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 放課後 軽音楽部の部室に涼介 雄二 優子 友梨愛の4人が集まっている

 涼介

「プロを目指すための行動計画を立てようと思うんだけど みんなの考えを聞かせてほしいんだけど」

 友梨愛

「涼介は本気でプロを目指したいの?」

「もちろん 本気だよ」

「雄二と優子は?」

 雄二

「オレは涼介がその気ならつきあうよ プロになるに賛成」

「優子は?」

「それは なれればプロになりたいですけど」

 涼介

「もちろん そんなに簡単にはいかないとは思うけれど そこでプロになるための行動計画を立てたい」

 友梨愛

「進路のことは 大学に進学するならプロどころか部活も大変にならない?」

「オレは大学にはこだわってない 早くプロとしてデビューできたら プロに専念するつもりだし もし時間がかかるなら 同じ大学で一緒に軽音部 やらないか」

「わたしは女だから 四年制の大学は歳ばっかりとるだけで 婚期が遅れるだけみたいだからあまり興味がないし 短大は中途半端だし 必ずしも進学したいとはおもってない 優子は?」

「四年制なら教養学部で教員か司書になって 自立した生活を早くしたい気はありますけど それか家政学部でこっちなら短大くらいで栄養士か早く結婚するか でもバンドとしてプロになれるなら」

 雄二

「おまえ しっかりしてるなぁ オレなんか先のことなんか何にも考えてない」

「うちのお母さんは聖徳女子大学の家政学部の教授なんだけど 結婚は遅かったみたい」

「いくつで結婚なさったんですか?」

「26才のとき お父さんとお見合い結婚したみたい うちのお弁当やお菓子のレシピはお母さんが考えてるの」

「教授のお弁当ですね やっぱり才能がある方なんですね」

「オーガニックの弁当はおれも よく買って食べてるよ 評判いいもんな 友梨愛のお父さんが経営者だったとは」

 涼介

「弁当の話しはそのへんにして 行動計画の話しに戻ってくれよ とりあえず進路の話しは先にすることにして プロになるための具体的な行動はデモのCDを制作することだと思う そのためにはオリジナルの曲をみんなで作る必要があるわけだ そこで この間のFacebookのフレンド登録とメッセンジャーを利用した共有作曲はいま進行中で なんとか実現できから 次はバンドとして演奏の練習をしたい そこで提案したいんだけど スタジオを借りて練習することもできるけど コストがかかるし集まるのに時間がかかったりして効率も悪いと思うから いまは部室には楽器もないけど 部室で練習できるように楽器を置きたいと思うんだけどどう?」

 友梨愛

「いいと思うよ」

 雄二

「いいんじゃない」

 優子

「賛成」

 涼介

「日曜学者さんに相談してみたところ」

「涼介」

「なに」

「日曜学者さんって ながいから博士はかせって呼ぶことにしない わたしもオリジナル作曲のことでだいぶ教えてもらってるし 博士は本物の学者さんみたいだし」

「そうだね 博士にしょう」

「博士はオレたちのブレーンだし」

「そうですね 博士がいいですよ」

 涼介

「まず楽器だけど優子のために中古のシンセを買う 博士のお勧めは2005年のモデルで ヤマハのMO8 64ポリで88健としては軽量コンパクトでアクションハンマー 鍵盤 バランストハンマー搭載 マスター鍵盤としても使いやすそうで メルカリで1万5千円でみつけたので買いたい 雄二にはフェンダーJAZZ ベースの安いコピーモデルで結構つかえそうなセルダーってゆうベースが 部室に置く練習用のベースとしては十分だとおもう ドラムは新しいセットに買い替えるので いまオレが家で使っているのをもってくる」

「わたしは予備にチェリーレッドのイバニーズのSAがあるから持ってくる」

「それじゃ 楽器はこれでいいとして アンプなんだけど 博士はコンボアンプをそれぞれ買うよりミキサーにモニタースピーカーを接続して鳴らした方が音もいいし使いやすいって いってる 安いコンボアンプはパワーが低いとすぐ歪んでしまうし コンボアンプは増幅が高倍率 ハイゲインなのでボリュームのコントロールが防音でない部室にはむいてないから 24チャンネルくらいの中古のアナログミキサーにヤマハのパワードモニターP5くらいのスピーカーを接続して ギターとベースはハイインピーダンスで出力信号レベルがオーディオ信号より高いので エフェクターをかませてミキサーのバスに接続するといいそうだ 基本的にこの博士のお勧めでいこうと思うんだけど」

「それでいこう」

「領収書をもっていくと学校から部費として2万円くらい補助金がでるみたいだなんだけど 6万円はかかりそうなので4万くらいはオレたちでなんとかしないと」

「わたし バイトがんばります」

 雄二

「オレもバイト探すよ 友梨愛のところのバイトできないかな」

「うちは女子だけしか採用してないの」

「ええ 女子しか採用しないコンビニなのかよ 男に対する差別ではないか」

「普通は男の方が多いから いいじゃない」

 涼介

「オレのバイトしているところを紹介するよ 倉庫なんだけど返品本の整理の仕事で 本屋から返品された本を同じタイトル別に棚に並べる簡単な作業で自給800円だ」

「すぐに働けるのか?」

「だいじょうぶだとおもう いつも募集しているし 人が足りないみたいだ」

「それじゃ 頼むよ」

「わかった あっ 大事なことを忘れてた まだ バンド名を決めてないじゃない 名前を決めよう」

「そうだ そうだ バンド名を決めよう カッコイイバンド名にしたいな」

「どんなのがカッコイイの」

「そうだな クリムズン キング なんてゆうのはどう」

「真紅の王ですか ちょっと重いかも」

「軽めってゆうのは どんな感じ?」

「そうですね violets なんてどうですか」

「スミレとか紫色だよね 優子やるね」

「先輩はどんなのがいいですか?」

「それじゃ わたしは重いので ううん the empress」

「ジ エンプレス なに それ」

「皇后よ キングは男だから」

「涼介は なにか考えは?」

「それじゃ オレもわりと重そうで ガンマ スピリッツ」

「ガンマ スピリッツってどんな意味だ」

「いや なんか凄いとゆう感じかな」

「なるほどね あまり聞かないところがいいかもね 雄二のクリムズン キングはキング クリムズンの逆みたいだし violetsはいい感じだけど ありそうな感じかな わたしのは皇后ってだけだし 涼介のγスピリッツがあやしそうな感じでいいかもね」

