マッド四国 怒りのお遍路ロード 2

2.

2208年3月21日(月) PM12:45


家で簡単な昼食を済ませた俺達はVR空間にダイブするために全裸になり、ダイブルームに備え付けられているコフィンユニットに乗り込んだ。

コフィンユニットにインプラントで接続開始のシーケンスを行うように指示すると、股間に各種排泄物を回収するユニットが接続され、口と鼻には呼吸と生存に必要なエネルギーを摂取するための流動食が送り込まれるユニットが搭載されたマスクが接続される。

最後に後頭部に非接触型の量子通信モジュールがあてがわれ、すべてのユニットに異常がないことが確認されると、特殊ジェルがユニット内に満たされ始めた。

特殊ジェルに満たされると、ARディスプレイにVR接続準備OKの通知が現れる。

OKのボタンを押すと即座に自分の視界が真っ暗になり、その後視界が戻ると、俺は自宅のベッドの上に全裸で横になっていた。

起き上がり、ベッドに腰を掛けた状態でインプラントを起動させ、現在地がどこかを確認する。

『現在地:VR空間・プライベートエリア・マイルーム内』

問題なくVR空間に入れたようだ。俺はそのままメニュー画面を開き、衣装の項目から現実世界でも愛用しているいつもの外行向けの格好を選び着用を選ぶ。

すると一瞬体が光ったのち、着なれたいつもの格好に姿が変化する。

リビングルームに行くと同様に接続を済ませたハナとミクが俺の事を待っていた。

「それじゃあ俺がポータルを開くから後からついてきてくれ」

「わかりました」

「りょうかい~」

俺はメニューを開き今度はポータルの項目を選び、説明会開催場所の座標を入力する。

すると自分の目の前に鏡状の物が現れるので、その鏡の中へ足を踏み入れる。

踏み入れた先は簡素なパイプ椅子が等間隔に置かれ、正面の壁にプロジェクタースクリーンを配置してある、いかにもな会議室的な空間だった。

どうやら既に先客がいたらしく5人の男女がパイプ椅子に座り開始時間が来るのを待っていた。

右端の方に陣取っているグループにスキャンモードを実行すると人間は1人、アンドロイド2名。

人間はピンクのゴシックロリィタを着た少女、名前はエーリカ、見た感じはミクと同年代、あっちの少女の方がミクより小柄のようだ。

付き従うアンドロイド達のうち、一人は身長170cmの執事服を着たスラリとした長身の女性だ。名前はユーミ、髪を短く切りそろえてまさに男装の麗人といった感じだ。

もう一人のメイド服を着たアンドロイドは、身長は160cm、標準的な均整のとれた体形にウェーブのかかった赤髪のツインテールがよく似合う。名前はナターシャか。

もう一組の男女の二人組は彼女達から距離を取るように部屋の左端に陣取っている。

こっちは男の方が人間で女の方はアンドロイドだ。

男の名前はマックス、見た目は20代後半、身長は177cm、短髪にぶっきらぼうな顔立ち、黒いシャツに皮ジャケットに皮パンツ。腰のホルスターにソードオフの二連ショットガンをぶら下げている。

つまりは元祖肩パッドヒャッハーな映画の大ファンってことだ。

もう一人のアンドロイドの女の名前はナオミ、同じく見た目は20代後半、ブロンドの髪を後ろを無造作にゴムで縛ってまとめている。

体形も筋肉質でオリーブドラブのタンクトップに短パン、チェストリグの身に着け、ベレッタらしき拳銃を収納している。

こうなると、自分たちが座る場所は真ん中しか空いてないわけで、俺たちは何とも言えない居心地の悪さを感じながら席に着いた。

時間になると部屋の右の壁からドアが現れ、そこから眼鏡に黒のリクルートスーツ、髪を後ろでひっつめにした、21世紀前半までによく見られた、リクルートスタイルのお手本みたいな女が部屋に入ってきた。

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