第7話 夏の終わり

7日目

朝から彼女の窓は開いていたけど

俺は窓に立つことは無かった

レースのカーテンを閉めて

ふて腐れたように

ベッドに転がった


外から

声がした


「お世話になりました」


ハルの声だった


”バタンバタン”


と車のドアが閉まる音の後に

エンジン音


行ってしまった

彼女がどこへ帰るのかも俺は知らなかった


蝉の声は

静かになり始めていた


土から出て7日目

蝉は死ぬらしい


俺の初恋も

7日目に死んだ


夏休みも終わり

学校が始まった


アツさが覚めていく

最近は、朝冷える

夏の終わりを感じた

その頃やっと

幼く意地を張った自分に

後悔が込み上げていた


ハル、今頃どうしてるのかな…


中間テストを終えた頃

秋になっていた


俺は、生まれて始めて告白された


他校の女子で

毎朝、電車で一緒になるらしい


知らなかった


彼女は、可愛らしいけど

俺も、嬉しかったけど

首を縦には振れなかった


あの日のような

胸の高鳴りを

感じられないし


まだ、ハルの事を

思う日が続いていたから


制服が冬に変わった頃

母がニヤニヤした顔で俺に近づいてきた


「何だよ」


俺は

母の意味ありげな笑顔に

睨みをきかせる


「女の子から

手紙が来てるよ」


そう言って

白い封筒を俺に見せた


誰からだろう?


受け取った俺は

直ぐにはピント来なかった


送り主は…浦沢…ハル…


ハルだ!


俺は直ぐに自分の部屋へ行き

雑に封を開けた



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