「よし それでいこう」

「それじゃ γスピリッツにしましょう」

「それでは 不肖ではありますが わたくしの案が採用とゆうことで バンド名はγスピリッツに決定いたしました」

 みんな やんや やんや と拍手する


 数日が過ぎて

 部室にミキサーやモニタースピーカー 楽器がそろった

 涼介が

「当面の目標は学園祭でオリジナル曲のライブをやることだけど これで毎日放課後に練習できる」

 雄二が

「一曲めの歌詞とメロディはできたから パートの編曲だけど オレのアイデアはメッセンジャーで伝えたように 旋律 カウンターライン ベースでいきたい 奏法は早いパッセージでもアップ ダウンの使えるピックで引く奏法を中心でいく まあ ほとんど博士に教えてもらったんだけど」

 友梨愛が

「わたしはコードはキーボードの優子が弾くから 2声のソリ 一番 響きが綺麗な三度のソリを中心にして オブリガードとかオスティナート リフとゆう感じでいくね 優子がリードや単旋律のときはコードを入れて コード楽器だからコードを入れながら弾くこともできるけど 優子とのアンサンブルでのハーモニーから見れば コードが重ならないように編曲したほうがいいと思う あと わたしはディストーションは嫌いだから使いたくない でもビートがきいた感じが好き」

 涼介

「曲のビート感はドラムとベースで感じが決まるんじゃないか ミキシングでドラムベースの音量をお押し気味にして 実際に練習でいろいろミキサーの設定をかえて試してみて感じをつかむのが一番いいと思う」

 友梨愛

「それがいい 機材はそろったし」

 優子

「コードはクローズコードの三度を1オクターブ上に転回したドロップツーのオープンコードがバンドのアンサンブルに向いているって 博士に聞きましたから ドロップツーのコードを中心にしますね」

「ギターのコードは楽器の特性で ほとんどドロップツーだよ」

「そうなんですか」

 雄二

「それじゃ 論より証拠で 音合わせしてみようか」

 涼介がミキサーを操作しながら

「雄二 何か音だしてみて」

 雄二がラの音をピックで弾きながら

「これでいいか」

 涼介は入力ゲインやパンポットを調整して

「OK」

「友梨愛 音だして」

 友梨愛がチェリーレッドのセミアコでロックンロールふうに弾きだす

「いいよ」

「優子」

「ハーイ」

 MOでピアノの音色でコードを鳴らしている

「OK」

「ヴォーカルのチェックするから友梨愛と優子でマイクで歌詞をハモリで歌って」


 乱れた世界が

 人を押しつぶしても

 ゆずれない もの のために

 たとえ もどれない道でも

 振り返らずに

 進むんだ

 何もせずに 朽ちてゆくより

 どんなに 傷つこうと

 背をむけずに 何度でも

 恐れを 乗り越えて

 刹那 刹那 を戦い続ける

 あなたの 優しい 微笑みを

 柔らかな 温もりを

 失わないために

 このみにかえても

 守りたいんだ

 それが愛だと気づいたから

 この世界がたったひとつ

 人に与えた 意味を

 受け取って

 後ろを向いた 情念なんて

 いらない

 前を向いた 情熱で

 光ある方へ 虹を渡るように

 幼い時に母が

 教えてくれた

 きっとたどり着く

 あの王が夢みたアバロン


「涼介 キックドラムに8分のシンコペーションいれてくれる それに3連も ちょっといれてみて」

 涼介がいろいろフレーズをたたいて

「こんな感じでどう」

「悪くないけど 16ビートな細かいシンコペーションとか ハイハットがチキ シャカとかシンバルがフォルテ一発じゃなくてメゾフォルテ ピアノでシャン タッ シャン タッ みたいにならないかな」

「やってみるよ チキ シャカはハイハットのペダル ワークで 細かいシンコペーションはスネアをコントロールで ときどき まき気味にうつとかで表現して シンバルはメゾフォルテ ピアノでダブルであいだにタッ タッとスネアをいれる感じで」

 涼介が実際にうってみせながら

「いい感じじゃない あとは適宜 十六分後ろにずらして カッコイイのりにしてね」

 雄二が

「友梨愛はJAZZやってるから さすがに感覚いいな まだバンドのリーダーを決めてなかったけど 友梨愛がいいんじゃないか」

「わたしは遠慮するわ」

「どうして?」

「軽音部は涼介がはじめたんだから リーダーは涼介がいいんじゃない」

「友梨愛 遠慮するなよ オレも友梨愛でいいと思うよ」涼介がいった

「でも わたしは リーダーは男のほうが いいと思う」

「なんだ それ」雄二がいった

 優子が

「友梨愛 先輩 やればいいじゃないですか」

「わたしは やっぱり リーダーは男のほうが …」

「先輩 意外に古風なんですね」

「わかった わかった それじゃ 涼介がリーダーってことでいいよな」

「わたしはそれがいいとおもう」

「涼介 先輩できまりですね」

「涼介 それでいいよな」

「みんなが そういうなら わかった」


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