第3話

花も落ちて、しばらくした頃。


また人間がやって来た。

あの時の願っていた人間だ。

連れがいる。


「藤神様に願いを届けて下さってありがとうございました!おかげさまで主人の病気は治りました!」


私は願いなぞ届けていない。


だが、どうやら願いは叶ったらしい。

何故、叶ったのだろうか。

藤神というものは、願えばどんなに遠くても叶えられるのだろうか。


もう一人の人間も、


「おかげさまでまた働くことが出来ます!本当にありがとうございました!」


そう言って二人で手を合わせる。

その後、お礼です。と言ってまた食べ物を置いて行った。


私は何もしていないのに。


なんだか、もやもやした。

これはなんだろう。


人間と関わると不思議な感覚が増える気がする。


願いはどうして届いたのだろうか。


鳥達が届けたのか聞いてみたが、厄介なことに関わりたくないから、そんなことはしないと言っていた。


物知りの梟もわからないと言う。


もやもやはしたが、あの『かわいそう』と私が思った人間の願いが叶ったのなら、それはそれで良かった。


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