2208年1月11日(月)祝日 2
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2208年1月11日(月)祝日 AM8:30
玄関に置いてある荷物を担ぎ、玄関から家の外に出たところで、偶然お隣のカオルさんと出くわした。
カオルさんは一言でいえばとてもユーモラスな人だ。
使用するボデイは超マニアックな種づけおじさん専門とするわからっせ製、一歩間違えれば不快としかとられない下ネタトークをそうならないように巧みに使いこなす技は一種の才能だ。
200歳を超えてもなお、口下手の自分にとってはカオルさんの会話力の高さはうらやましく感じる。
「おはようございます。カオルさん」
「おはようございます。ルカさんはこれからいつものジムですか?」
「ええ、カオルさんの方は今からお出かけですか?」
「MZRKランドへ行きます。なんせ今日は成人の日ですからね。種付けおじさんとしての矜持にかけても、今日は様々な女の子とオフパコせねばならんのです。ただ、ルカさんが今から私とオフパコしてくださるのであればその矜持を捨ててでもお相手するのですが…」
「カオルさん、僕は種付けおじさんは生理的に受け付けないからNG、VRでのオンパコでふたなり女性か、男の娘ボデイを使うならOKだって前にも言ったじゃないですか」
「ハハハ…私の矜持はオンパコは甘え、だからオフパコしかしないってルカさんも知ってるじゃあないですか。」
「ええ、ですから今日の所はMZRKランドでその矜持を存分にふるってください」
「そうですね…今日の所はそうしましょう、でもいつか私はルカさんとオフパコしてみせますよ。」
「ハハハ、楽しみに待ってます、それではまた今度、今日のMZRKランドでの結果を教えてください。」
「ええ、それではまた」
カオルさんが迎えに来たコミューターに乗って、去っていくのを見届けた後、母屋の隣にあるガレージのシャッターを開ける。
ガレージの中には足として愛用している車の他に、競技専用の車、さらにそれを運ぶトラック、レストア中の車等、様々な車が並んでいる。
俺はその中から、普段の足にしているR32スカイラインGT-Rの運転席に乗り込み、クラッチを踏み込みキーを回す。
エンジンはグズることもなく一発でかかり、軽快な直列6気筒のエンジン音が車内にこだまする。
この車のように、20世紀から21世紀中ほどまでに製造された機械や道具は総じてノスタルジーテクノロジー、略してノステクと呼ばれている。
これらノステクは、月毎に各人の貢献ランクによって支給されるリソースポイントを支払うことで、注文生産の形で、メガロシティ郊外にあるファクトリーで製造される。
更に発注時にカスタムしたい内容を伝えることで、AIが要望部分を自動設計し、提案してくれる。
例えばこのGT-Rだと、ダッシュボードは34GT-Rのデザインになっているし、フレームやエンジン等も34GT-Rと同性能だ。さらに現代のコミューターと同様に自動運転機能も備わっている。
子供の頃から憧れていた車のコクピットは座るだけでいつも気分が高揚する。
その高揚した気持ちを落ち着かせ、俺は愛車を運転し、いつものスポーツジムに向かった。
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