幕間 楓の夢

 バレーボール対決で剛田たちを制した日の夜。




 楓は、夢を見ていた。


 どことも分からない、一面真っ白の世界。


 どこが壁で、どこが床で、どこが空なのか分からない。

 ただ白い、それだけの空間。


(また、この夢)

 楓は体の動かしにくさを感じていた。

 足元がふわふわして、歩きにくい感覚。


 突然、何もない空間から声がした。

 声は、反響し、そして頭の中で響いた。


「破滅は今に始まる」


「歪みはすでに、限界に達している。」


 楓は混濁する頭で考えていた。


 歪みとは何だろう、破滅って何だっけ。

 あれ、私って、誰だろう。


 楓には、まるで自分の体が、自分のものではないように感じられた。


「覚えておけ。後一度でも力を使えば、決壊する」


 そのまま楓は、深い意識の海に沈んでいった。

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