RE:Play Baby ― その赤ちゃん、史上最強の魔王の生まれ変わり。 〜ちゅいまちぇん、世界の片隅で平穏に暮らちたいので冒険に連れ回ちゅのやめてもらっていいでちゅか?〜
プロローグ③:光喰む縮退の星 -Blackhole_Eclipse-
プロローグ③:光喰む縮退の星 -Blackhole_Eclipse-
──そこは、殺風景な大広間だった。窓から入ってくる朱い月明かりに照らされた玉座の間には机や椅子など無駄なものは一切なく、部屋の奥に玉座だけがポツンと置いてあった。
そして、その玉座には一人の老人が座っていた。
黒と金を
唯一、違うとすれば──角があることだろう。額から生え『く』の字を描きながら後頭部にまで伸びているその大きな角は、その老人が人間ではなく
「お前が──魔王カティスか?」
玉座に座る老人に勇者ウロナは問う。何時もの
彼のそんな普段とは違う素行に、騎士リタと賢者ホロア、そしてキィーラの三人も息を呑み、武器を構えて玉座の老人を見据える。
「────いかにも」
玉座に座っていた老人は、静かに
「
──そう、名乗った。
玉座の老人──魔王カティスが名乗った時、玉座の間の重い空気がより一層重くのしかかってくるのを四人は感じた。
老いて
勇者ウロナは重圧を振り払うかのように背中の聖剣を振り抜くと、魔王カティスの
「俺は──お前を倒すために女神から加護を──」
「あー、待て待て。その前にちょっと時間を私にくれんか?」
「────はぁっ!?」
勇者ウロナが
「……何だよ急に。何かあるのか?」
「ちょっと──な。すぐに終わらせるから待ってくれ」
全員がきょとんとした顔をしている中、魔王カティスは勇者ウロナたちの
「…………レトワイス、此方へ来なさい」
「仰せのままに──我が主」
そう言うと、レトワイスは玉座の前へと進むと魔王カティスに一礼して
「レトワイス、このアホたれ!! 貴様ぁ、儂の『
──怒った。凄く。
「「「「えーーーーっ、こんな大事な時にお説教!!??」」」」
向こうの方からそんな驚きの声があがったが、魔王カティスはそんなことお構い無しにお喋りな従者へのお説教を続けていた。
「まさか──聞き耳を立てておられたのですか、我が主?」
「当たり前だ!! お前はいつもいつも儂の事をペラペラペラペラと話おって」
「いえ──我が主、あれですアレ。久々に人間とお
「あれは! 完全に! 儂の! ただのお茶目さんエピソードだったではないかー!!」
「それも我が主の魅力かなーっと思った次第であります、
「儂は、“恐ろしい”と思われたいの! あやつら、完全に儂のことをお茶目さんだと思っておったではないか」
バンバンバンッ──バンバンバンッ──バンバンバンバンバンバンバンッ──!! 玉座の
レトワイスに文句を言いながらぷんぷんと怒っている魔王カティスに拍子抜けしたのか、騎士リタと賢者ホロアは思わず──。
「…………確かにお茶目さんね」
「…………そうじゃな」
──と、小さく呟いてしまった。それを見ていた魔王カティスは二人を勢いよく指差すと──。
「ほらーー!! めっちゃ思ってるじゃん!!」
──叫んだ。めっちゃ。
「後世に『魔王カティスは実はお茶目さんでした。』とか残されたら、
「そうですね──ぷぷっ、我が主には──ふっ、に、似つかわしくありませんですね──ぷぷっ」
「〜〜〜〜っ!! この
「ぷぷっ──承知致しました我が主」
吹き出しそうな笑いを
「ところで我が主、先程から爺キャラが抜けておりますよー」
「────はよいけー!!」
最後の最後のまで主を
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
気まずい、微妙な
「さて──用は済んだ。では、本題に入ろうか」
((((普通に続行しだした!?))))
──と、全員が心の中でツッコんだのも
「──っ!
のしかかる重圧を前に不敵に笑みを浮かべると、勇者ウロナは再び聖剣を構える。
「俺は、お前を倒すために女神から──」
「あぁ、よいよい──言わずとも分かるぞ貴様たちのことなぞ。魔王九九九式──『
勇者ウロナの言葉を遮った魔王カティスが謎の
そして、次に魔王カティスが放った言葉に──勇者ウロナたちは言葉を失ってしまう。
「──ウロナ=キリアリア。聖都オパストス生まれの17歳。女神シウナウスから『
勇者ウロナは絶句した。ただ、青い目で観ただけで
「──リタ=サンライズ。王都アルヴァスク生まれの16歳。平民ながら王立騎士団に
「次は──ホロア=ジズ。エルフの隠れ里ヒリアイネ生まれのせん……あー、ここは飛ばしておこう。族長アーリアの妹弟子だったがエルフの
「最後に──キィーラ。雪原の集落タルヴィ生まれの10才。狐系
ただ
「な──何をした!? 言え!! 一体貴様は何をしたんだ!?」
勇者ウロナは思わず
「……気になるか?」
魔王カティスはくすくすと笑うと、不気味な笑みを勇者ウロナに向ける。
「なんてことはない。私が使う999の
そう言うと──魔王カティスは右手を自らの首に添えてトントンと叩いた。
「そら──その女神から与えられた
「上等だ……!! 今すぐその首叩き斬ってやる!!」
魔王カティスの見え透いた挑発に乗った勇者ウロナは勢いよく玉座へと駆け抜ける。
奴──魔王カティスは
自分ならその程度の効力など無効化出来ると、
けれど、この聖剣には女神の祝福が込められている。
そう踏んで、勇者ウロナは玉座に
そして──、
──ザンッッッ!!
勇者ウロナが思いっ切り横に振り抜いた聖剣は──玉座ごと魔王カティスの首を勢いよく斬り飛ばした。
それを見ていた騎士リタたちは息を呑んで勇者ウロナに視線を送る。
「や、やったのか? ウロナ、魔王カティスを倒したのか!?」
騎士リタの問いなどまるで耳に届いていないとばかりに、勇者ウロナは
──大丈夫、殺した。殺した感触は確かにあった。偽物でも
「フ……フフフ…………フハハハハハ!!! どうだ! ざまあみろこの雑魚魔王!! テメェみたいな奴にこの俺が負ける訳ねーだろ!!」
玉座の間に勇者ウロナの高笑いと魔王カティスを罵倒する声が響き渡る。
今までの彼からは考えられないその
玉座の間の片隅でじっと佇んでいた
賢者ホロアは彼女の様子を
何故──主君が殺されたのに彼女は何もしないのか。
何故──主君が殺されたのに、彼女は
その答えは、すぐに分かることとなる──。
「いけませんよ、我が主。抜か喜びをさせるだなんて、なんてお人が悪いのでしょうか?」
そう──レトワイスが
それに気付いてしまった勇者ウロナが恐る恐る魔王カティスの首に視線をやると──ぎょろり、と大きく見開かれた魔王カティスの
次の瞬間──勇者ウロナたちの視界に強烈なノイズが入る。その不快感に四人は思わず
それを必死に抑えながら勇者ウロナが再び瞼を開くと──何故か自分は玉座の間の入口に騎士リタたちと立ち尽くしており、そして玉座には──首を斬り落とされた
「魔王九九九式──『
目の前で起きた不可解な出来事に顔を
「時間を巻き戻した……だと……!? ふざけやがって……だったら、何度でも殺してやるよ!!」
魔王カティスの
携えていた聖剣を背中のホルダーに納めると、勇者ウロナは両手を魔王カティスに向けて精一杯突き出した。
(首を撥ねて死なないなら……今度は
すると、勇者ウロナの両手に徐々にピンク色の光の球が風船の膨らみながら出現する。
(ほう……純粋な魔力を
魔力──この世界に住む生命体なら誰もが大なり小なり持ち合わせている魔法の
但し、魔力とはあくまで魔法の行使に必要な“
──だが、この勇者ウロナは違った。
(ウロナの保有する魔力量は常人の比ではない。ただ、
事実、この魔王城ヴァルタイストの大きな鋼鉄の扉は、勇者ウロナが撃ち出した魔力の弾によって“結界魔法ごと”破壊されている。
そんな勇者ウロナの魔力の光球が今や1メートル程の大きさにまで膨れ上がっている。
その溢れんばかりの魔力エネルギーは玉座の間の空気を激しくかき乱し、屋内だというのにまるで嵐のただ中であるかのような暴風を吹き荒れさせる。
(アレを喰らってまともに原型を留めていた魔物はいない……でも……!)
騎士リタは
しかし、相手は魔王カティス──今しがた
「ウロナ──私も合わせる。一緒に魔王カティスへ攻撃を……!!」
勇者ウロナから少しだけ離れた位置についた騎士リタは剣を構えると、瞳を閉じて“魔法”の詠唱を始める。
「“祖は一振りの
詠唱とは“構築”──秘められた“奇跡”を紐解き、実体ある『魔法』へと
「“私は祈る これは命の
賢者ホロアもまた勇者ウロナの横に立つと、静かに魔法の詠唱を始める。
魔王カティスに向けて構えられた杖の先端──
勇者ウロナが撃つ出すは、あらゆるものを力で押し潰す魔力の大砲。
騎士リタが振るうは、あらゆる闇を切り裂く太陽の
賢者ホロアが
狙うは魔王カティス──玉座で
極限まで高められた三人の魔法は一気に集束──ほんの一瞬の静寂の後に、一斉に魔王カティスに向けて放たれる。
「“光系斬撃魔法”──『
「“自然系最上位魔法”──『
「消えろ──!! 『
騎士リタの剣から振り出された輝く斬撃が、賢者ホロアの杖から放たれた暴風が、勇者ウロナから撃ち出された魔力の砲撃が──魔王カティスに襲いかかる。
(この魔法は──私の最大の必殺技。もし、これが効かなかったら──)
(儂らには、もうどうすることもできん……。だから頼む──効いてくれ……!!)
騎士リタと賢者ホロアは祈った。魔王カティスがこの一撃で肉片の一片も残さず消滅してくれることを。
「魔王九九九式──『
だからこそ、騎士リタと賢者ホロアは絶望した。魔王カティスがそんな祈りを容易くへし折ったから。
直撃までの僅かコンマ1秒──その刹那、魔王カティスが指し出した人差し指の先端に真っ黒な
勇者ウロナたちが放った魔法は、その空間に空いた
「おぉ、こわいこわい。玉座の間を吹き飛ばしてしまう気か?」
魔王カティスは人差し指の先に浮かぶ漆黒の球体に目を向けながらケラケラと笑っている。
先程まで空間を覆い尽くすほどの規模だった魔法はあたかも
「そんな……うそじゃ……! ありえん……儂らの魔法を全部飲み干しおったのか……!?」
賢者ホロアは目の前で起きた光景に顔を真っ青にしながら驚愕している。
あの魔法には騎士リタと賢者ホロア、そして勇者ウロナの
それ程の魔法が目の前で
賢者ホロアはその事実に、これから起こり得るであろう事態に恐怖を感じ震え始める。
「その指先の球体に……さっき俺らが放った魔法が凝縮されているのか?」
勇者ウロナも流石に事態を察したのか、魔王カティスに恐る恐る問い掛ける。
「その通りだ。これは
それは想定できる中でも
それは──魔王カティスがその気なら、いつでも勇者ウロナたちにその魔法を
「もしさっきの魔法を撃ち返されたら私たちは……!! ウロナ!!」
「分かってる!! こうなったら
騎士リタの動揺に
その魔法で
「まさか
だからこそ、魔王カティスの行動は勇者ウロナたちの
「撃ち返さないならどうするつもりなんだ!?」
思いがけない言葉に勇者ウロナは
勇者ウロナは聞かずにはいられなかった。
「知りたいか……? これをどうするつもりか?」
勇者ウロナの
