第4話

あの日以来、涼とは連絡を取り続けている。


"おはよー朝練行ってくる"


"おはよ、朝練頑張ってね"


"まだ2限なのに腹へった。美緒は弁当?"


"うん、お弁当だよ。たまにコンビニで買ったりするけど"


"弁当いいなー今度作ってよ"


"えぇ〜💦"


たわいもないやりとりは放課後も続く。


"部活行ってくる!"


"お疲れ様!私も今日はバイト行ってくる〜"


"バイト何してるの?"


"カフェで働いてるよ☕️"


そうメッセージを送りバイト先の制服に着替え、スマホを鞄にしまった。

高校に入学してからすぐに始めたこのバイトも1年経つ。

バイト中も涼からの返信があると思うと、なんだかワクワクしながら働けた。




「美緒ちゃん、時間だから上がっていいよ」


そう女の店長に声をかけられ、更衣室へ戻りスマホを確認すると、涼から連絡が来ていた。

この瞬間がとても嬉しかったりする。


"バイトお疲れ!

美緒、今度の土曜日空いてる?"


"うん、予定ないよ"


帰る支度をしながら、返信をした。


"遊ぼうよ、会いたい"




「会いたい」


その文字に


心臓がきゅーっとなる。


すぐに返信したい気持ちを抑え、帰る支度をする。


お疲れ様でしたーとスタッフさんに挨拶をして、店の外に出た。


どうしよう、今すごく顔の筋肉が緩んでるかもしれない。そう思い、自分の手でほっぺをきゅっと上にあげた。




「美緒ちゃん?」


店を出てすぐに声をかけられた。


「あ、青木先輩!お疲れ様です」


さっきの緩んだ顔を見られていないか恥ずかしくなりながら、そう答えた。

青木先輩は1つ歳上の高校3年生。高校は東高校。私がバイトに入りたての頃、1から教えてくれた人だ。

穏やかで優しいだけじゃなく、顔も今時の韓国アーティストみたいでカッコいいのだ。

先輩に会いたくて、何人かの女子がカフェに通っているのを知っている。

先輩は今年から受験生ということもあり、バイトに入る回数が減り、あまりシフトが被っていなかった。


「今帰り?僕もちょうど予備校帰りなんだ」


「そうなんです、今さっきバイト終わりました〜。最近、先輩が居なくて寂しいです〜」


「バイトお疲れ様。そうだね、僕も美緒ちゃんと話せなくて寂しかったよ」


そんな事を笑顔でサラッと言える先輩、

そりゃモテますわ

と感心していると


「帰り道どっち?危ないから送っていくよ」


「いやいやいや、

先輩に送ってもらうところなんて目撃されたら、私、刺されますから!」


そう言って、先輩にお辞儀をして、急いで帰路に着いた。

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