平行線の彼方
@chocolateparfait
第1話
「平行線みたいな関係だよ。
アイツとはこの先、もう交わることはないから安心して。」
そう言った君と私が
平行線だった。
桜も散りはじめた高校2年生の春
帰宅部の私は春の陽気に気分を良くしながら、校門へ向かって歩いていた。
ロングヘアの髪が、時折、風で顔にかかるのを耳にかけながら。
「
体育館の前を通った私を呼ぶ声に足をとめた。
振り返ると友人の
「優香里、部活中じゃないの?」
「今、休憩なんだ!ちょうど美緒が見えたから!」
そう言って額の汗を袖で拭いながら、人懐っこい笑顔で問いかけてくる。
「そういえば、明日の試合は来てくれる?」
「もちろんだよ」
「やったー!美緒に応援されると、なんだか調子良いんだよね♪」
歯を見せながら嬉しそうにする、女子バスケ部の副キャプテン。
髪はボブヘアで、バスケ部の割には身長は低い方だろう。しかし、運動神経の良さは抜群で、コミュニケーション力も高い。
この春から副キャプテンに任命され、ますます部活に力を入れている。
「部活、頑張ってね」
「ありがとー!また明日!」
手を振りながら体育館へ戻って行く。
優香里とは高校に入学してすぐ、同じクラスで仲良くなった。
誰とでも分け隔てなく仲良くするタイプの子で、私もすぐに打ち解けた。
優香里にはバスケ部にも誘われたが、運動が壊滅的な私はさすがに入部を断った。
それでも優香里は試合を観に来ないかと熱心に話しかけてくれたので、試合の応援には顔を出すようにしている。
ー次の日ー
シューズのキュッキュッと鳴る音
ダンッダダンッとボールが床を跳ねる音
応援の歓声
優香里の試合を観に、隣町の体育館まで足を運んだ。
私と優香里は南高校、対戦しているのは東高校だ。
友人の姿を目で追いかけながら、声援を送る。
…ピピーッ!
試合終了のホイッスルが鳴り、互いのチームがお辞儀をする。
南高校が勝ち、私はホッとした。
試合後、優香里を体育館の門で待つことにした。
(優香里、今日も得点決めててカッコ良かったなぁ)
試合中の友人を思い出しながら待っていると
「あのっ…」
声を掛けられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます