第6話

約束の日


その日はいつもより少し早起きをして、洋服を選び、丁寧に身支度をした。

鏡の前で納得のいく姿である事を確認し、待ち合わせ場所へ向かう。


毎日連絡を取っているが、こうして会うのはあの日の試合以来だった。

バスケ部は土日は練習や試合があり、今日は久しぶりの休みだという。


待ち合わせはお互いの駅の中間地点くらいにある、ターミナル駅にした。

映画も観れるし、ショッピングもできる。

土曜日ということもあり、人出は多かった。


待ち合わせ場所に着き、連絡を入れる

"着いたよ"

そう送った後、鏡を取り出し、前髪を直し、メイクが崩れてないか確認する。

きっと男の子は前髪が少しくらい違ったり、メイクがヨレたりなんて気にしないかもしれないが、デートの時は前髪の一本すら完璧でいて欲しいのだ。


「美緒、お待たせ」


そう言って、涼が現れた。


「あっ、久しぶり」


何と言ったら良いのか迷ってしまった。

少し気恥ずかしい気持ちだった。


「久しぶり、やっと会えて嬉しい!まずはお昼でも食べる?」


「そうだね。お腹空いちゃった」


緊張してあまり空いていないけど、つい口に出た。


「それじゃあ行こうか」


涼から差し伸べられた手を、おそるおそる握り返し、2人で歩き出した。

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