第2話〜悠馬、神界にて神と出会う〜
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......
「ここは?何処だ?」
俺は目が醒めると真っ白な世界にいた。
「確か通り魔に刺された筈だよな?って事はここはあの世なのか?」
考え事をしていると突然後ろから
「フォッフォッフォッ。初めましてじゃの、加藤悠馬君」
咄嗟に振り向くと白髪とたっぷりの髭を蓄えたご老人が立っていた。
「あの?あなたは一体?」
「儂か?儂はこの世界を作った神じゃよ。創造神などと呼ばれておるよ」
「神様なんですか⁉︎じゃあここは天国って事ですか?」
「いや、天国はもうちょっと下じゃな。ここは神界と呼ばれておる神の世界じゃよ」
「という事は創造神様以外の神様達もここに?」
「おるぞ。....ところでお主は儂が神じゃと言たり、ここが神界じゃと言われて信じられるのか?」
「ええ。僕は日本ではキリスト教徒だったので神様の事を信じているんです。その神様が仰られているんですから信じないわけがないのです」
「ほう。最近の若者にしては随分と信仰心があるんじゃの」
「はい。両親も信者でして物心つく前から教会などに連れていかれてましたからね」
「なるほどのぉ」
(両親は自分たちより先に死ぬなって言ってたけど、こういう事情なら仕方ないよね。両親も信者だし柚月ちゃんとお友達を助けたことも含めて許してくれるよね)
「ところで創造神様?」
「ん?なんじゃ?」
「えと...失礼ながらお名前を伺っても良いですか?」
「おお!自己紹介がまだじゃったな。儂はゼノンじゃ。このアスタリスクを作った創造神をしておるよ」
「僕も自己紹介しますね。改めまして加藤悠馬です。これからもよろしくお願いします」
「よろしくの、悠馬君」
「ところでゼノン様?」
「どうしたのじゃ?」
「僕はこの後どうなるのですか?」
「それも含めて先ずは他の神に会いに行くぞ。話はそれからじゃ」
「分かりました。ではお願いします」
「了解じゃ。では行くぞ」
ゼノンが〈転移〉と唱えた瞬間、景色が変わり、川が流れていたり芝生が植えてある場所に移った。
「ゼノン様⁉︎今のはもしかして魔法ですか?」
「そうじゃ。今のは転移魔法と言われておる魔法じゃ」
転移した場所からさらに奥へと歩いて行くと、そこには8席分の椅子と大きなテーブル、そして真ん中には巨大なスクリーンがあった。
既に椅子には6人が座っていた。
「もしかしてあの方々が?」
「そうじゃよ。儂以外の神達じゃ」
ゼノンはそういうと悠馬に余っている席に促し、座らせると自分も席に座っていた。
「皆揃っておるようじゃの。では、改めて悠馬君には自己紹介しよう。儂は創造神ゼノンじゃ」
「改めてよろしくお願いします。ゼノン様」
「うむ。では、儂の右隣におるレンコから時計回りに自己紹介頼むぞ」
「分かりました、ゼノン様。初めまして悠馬さん。私はこのアスタリスクで生命と転生の神をしているレンコよ。よろしくお願いしますね」
「レンコ様ですね。悠馬です。こちらこそよろしくお願いします」
「良し!次は私ね。悠馬君初めまして。私は魔法の神をさせて貰っているラムよ。子どもっぽい見た目だけど一応神様をしているわ」
「よろしくお願いします。ラム様」
「次は私ね〜。初めて悠馬君、私はこのアスタリスクで大地の神をさせて貰っているベラよ〜。よろしくね」
「よろしくお願いしますね。それにしてもベラ様はかなりおっとりされているんですね」
「昔からこうなのよ〜。気に障ったらごめんなさいね〜〜」
「いいえ、気にしてないので大丈夫ですよ」
「次は俺だな!俺は武神の神カーシアだ。よろしく頼むぜ悠馬」
「よろしくお願いしますカーシア様」
カーシアはガハハと豪快に笑いながら悠馬の頭を撫でていた。
「次は私ですね。初めまして悠馬君、私はこのアスタリスクで技能の神をしているグリンと申します。以後お見知り置きを」
「グリン様ですね。こちらこそよろしくお願いします」
「最後は僕ですね。初めまして悠馬君、僕はパナミ。このアスタリスクで商業の神をしているよ。僕に奉納してくれたらこの神界に届きますからね」
「よろしくお願いしますね。パナミ様」
これで俺を含めた8人全員が自己紹介を終えた。
「ゼノン様」
「どうしたのじゃ?悠馬君」
「そろそろ僕が今後どうなるか説明していただけますか?」
「おお!そうじゃの。じゃあレンコ、説明してやってくれ」
「分かりましたゼノン様。先ず悠馬君、あなたの地球での死に方は本来予定されてはいなかったものなのです」
「え⁉︎あそこで通り魔に刺されて死んだことが予定になかったのですか?」
「はい。本来ならあそこで柚月さんとお友達の方に突っ込んでいったところで犯人が転けてそこを近くにいた群衆で取り押さえる予定だったのです。その時はまだ誰も傷つけていなかったため、犯人の罪もそこまで重くありませんでしたが、貴方を殺害してしまったことにより犯人は殺人罪に問われることになってしまいました」
「ということは無駄死にだったと?」
「そういうことですね...」
「そうですか...」
柚月ちゃんとお友達を守ったのが無駄死にで犯人の罪も重くしてしまったのかと悠馬はショックだった。
「地球の神も大変なことをしてくれたなと言っておりましたよ」
