第4話
季節は巡る。
徐々にここを訪れる人間が増えて来たようだ。
稀に、寿命を終えた人間の想いが私を訪ねることもある。
願いを叶えて頂きありがとうございました。
そんな想いが聞こえた。
私は神ではないので、願いは叶えていない。
そう伝えたが、
それでもあの時は本当に嬉しかった。あなたが神様でなかったとしても十分だったと言う。
人間とはそういうものなのだろうか。
やがてその想いは光輝いてどこかに消えてしまった。
訪れる人間が増えると、何故か願い事を叶えて欲しいと言う人間も増えてきた。
神でもない私に願ったところで、叶うものではない。
たまに、叶っている人間もいるようだが、何故叶ったのかはわからないままだ。
願いが叶わないと言って、私を蹴ったり何かを吐き出したりする人間もいる。
叶わなくても当たり前なのに。
私は神ではない。そう伝えようとしても、生きている人間に私の想いは伝わらない。
私はただ、ここに居るだけの存在なのだ。
人間なんて勝手な生き物なのさ。
と、物知りの梟がぽつりと言った。
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