ゆっくりと──シャボン玉のように黒い球体は緩やかに落下していき、すぐに魔王カティスの
「────っ!! まさか……!?」
「その………まさかさ」
そう言って──魔王カティスは黒い球体を勢いよく
一瞬、魔王カティスの拳から
否──
玉座の間に大きな変化がある訳でもなく、まるで何事も無かったかのように空間は静まり返っている。
「まさか……ご主人様たちの……魔法が凝縮されたあの球体を……に、握り潰したの……?」
「う、嘘だろ……!?」
あの黒い球体は既に、地球における戦術兵器の破壊力にも匹敵する膨大な魔力を内包した爆弾と化していた。もし、あれが爆発していたら、周囲数百メートルを丸ごと更地にしていただろう。
それ程の破壊力を有していたあの黒球を、魔王カティスはこともあろうに
そう──あの強大な爆発を
「こうすれば……ほら、玉座には傷一つ入っていないだろう……?」
魔王カティスはにこやかにそう言いながら握った拳を緩め、そこから勇者ウロナたちの込めた魔力の
凄まじい衝撃を拳の中で発生させたにも関わらず魔王カティスの手には傷はおろか
それはつまり──魔王カティスにとってあの衝撃まるで意味を成さない
あの黒球を握り潰して無傷なら、最初の自分たちの魔法が直撃しても無傷であったに違いない。
ただただ、
そんな、魔王カティスの
「…………んー、せっかくお前達が“とっておき”を観せてくれたのだし、
動揺する勇者ウロナ達などまるで気にして無いかのように、まるで新しい
すると、魔王カティスの人差し指の先に赤黒く発光する極小の球体が緩やかに浮かび上がる様に出現した。
(まさか──
勇者ウロナも
それこそ、先程魔王カティスが握り潰した勇者ウロナ達の全力が
勇者ウロナは背中に携えていた聖剣に迷わず手を掛け、身体を守る盾のように聖剣を構える。
正直な所、勇者ウロナの思考はこの時点で既に
人を
気まぐれ──魔王カティスの性格を
それ故に、魔王カティスの
そんな勇者ウロナの
「……レトワイス、窓を開けなさい」
「……承知しました、我が主」
そんな魔王カティスの“
──ガシャン、と大きな音を立てて窓に人の頭ほどの穴が空き、そこから夜の冷えきった空気が流れ込んでくる。
「……………………なんで割ったの?」
「……?
「…………えぇ、いま
「……? はぁ、
「…………ウソつけ、そんな低スペックで創ってないぞ」
「おや、バレてしまいましたか」
「…………ハァ、
従者レトワイスの“
「……さて、話を戻そうか。お前達はこう思っているだろう? 『魔王カティスはあの魔力の塊をどうするつもりだ?』と」
魔王カティスの問い掛けに勇者ウロナ達は何も言い返せなかった。なにせ
この
いきなり“
──が、こと
((((絶対あの窓から外に飛ばす気だ))))
「我が主、それは
((((
「…………あー、そっかぁ……。あー、………………ふふふ、フハハハハ!! どうだ、気になるだろう? 仕方がないから特別に答えを教えてやろう。今から! 私は! この魔力の塊を! あの窓のから! 外に向かって!! 撃ち出すのだ!!!」
((((聞いてないフリした!!?))))
