〜異世界で契約した従魔がEXランクの魔物達でした〜

@carp1838

第1章 異世界転生編

第1話〜悠馬、通り魔に出会う〜

......

......


「ふー。やっと終わったぜ。んにしても今日は一段と暑いな」


 俺の名前は加藤悠馬。


 どこにでもいるアニメやゲームが好きな20歳だ。


 今は実家であるパン屋の手伝いでお得意様にパンの配達をしている最中だ。


「さてと配達も終わったしそろそろ帰るか」



「「「「キャー!!!!」」」」


 後ろの方から女性の悲鳴が聞こえてきた。



「なんだ?今の悲鳴。なんかあったのかな?」


 声の聞こえた方に目をやると手に包丁を持った男が走っていた。


「なんだ⁉︎あいつ。手に包丁持ってんじゃん」


 自身も巻き込まれたくないのでその場を離れようとすると包丁を持った男の視線の先に高校生くらいの女の子が二人地面にへたり込んでいた。


「おい!そこの君たちも早く逃げろ!!」


 声をかけたが腰が抜けてるのか立ち上がれないでいた。


「くそ!覚悟決めるか」


 ふーっと息を一つ吐き、俺は包丁を持った男に向かい走った。


 男に向かってタックルをかまして相手の上を取った。


「誰か!こいつの包丁を取り上げてくれ!!」


 周りに叫んだ時瞬間、右脇腹に激しい痛みが走った。


「てめぇぇぇぇぇ!!」


 男を殴ると手に持っていた包丁は勢いよく飛んでいった。


 それを見た群衆の中から男性が三人がかりで犯人の男を取り押さえてくれたのを見て俺は安心して地面に仰向けになった。


 緊張が解けたのか急に刺された脇腹が熱くなって来ていた。


 一人はスマホで救急車を呼んでいて何人かは近くにあったコンビニから大量のタオルを持ってきて俺の脇腹から流れている血を止めようと必死になっていた。


 すると横の方から


「もしかして悠馬お兄ちゃん?」


 声をかけられた。



 声の方を向くと幼馴染である夏織の妹の柚月ちゃんがいた。


「柚月ちゃん?」


「うん!柚月だよ。助けてくれてありがと」


「隣にいるのはお友達かな?」


「うん。学校の友達」


「柚月ちゃんとお友達を守れて良かったよ」


 柚月ちゃんと会話をしながらも俺は自身の命がなくなりかけていることに気付いていた。



「柚月ちゃん。俺はそろそろ限界みたいだ」


「目を瞑ったらダメだよ。悠馬お兄ちゃん」


「柚月ちゃん」


「何?悠馬お兄ちゃん」


 柚月ちゃんは泣きながらも俺の言葉を一生懸命聞こうとしてくれていた。


 僕は最後の力を振り絞って柚月ちゃんに最後の言葉を伝えた。


 伝えれなかった最愛にして大好きだったあの子への自分の気持ちを。


「お姉ちゃんである夏織に「先に死んでごめん。ずっと言えなかったけど夏織のこと最初に会った時から好きだったよ」って伝えてもらえるかな?」


「うん。絶対に伝える」


 柚月ちゃんの顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。


「よろしくね」


「悠馬お兄ちゃゃゃゃん!!」(号泣)


 そこで俺、加藤悠馬の人生は終わった。


 享年20歳という若さである。


 好きなアニメや漫画の続きだって見たかったし何より幼馴染であり大好きだった夏織に告白したかった。


 夏織と付き合ってデートも何回もしたいし将来結婚もしたいって考えてたけどもう叶わないことだ。


 せめて夏織が幸せを見つけて長生きしてくれる事を願いつつ、俺は安らかに眠った。



-------side夏織-------ー

「あ〜あ」(ため息)


 私の名前は清水夏織。


 どこにでもいる普通の20歳だ。


(また悠馬に告白できなかったな)


 私は幼馴染である悠馬にずっと恋をしているが告白できないままでいた。


(せっかく同じ大学に入ったんだし弱音を吐いたらダメだよね)


「この気持ちは本物だからね。明日絶対に告白しよう」


 そう決心した私は学校から帰るのだった。

....