「レンコよ....お主はもうちょっとオブラートに包めんのか」
まさか良かれと思ってやったことが無駄で他人をも不幸にしながら死んだと聞かされたら誰でもショックを受けるだろう。
「ですが、貴方が亡くなる前の行動が善行だったので、魂を一度私の所で預かっていたのです。そして地球の神に相談したところ、記憶を持たせたまま転生させた方がそっちの世界も発展するかもと言われたので前世の記憶を持たせたままこのアスタリスクに転生させることになりました」
「そうですか....ありがとうございますレンコ様」
「それと記憶は5歳の洗礼時に戻るようにしておきました。そうでないと授乳やオムツ替えなど精神的にお辛いこともあると思いますので」
「重ね重ねありがとうございます」
レンコにお礼を伝えた。確かに前世で20歳まで生きていたこともあり、授乳やオムツ替えは流石に記憶ありだと恥ずかしいところだった。
「そろそろいいかの?加藤悠馬のアスタリスクへの転生を始めるぞ」
「ちょっといい?ゼノン様」
「なんじゃ?ラムよ」
「悠馬君。前世の君はアニメや漫画、こういう転生系の小説とか好きだったよね?」
「はい。大好きですよ」
「うん!私は君のことが気に入った。だから私の加護をあげるね」
「え⁉︎良いのですか?」
「勿論!これからも頑張ってね」
「ふむ。では儂からも加護をやるかの。また会うことになるかもしれんからの」
ゼノン様の「また会うことになる」という言葉の意味は分からなかったが、加護を貰えるのであれば有り難く貰っておこう。
「では私からも加護を与えましょう。私の加護があれば自然回復力が上がり、回復魔法が強化されますよ」
「ありがとうございます。レンコ様」
「私も加護を上げるわ。私の加護があれば魔法の性質を自由に変えられるわよ〜」
「俺からも加護をやろう。悠馬よ!魔法ばかりではなくて剣術や体術も鍛えておけよ。俺の加護があればスキルを取りやすくなるぞ」
「ベラ様、カーシア様ありがとうございます」
「そういえば私の加護の説明をしていなかったわ。私の加護があれば魔法の威力が上がるだけじゃなく、デバフや状態異常の継続時間が伸びるわ。あと魔法の詠唱時間が短くなったり、魔力の消費を軽減してくれるわ」
「凄いですね。ありがとうございます、ラム様」
「いえいえ〜。あと加護があれば魔法の詠唱時間が短くなるって言ったけど、特別に無詠唱で撃てるようにしておくわね」
「無詠唱ってなんですか?」
「魔法には必ず詠唱文を言った後に発動ワードを唱えることによって撃てるの。無詠唱というのは詠唱文を言わないで発動ワードを唱えるだけで魔法を撃てるようになるの」
「そんなに凄いものをくださるんですか?」
「ええ。悠馬君って魔法好きそうだし、これから強くなって欲しいしさ」
「ありがとうございます!ラム様」
泣きながら感謝を伝えたらラムも顔を赤くしながら握手をしてくれた。
「因みに今現在のアスタリスクにおいて無詠唱で魔法を打てる人は限られているから気をつけてね」
最後に不穏なことを呟いていたけど悠馬は聞き取れなかった。
「次は私ですね。私からも加護を与えましょう。それと悠馬君」
「何ですか?グリン様」
「このアスタリスクは無いものが多い。やり過ぎなければ前世の知識を持って入っても大丈夫だよ」
「ありがとうございます。グリン様」
「次は僕ですね。僕の加護があればアイテムボックスや鑑定、それに契約魔法が使えるようになるよ。アイテムボックス内は時間が止まってるから、食材を入れたり倒した魔物を入れても腐らないよ。但し生きてる魔物は入れられないから注意してね」
「ありがとうございます。パナミ様」
「最後は儂じゃの。儂からの加護は向こうに行ってから確認すると良いじゃろう。但しステータスや加護などが見れるステータス魔法は5歳の洗礼を終えると使えるようになる。それまでは普通の子ども生活を楽しむがよい」
「ありがとうございます。ゼノン様」
「ではそろそろアスタリスクに転生させるぞ」
ゼノンはそういうと悠馬の頭に手を置いた。
「アスタリスクでの加藤悠馬の人生に幸多からん事を....」
ゼノンがそう唱えると、あたりが急に眩しくなり悠馬は眼を瞑ってしまった。
......
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「オギャー!オギャー!オギャー!」
.....何だか、温かいな....
それに、誰かに抱かれている感覚がある。
「生まれたぞ!男の子だ!」
.......傍から男性の声が聞こえる。
「ああぁ......良かった....ありがとう、無事に生まれてきてくれて....」
.....耳元から女性の疲れた声が聞こえた。
「お前の名前はユーマだ!俺たちの息子、ユーマ・シンフィールドだ!」
これが、この世界での僕が生を受けた瞬間だった。
ユーマが生まれた瞬間、遠く離れた地で一つの影が動いた。
「うむ。ようやく生まれたようだな、この我の主人となるお方が」
影は空を見上げると....
「我が主人よ。あなたと会える日を楽しみにしておくぞ」
そう呟いたのである。
〜異世界で契約した従魔がEXランクの魔物達でした〜 @carp1838
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