ユートピアでディストピアな世界での俺の日常~長生きのコツはマイペースです~
スターゲイジーπ
いつもの日常
2208年1月11日(月)祝日 1
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2208年1月11日(月)祝日 AM7:30
ピピピピピ…頭に直接鳴り響く目覚ましのアラームと共にAR表示で「起床予定時刻です」のメッセージと今日の日付、時間が前面にでかでかと表示され俺に起床を
促す。
「そうか、今日は成人の日だったな。」
特に感慨もなく単調に呟き、俺はキングサイズのベッドから起床した。
洗面所でまだ覚醒しきれていない頭を起こすべく、顔を念入りに洗い、歯を磨く。
そんな中、黒猫のミトが俺の足に体を擦りつけながら「ミャーン」と挨拶をしてきた。
「おはよう、ミト」
軽く体を撫でてやり、ミトと一緒にリビングルームへ向かう。
リビングルームにはソファーに座りテレビを見ているヴィクトリアンメイド服を着た少女二人、そしてもう一匹の飼い猫である三毛猫のムギがその二人のうち、小学生ぐらいの姿をした少女のひざの上でくつろいでいた。
「おはようございます。マスター。」
「おはよールカにぃ、おなかすいたー」
少女達はそれぞれ俺に朝の挨拶をするとまたテレビに視線を戻した。
彼女たちは俺が所有する家庭用アンドロイドだ。人類向け交換用ボディを流用し、脳の代わりに人間の脳の働きを模した量子演算装置を使うことで、普通の人間同様、豊かな感情表現、発想力、想像力を持っている。
今、テレビを見ながら膝の上のムギをモフっている、見た目小学生ぐらいで黒髪ロングのメイドがミク、その隣で背筋をのばして行儀よく座り、猫をモフっているミクを見ている、見た目高校生ぐらいで茶髪ボブの少女がハナだ。
そして三毛猫のムギと黒猫のミト。この2人と2匹が今の俺の家族だ。
ミクの催促もあるので、俺は急いで朝食の準備に取り掛かる。
冷蔵庫の中身を覗き、簡単に作れる献立を考える。
「ご飯と納豆、インスタントみそ汁に卵焼きでいいよな?」
二人に問いかける。
「ええ、もちろん大丈夫です。」
「またそれ~ルカにぃの朝食ワンパターンすぎ!」
(ミクめ…後できっちりとわからせてやる!)
心の中でそう誓いながら朝食の準備を始めたところで、ハナが俺に話しかけてきた。
「何か手伝いましょうか?」
「ありがとう、確か冷蔵庫にネギがまだあったから、刻んで納豆に入れといてくれるかい」
ハナと一緒に朝食を準備していると、テレビから成人式の会場の様子の中継が流れてきた。
『こちらは関東地区の成人式会場となるMZRKランド広場です!今年も12歳を迎え、新成人となる若者たちがもう会場に集まり始めています!それでは早速インタビューをしていきたいと思います!』
自分の時代は20で成人だったが、インプラント技術や催眠学習等の技術の発達で、今日では12歳で成人だ。
時代の変化に思いをはせながら、できた食事をダイニングテーブルに運んでいると、ミクもいつの間にかソファーからダイニングテーブルに移動して待機していた。
「それじゃ、いただきます」
「いただきます」
「いただきま~す」
朝食を食べながらリビングのテレビに目をやると、ちょうどキャスターが女3人、男1人の新成人のグループに目をつけ、インタビューするところだった。
『成人おめでとうございます!ところで皆さんはどのような集まりなのでしょうか?』
12歳にしては明らかにいろんなところが大きすぎる少女の一人が答える。
『同じ施設で育った仲です!もう家族といってもいいかもしれません!』
『わぁ~!それはもうまさしく深い絆、縁ですね!、それでは新成人になった上での抱負とかありましたらお願いします!』
今度は逆に12歳にしては少々小柄な幼さが残る少年が答えた。
『やはり責任のある大人になったということで、きっちりと国民の義務を果たしていきたいと思います!今日の式典が終わったら早速MZRKランド内で、彼女たちとオフパコしまくって、遺伝子の多様性確保に貢献するつもりです!』
『そのために君好みの体にしたんだからね~きっちり義務を果たそうね~』
横にいた少女がそういって少年にじゃれつく。
そこで画面がスタジオに切り替わり、アナウンサーであろう、見た目10歳ぐらいの少女が感想を述べる。
『今年の新成人はとても意識が高いですね!日本の未来は明るいと思えるよいインタビューでした。次は今日のにゃんこ、わんこのコーナーです。』
「ねぇ~ルカにぃ、ミクも今日MZRKランド行きたい~!」
既に朝食を食べ終えたミクが足をバタバタさせながら催促をする。
「今日はさすがにどのアトラクションもいっぱいだろうし、行くなら来週な。」
「う~約束だよ、絶対来週は連れて行ってよね!」
「ああ、約束するよ、ところでハナ、俺の今日のスケジュールはどうなっていたっけ?」
食後にハナが淹れてくれた緑茶をすすりながら今日の予定を確認する。
「本日は特に来客等の予定はありません、本日は月曜ですのでルーチンワークとして
午前中はジムでトレーニングとなっております。」
「了解、ハナ、朝食の後片付けの方はお願いできるかい?」
「お任せください、それとジムでの着替えなどは既にバッグに入れて玄関前に置いてあります。」
「さすが、いつも気が利くね。」
「いえ、それが私の仕事ですので…」
はにかみながらもハナはそう答えた。
『それでは次のニュースです。長期休眠防止法案が本日より施行となります。これにより…』
「それじゃ、ぼちぼち着替えてジムに行きますかね。」
俺は誰に言うともなく、そうつぶやき、着替えるためにクローゼットルームへ向かった。
クローゼットルームに入った俺は、寝間着として着ていたTシャツとトランクスタイプのパンツを脱ぎ捨て、クローゼットにかけてあったNラバー製のキャットスーツを手に取りに袖を通す。
さらにその上にデニムのショーパンを穿き、ショート丈のMA-1を羽織る。
これがいつもの、そして俺が一番気に入っている外出用のファッションだ。
「それじゃ行ってくるよ、お昼はそうだな…今日はラーメンでも食べに行かないか?」
「いいですね、では私たちはマスターがトレーニングを終える時間を見計らってジムに向かいます。」
「ああ、その方向でよろしく」
こうしていつもとさして変わらない朝のひと時は過ぎていく。
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