第4話 彼の仕事
死にたいと、思うようになってから。どれぐらい経っただろうか。
街を守り、人々の生活を人知れず支える。それが夢で。それを叶えるために、この仕事に就いた。
それからは、仕事だらけの日々だった。いつしか、夢は薄れ、目の前の現実との争闘だけが、残った。そして、いつからか、死にたくなった。
仕事仲間とも、もうかなり前から連絡を絶っている。潜入だから普通のことだが、今、誰かに優しくされたくはなかった。死んでいきたい。このまま。夢がまだ、思い出せるうちに。
「でさ。この前の合コンがさ」
「うん」
学生仲間の話を、なんとなく聞き流す。
死にたくても、潜入の仕事は進む。これが終わる前に、死ねるだろうか。
「パラミリーがやりたいなあ」
「またそのゲームかよ」
パラレルミリタリー。一昔前に流行り、今はもう誰も見向きもしない対人仮想戦闘ゲーム。ゲーム人口がいないので、いつも、同じ女性が対戦相手だった。
彼女は、とても強い。
戦っていて、張り合いがある。
そして、ときどき。
自分を、殺してくれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます