロイド達の働きを監督していると、ドロイド達が珍しいのか、周辺に大きな人だかりができていた。

(まるで昔のアフリカに来たみたいだな…)

とはいえ、輸送隊としての俺のここでの仕事はこれで終わったも同然だ。

ちょっと待て、ひょっとしてこの仕事とてつもなく暇なのでは…?

これはよくない、俺は再度ミカさんにコールを送る。

『今度は何?』

『僕よく考えたら明日から暇なので、ミカさんのお仕事手伝わせてもらえないかと思いまして…』

『いいよ。ついでに夜の相手もしてくれると嬉しい。あなたと私、相性がいい。懇親会の時みたいにあなたと私、それにあなたのアンドロイド達との4Pは刺激的だった。あなたさえよければ今からでも構わない。』

相変わらずクールな見た目とは裏腹に情熱的な人だ。

俺は今すぐ伺いますと返事を送り、ハナとミクを呼びに自分のトレーラーに向かうのだった。

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