第6話強く閉めた窓
頭は、ぼんやりしていた
突然の別れを目の前に
俺は、最後のチャンスを逃したくない
俺は彼女の方を見る
「ハル・・・俺・・・俺の気持ち言っても良い?」
俺を見て
ハルはキョトンとした顔で
こちらを見る
「会ったばかりで
こんなこと言うのおかしいかもしれないけど
俺、ハルに恋してる
ハルが好きだ」
そう言うと
彼女は少し困った顔をした
「ありがとう」
彼女は小さな声で
そう言った
”ありがとう”って言ったけど
彼女はそれ以上は語らない
これって
ОKって事?
ОKって何だろう?
自問自答
沈黙の中で
俺は彼女に聞く
「それって
俺がハルを好きでいても良いって事?」
彼女はサラサラと夜風になびく髪を抑えながら
こちらを見た
「私なんかを好きになってくれて
ありがとう
とっても嬉しい
私も尚の事
話すたびに
優しくて楽しくて
素敵だなって思ってた
だけど
私は、尚に好きになってもらえるような子じゃない
だから
尚が言ってくれた言葉だけ
大切にもらっておくね」
理解ができなかった
これは、フラれているのか?
彼女は優しいから
最後に俺の事を傷つけないようにと
そんな言葉選びをしたのか?
こんな時、良いやつするなよ!!
自分が悪く見られたくないだけだ
そんな優しさ
自己満足だろ?
もうこれで
永遠に会わない相手なのに
その後も
自分の事をよく思われたいだけだろ?
彼女の優しい言葉は
余計に腹が立つもので
俺の心はすり潰される様に鈍く傷んだ
半殺しのような状態で捨てられるより
しっかりと
とどめを刺してくれる方が
殺され甲斐もある
「嫌なら
俺の事、好きではないなら
そう言ったらいい
最後なんだから・・・気・・・つかうなよ
余計に傷つく」
俺はそう言って
窓を強く閉めた
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