第2話

振り向くと、見知らぬ男の子が立っていた。


東高の制服姿で、試合の応援に来ていたバスケ部だろうか。

短い黒髪に、くっきり二重の眼、身長は私より高いのがハッキリ分かるので170㎝後半だろう。

爽やかでスポーツが出来そうな男の子だ。


私は辺りをキョロキョロと見回し、自分以外に人が居ないかを確認するが、周りには私しかいない。


「えっと…」


記憶を辿り知り合いか思い出そうとしていると、男の子が口を開いた。


「急にすみませんっ…松永まつながの友達…ですよね?」


松永と言うのは優香里の苗字だ。


「あ、うん、友達だけど、優香里の知り合い?」


優香里の名前が出てきたので少しほっとした。


「松永とは中学が同じで、その…試合に」


話している途中で


「美緒ー!お待たせー!」


声が聞こえ振り向くと、優香里がこちらに向かって走ってきた。


「試合お疲れ様!」


「ありがとうー!美緒が来てくれたから、絶好調だったよ!

って、え?!望月と知り合いなの?!」


どうやら目の前にいる男の子は望月というようだ。


「いや、今、声をかけられて」


「え、望月にナンパされてるの?!」


「ちょ、おま、変なこと言うなよ!」


慌てる望月という男の子を横目に


「2人は中学の友達なの?」


と問いかけた。


「うん、同じバスケ部だったー

てか、望月は美緒に用?」


「そうだよ、お前が邪魔するから。

急にごめん、前から試合の応援に来てたよな?」


そう言って優香里と私を順に見ながら話始めた


「うん、何度か応援には来てるけど…」


優香里は


「なるほどねぇ」


とニヤニヤしながら


「美緒〜、先に駅に行ってる〜」


そう言うと駅の方へと歩き出してしまった。


「あっ…優香里っ!」


追いかけようとすると、望月が声を張り


「ごめん、ちょっと待って!」


望月の方へ振り返る。


「その、松永の応援に来ているのを知っていて、前から気になってたんだ…良かったら友達から仲良くしてくれない?」




それが君と私の出会いだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る