 家に着くとパトカーが止まっていた。


「あそこって家だよね?なんでパトカーが止まってるの?」


 不思議に思い近づくと警官と柚月、それに私のお母さんがいた。


「あのー?何かあったんですか?」


「清水夏織さんですか?」


「はい。私が夏織です」


「実は一時間ほど前に近くのコンビニで通り魔事件がありましてそこで妹さんである柚月さんとお友達がその事件に巻き込まれたんです」


「え⁉︎妹は大丈夫だったのですか?」


「はい。そこにとある男性が現れましてお二人は無事でした」


「良かった〜」


「ですがその助けた男性というのが柚月さんのお知り合いだと言うのでここにお伺いさせていただきました」


「その男性って......」


「悠馬君よ。夏織」


 泣きながら妹を助けてくれた男性の名前を言ってきた。


「え⁉︎」


 私は最初お母さんの言っている意味が分からなかった。


 ようやくお母さんの言った言葉の意味が分かると私は警察に人に詰め寄った。


「悠馬は⁉︎加藤悠馬は無事なのですか?」


「残念ですが救急車で病院に搬送された時には心肺停止状態でした。そして先ほど病院から加藤悠馬さんが息を引き取ったとの連絡も入っています」


「そうですか....」


 体の力が一気に抜け、その場に倒れてしまいそうなのを必死に堪えた。


「お姉ちゃんごめんなさい。悠馬お兄ちゃんに逃げろって言われたんだけど腰が抜けちゃって動けなかったの。だから悠馬お兄ちゃんが私を庇って」(泣)


「そっか。悠馬が守ってくれたんだね。無事で良かったよ」


 その後のことはあまり覚えてない。


 自室のベッドの上で泣いて疲れて寝ちゃったんだ。

....


 その夜、コンコンと私の部屋のドアがノックされた。


「はい?」


「お姉ちゃん?私。入ってもいい?」


「柚月?入っていいよ」


「お邪魔しまーす」


「突然どうしたの?」


「悠馬お兄ちゃんが最後にお姉ちゃんに伝言を伝えてくれって言われてた言葉があるから言ってもいい?」


「うん」


「「先に死んでごめん。ずっと言えなかったけど夏織のこと最初に出会った時から好きだったよ」ってさ」


「そっか。伝えてくれてありがと」


「じゃあ先に降りてるね。お姉ちゃん」


「うん。私も後で行く」


 私はベッドに横になって泣きながら


「悠馬....柚月を守ってくれてありがと。それに悠馬が好きって言ってくれて嬉しかった。私も悠馬のことずっとずっと好きだったよ」


「今までもこれからもね」


 私は自分の思いを悠馬に届けるように呟いた後下に降りていった。


-------ーside悠馬-------ー

「ここは?何処だ?....」


 俺は確か通り魔に刺されて死んだはずだよな?


 じゃあここはあの世ってことか?


「フォッフォッフォッ。初めましてじゃの加藤悠馬君」


 その時俺の背後から声をかけてくる老人に出会った。




 俺が死んだ後、夏織の幸せを願ったが、夏織の幸せは俺と付き合い結婚する事。そして夫婦円満な家庭を築く事だったのだ。


 そんな俺と夏織の幸せ、願い、そして夢は現実のものとなるがそれはまた先のお話。




あとがき

このお話を呼んでくださりありがとうございます。

まだまだ未熟ですがこれからも頑張っていこうと思っておりますのでよろしくお願いします。


今日のあとがきではこの物語の会話の仕組みについてご説明したいと思います。


「」内は普通の会話が入ります(声に出している会話ですね)

〈〉内は魔法の詠唱が入ります。

()内は心の中での独り言が入ります。

【】内は従魔達の会話や従魔が人間に対して話している会話が入ります(人間同士の思念伝達やモンスターのテレパシー、知能が高いモンスターは人語だと思ってもらえたらOKです)


さて長くなりましたのでこの辺りで失礼します。


では次回のあとがきでお会いしましょう。


因みに更新は不定期です。(申し訳ありません)

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