第3話

「美緒〜こっちこっち」


駅前のカフェに入ると、優香里が手を挙げて居場所を知らせてくれた。


席に着くなり、前のめりで聞いてくる


「で、望月から何て言われたの?

まさかいきなり告られたとか?!」


「ちょっともう落ち着いてよ〜」


すみませーん、と店員さんを呼び、アイスティーを頼む。

まだ4月の肌寒さが残っているが、さっきの出来事で身体が火照っているのを早く冷ましたかった。


「優香里、先に行くなんて薄情だぞ」


頬を膨らませて、そう伝える。


「いや、あれはお邪魔でしょ。で、結局、何だって?」


「うん…試合の応援に来てる時に見かけたみたいで、その、気になるから、友達になってって…言われた」


「え?!友達から?!」


「そりゃ話した事もないんだもん!」


アイスティーお待たせしました。


ひんやりとしたコップにガムシロップを入れ、カラカラとかき混ぜた後、ストローを口に運ぶ。


「そいで、美緒は何て?」


「うん、友達からお願いしますって言ったよ」


「おぉ〜美緒にもついに彼氏かぁ。試合の応援減っちゃうかなぁ」


意地悪そうな笑顔で優香里は話す


「ちょっと!まだそーゆーのじゃないから!」


ニヤニヤとコーラを飲む優香里に


「それでね、どんな人か教えて欲しいんだけど…」


「あぁ、そうだよね、望月ね、いい奴だよ!」


にかっと優香里は笑う。


「…他には?」


「って言っても部活は同じだったけどなぁ、う〜ん、あ、たしか長く付き合ってた彼女がいたから、きっと一途なんじゃないかなぁ」


"長く付き合ってた彼女"


さっき知ったばかりなのに、その言葉に胸がチクリとした


「まぁ、これからお互いを知っていけばいいじゃん!」


「そうだね」




その夜


スマホにメッセージが入った


望月涼もちづきりょうです。今日は突然話かけてごめんね、話せて良かった。これからよろしく」


ドキドキしながらその画面を眺めた。

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