果たして勇者ウロナ達の
「特別に観せてやろう。この私の力をな!」
そう
放たれた魔力球は朱い夜空を赤黒い輝きを放ちながらまるで流星の
そして数十秒後、目算で数十キロメートルほど飛んだであろう魔力球は緩やかに地面へと吸い込まてる様に落ちて行った。
次の瞬間──着弾点から、天地を
数十キロメートル離れたヴァルタイスト城の玉座の間からでも視界を
飛んだ距離と比較して直径10キロメートルを軽く呑み込んでいるであろうそれは、
そして、その黒い柱が観えてから数秒もしない内に、着弾した際に発生した衝撃がヴァルタイスト城にも到達する。
まるで巨大な
「ぎゃーー!! 窓が全部割れたー!!?」
「ですから
よほど窓が気になっていたのか頭を抱えながら
どれぐらい時間が経っただろうか、立ち昇っていた黒い柱は徐々にか細くなっていき、やがて朱い夜空の向こう側に消えて行った。
後に残ったのは破壊の
「ば、化け物……!! あやつは──
その余りの光景に賢者ホロアはその場にへたりこんでしまう。見たことがなかったからだ──彼女が生きてきた1000年、大地をこれ程に
それこそ──超自然災害でも天上の神々や、勇者ウロナの
だからこそ、次に魔王カティスが
「せっかく
「我が主、それでは
「俺の扱い悪くない!? 自分の
「これでも丁重に扱っている方ですよ」
「え゛っ、嘘でしょ!?」
0.000001%──100万分の1。それが、あの圧倒的な破壊力に有した魔王カティスの力の総量。
直径10キロメートルを超える規模のクレーターを生み出す破壊力は、地球における核兵器を遥かに上回り、隕石の衝突にも匹敵しうる。
勇者ウロナ達の100%──文字通りの
その事実に、勇者ウロナ達の目の前はみるみると真っ暗になっていくのを感じた。
──自分たちでは魔王カティスには勝てない。
勇者ウロナの表情にはもう余裕の色は無い。認識が甘かった。勘違いをしていた。勇者ウロナの強さは魔王カティスに匹敵すると誰もが思っていた。
だが、それは間違いだった。あの魔王は、自分たちが『最強』だと信じていた男の遥か天に居る。
このままでは、自分たちは
逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ──!!
「ウロナよ……いくらなんでもあやつはメチャクチャじゃ! 今すぐみんなで逃げるんじゃ!!」
頭の中で
あの時、あの
──“時間を巻き戻す”、“超重量を操る”、これに相当する
明らかに常軌を
けれど、命までは諦めまいと、絶望で震える身体を精一杯
「下らない、下らない、くだらない!! そんな小細工で俺は、この勇者ウロナ=キリアリアが負ける筈が無いんだ!!」
だから、認めることが出来なかった、理解することが出来なかった。自分が──絶対勝者である自分が誰かに負けることが。
髪をぐしゃぐしゃに
そんな彼のみっともない姿に怯えたキィーラは
「ご主人様……もう……やめてください。もう……無理です……帰りましょう……お家に……帰りましょう」
そんな、キィーラの
「黙ってろ!! 役立たずの奴隷が!!」
──心無き
「──────っ!! ……ご主人……様…………?」
言わないと信じていた。自分を一人の『人間』として見てくれると思っていた。
そんな敬愛する勇者ウロナに、
「やれやれ、随分と
「なんだと!?」
「粋がるな小僧。
「そんな筈はない!! そんなはず、絶対にないんだ!!」
──違う、違う、違う、違う、違う──。
俺はまだ負けてない、そう心の中で叫ぶ。
俺はまだ全てを見せていない、そう自分に言い聞かせる。
俺にはまだ
「もうやめてウロナ。もう帰ろう。もう戦わないで。もう私を……失望させないで」
そう言って足元にしがみついてきた騎士リタを蹴り払うと、勇者ウロナは再び魔王カティスに向かって歩みを進める。
「まだ俺は負けてない!! 必ず、お前を殺してやる!!」
聖剣の切っ先を向けて勇者ウロナは魔王カティスを威嚇するが、魔王カティスはそんな
「いい加減にしたらどうだ? 軽く遊んでやるつもりだったが、まさかここまでの
「な……に…………!?」
「すぐさま
魔王カティスは、これが最後の慈悲だと言わんばかりに、取り
──『負け』を認めれるのなら生かして帰してやろう。
それは、絶体絶命の
けれど、勇者ウロナはそんな情けなさ過ぎる『情け』を聞き入れはしなかった。
自分と仲間の『
「黙れーーーーーーー!!!!」
そう叫びながら突っ込んでくる勇者ウロナに小さくため息を吐くと、魔王カティスは心の底から
「そうか……
そう言い放った瞬間──魔王カティスの眼前に
辺りの空気が凍り付いたように重くなる。深海に落とされた様に息が出来なくなる。勇者ウロナに
それは、それまでふざけ半分だった魔王カティスの“
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